本文へスキップします。

パネルディスカッション「スポーツとまちづくり」

チャレンジデー2011事後ワークショップでは、パネルディスカッションとして、登壇いただいた青島氏、長崎氏、武藤氏より、体験された各実施自治体の取り組みについてやそれぞれの視点で「スポーツとまちづくり」に関するお話をいただきました。

パネリスト

青島健太氏 スポーツキャスター/笹川スポーツ財団 理事
長崎宏子氏 ゲンキなアトリエ取締役/笹川スポーツ財団 評議員
武藤泰明氏 早稲田大学スポーツ科学学術院教授/笹川スポーツ財団 スーパーバイザー

地域の力で地域を元気に、それが日本のスポーツの力に

黒田:

ありがとうございました。そろそろ時間となりますので、最後に、パネリストの方から一言ずついただきます。青島さんから、よろしくお願いします。

青島:

今日、お話を伺っていて、チャレンジデーといってもいろいろな取り組み方があるし、やり方があると考えさせられます。この日そのものを大きなイベントというか、フェスティバルのように位置づけて、武藤先生からもお話があったように、「1年に1回なんだから」という希少性というか、そういうサイクルの中で何か面白いことをやって、みなさんで盛り上がろうという方向性があります。

また、今、三好市あるいは秋田県の田中さんからもお話があったように、もっと継続的な普段の取り組みがあって、むしろ、そういうものの中でチャレンジデーをうまく利用しながら、もっと大きな意味でスポーツの普及や振興の中にチャレンジデーをうまくはめ込んでいく取り組み方もあると思いました。

先ほど、グループワークでのディスカッションのシートを見て、ラジオ体操とうまく連動しているという取り組みも載っていました。私も歳でしょうか、最近、早起きで、朝5時ぐらいからうろうろしています。特に、今、節電とか、エネルギーの問題などが言われておりますが、若い方や仕事を持っている方は、日中は仕事でどうしても難しいという時に、ターゲットとして朝というのは、「あり」という気がします。

そこにどういうイベントが向くかどうかはあるでしょうが、少し乱暴な言い方かもしれませんが、早起きすること自体にチャレンジ性があります。みなさん、仕事に行く前の朝の時間をどう使うかというところで参加率の向上や、日頃は使っていない朝の時間帯の活用というところに世代を問わず可能性がある気もします。

パネルディスカッションの前の打ち合わせの時間に出た話題ですが、若い人の取り組みで、「よさこい○○○」があります。YOSAKOIソーラン祭りを北海道札幌市で見ましたが、ものすごい熱狂です。本家は確か高知県だと思うのですが、今や、いろいろなところで開催されています。最終的には、順位が決まるところに盛り上がる要素がある気がします。地域とか、コミュニティでコンテスト形式みたいなものでうまく競うような…。ただ、決勝は、平日にはやりにくいと思うので、週末に本大会があって、それに向かってチャレンジデーの日にみんなが練習し合うことになれば、両方おいしいという感じもしないでもありません。

私は、自分にとって面白いことは何かを考えます。その中で、長い間、スポーツに取り組んできましたが、結局、どうやって自分を「はみ出す」かに常に面白さがある気がします。例えば、100mしか泳げなかったのに150m泳げたというのは、まさに自分をはみ出すことだと思います。毎日6時に起きていたのが、今日は5時半に起きるというのもはみ出す行為だと思います。自分の住む町で、あの山の向こう側には行ったことがないけれど、ちょっと行ってみようかというのもはみ出すことだと思います。私なりの言い方ですが、地域の方々に、日常からどうやって少しだけはみ出してもらうかです。日頃、お手伝いしない方に、ボランティア的に何かお手伝いをしてもらうことも、ある意味ではみ出してもらうことだと思います。

チャレンジデーを私なりに定義をすると、日頃の自分から少しだけはみ出すチャレンジをしてもらう、それが15分というきっかけだと思います。はみ出し方のバラエティーとか、種目や要素は、いろいろな工夫があると思いますが、一つは、地域性をどうやって活かすかです。オリジナルなものをどうやって作るかに一番の面白みがありそうな気がしています。

生意気な言い方で恐縮ですが、お集まりのみなさんは、恐らく、その地域で一番ご自身をはみ出している方々だと思います。そうでなければ、東京都(この会議)まで来ていません。こんなにはみ出して東京都まで来ているので、どうかこのままはみ出し続けて、仲間にも、「もっとはみ出しましょうよ」とお誘いください。いろいろなはみ出し方があると思うので、そこは一工夫して大きなエネルギーにしてください。

最後に一つだけ言わせてください。負けた方の市町村は、ただ、旗揚げをするだけではつまらないのではないでしょうか。町長とか、市長が祝福に来るとか、勝敗をもっとはっきりする感じにするともっと盛り上がるのではないでしょうか。代表者が手土産持って役所などに挨拶に来るぐらい明暗がくっきりすると、さらにヒートアップするかなと。やはり競技スポーツ的な発想でしょうか…。これは全くの蛇足ですが…。ありがとうございました。

黒田:

ありがとうございます。青島さんの「はみ出し」を聞いておりましてたいへん面白く感じました。笹川スポーツ財団もスポーツ団体の中では、少しはみ出た団体で、青島さんが持っている企画力をいただきつつ、これからチャレンジデーに新しい取り組みなども加えていきたいと感じました。ありがとうございました。長崎さん、お願いします。

長崎:

私は、小さい頃から少しはみ出していたので、できるだけはみ出さない人生を歩んできたつもりでしたが、青島さんのお話を聞いて少し安心しました。

私は、今回、チャレンジデーを初めて拝見し、実際に体感していろいろな広がりを感じました。いろいろ感じた中で、一つは、私も小・中・高校生の母親をしているので、子どもたちに、「スポーツを、身体を動かすことの喜びを」という話をいつもしますが、誰一人水泳はやっていません。なぜかというと、私が多方面でさまざまな苦労話をするからか、泳ぐことは大好きですが、競技スポーツとしての水泳には、どうも関心を示してくれません。

ただ、身体を動かすことは本当に大好きで、チャンスがあれば、スポーツに取り組む子どもたちではあります。そこに至るまでに、自分が母親としてトライしてきたのは、子どもにスポーツをさせようと思ったら、親が積極的に身体を動かさなければならないとずっと思っていました。

スポーツの世界なので、年上を超えることは簡単です。私は、小学生でも、中・高校生、社会人を超えることができると思っています。しかし、スポーツに対する姿勢とか、熱心に取り組むところとか、夢中になることがどれだけ人間を生き生きさせるかを教えてあげられるのは、親であり、先生であり、おじいちゃん、おばあちゃんであり、初めは自分の身近な人だと思うのです。

私は、数字としてのデータは持っていないので、笹川スポーツ財団からもっとデータをもらわなければいけないかもしれませんが、日々、生活をしている中で、あまり身体を動かさない子どもたちの両親はあまり身体を動かしていないと感じています。そのきっかけづくりをしてくれるのがチャレンジデーだったと今回感じました。

訪問先で、「今年は、震災の影響で、参加したくても参加できない自治体がありました。だから、私たちが、今日、チャレンジデーでスポーツに取り組むということは、スポーツの力で日本を元気にする第一歩だ」とお話ししました。これは、私事ですが、震災のあとに、さまざまなスポーツアスリートたちが現地で活動したり、いろいろな支援の取り組みをしている中で、私は、ものすごく無力さを感じました。私は元水泳選手なので、水がないと何もできません。しかも、プールがないと何もできません。明日から世界水泳の競泳も始まりますが、現役だったら、一生懸命に頑張って記録を出したり、結果を残すことで、なでしこジャパンのように日本に元気を与えることができますが、現役ではないのでそれもできません。ものすごく無力さを感じましたが、ちょうどいい時期にチャレンジデーがあって、「スポーツの力で日本を元気にしようよ」という言葉を、声を上げて言えただけでも大変幸せでした。そのきっかけを作っていただいた皆さんに心から感謝しています。皆さん、これからもチャンレジデーではみ出していってください。今日はありがとうございました。

黒田:

ありがとうございました。武藤先生、よろしくお願いします。

武藤:

三好市の方の発言を伺ったので、初めに、「毎月チャレンジデーをやるのは疲れる」という意見を撤回します。私が一番懸念している状態は何かというと、日本中の自治体がチャレンジデーをやっているのが一番気持ち悪いと思っています。多様性が大事ということを、青島さんは、「はみ出す」という言葉で言われた気がします。チャレンジデーを毎月やるのも多様性、はみ出しでしょうし、負けた方が勝った方に謝りに行くのも、自由にやればいいことだと思います。

昔は、歩くことを「運動」とは言っていませんでした。ところが「ウオーキング」という名前を付けて運動にしてしまった。言い張った方がいてこのようになったのだと思っているのですが。そういうかたちで、はみ出すことによっていろいろなものが変わっていくと思っています。

みなさんは、チャレンジデーも、基本形は大前提ですが、それをどのように活用しているか。冒頭の言い方を使えば、チャレンジデーで何に参加するかとか、何を目指すのかを、これからもぜひ一緒に考えていければいいと思います。ありがとうございました。

黒田:

ありがとうございました。それでは、時間となりました。今回、「スポーツの力で日本を元気に」ということで、ワークショップの始めでも、エールフォトプロジェクト報告がありましたが、「スポーツでなくても一緒に頑張りましょう」という声も全国からたくさんいただいています。そういう声が多くもらえるのも、スポーツの力、一緒にチャレンジデーを取り組んできた仲間だからではないかと実感した次第です。地域のみなさんから地域を元気にして、それが日本のスポーツの力につながっていくということで、これからもスポーツの力で日本を元気にできるように、私どももチャレンジデーをはじめとして、さまざまな事業に取り組んでいきたいと改めて決意をした次第です。1時間本当にありがとうございました。

プロフィール

青島健太氏 スポーツキャスター/笹川スポーツ財団 理事
慶應大学、東芝を経てヤクルトスワローズに入団。公式戦初打席で初本塁打を放つ。1989年に退団後、オーストラリアで日本語教師を務める。帰国後、ライターおよびキャスターとして、スポーツの醍醐味を伝えている。

長崎宏子氏 ゲンキなアトリエ取締役/笹川スポーツ財団 評議員
1984年ロサンゼルスオリンピック、1988年ソウルオリンピックに水泳・平泳ぎで出場。日本オリンピック委員会(JOC)職員、国際オリンピック委員会(IOC)選手委員会委員を経て、スポーツコンサルティング会社「ゲンキなアトリエ」取締役に就任

武藤泰明氏 早稲田大学スポーツ科学学術院教授/笹川スポーツ財団 スーパーバイザー
東京大学大学院修士課程修了後、三菱総合研究所に入所。2006年4月から早稲田大学教授。専門は、マネジメント、スポーツマネジメント。

ページの先頭に戻る