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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

島根県雲南市

報告書

島根県雲南市報告会の様子1
島根県雲南市報告会の様子2
島根県雲南市報告会の様子3
島根県雲南市報告会の様子4

1.自治体名

島根県雲南市

2.意見交換会概要

日時
2012年2月22日(水)18時半~20時半
場所
雲南市下熊谷交流センター会議室(雲南市木次町下熊谷1096-1)
出席者
雲南市教育委員会、雲南市体育協会、雲南市体育指導委員協議会、雲南市スポーツ少年団(スポ少)連絡協議会、雲南市小学校体育連盟、雲南市・飯南町中学校体育連盟、総合型地域スポーツクラブ関係者 約30名

3.会議主題

学校のスポーツ活動における地域人材の活用について

4.会議主題と関連するSSFの提言

5.議事要旨

SSFは同市教育委員会とともに、市内の3小学校に配属された「地域スポーツコーディネーター」*の導入成果の検証を平成23年度の共同研究として進めている。対象校の一つである掛合小学校は、平成20年に5つの小学校が統合して出来た学校ということもあり、通学範囲が広く児童の多くがバス通学である。バスで帰宅後も隣家が離れているため、子ども同士で遊ぶ機会に恵まれない。このため、スポ少に参加している児童とそうでない児童の体力・運動能力の二極化が進んでいる。同校は二極化を改善するにあたり、全ての児童が参加できる放課後時間を利用したスポーツ教室の拡充に努めている。
教室の拡充にあたっては、外部のスポーツ指導者による指導を期待したものの、単発での指導は成立するが継続した指導が受けられないことが課題となっている。
そこで今回の意見交換会は、会議主題を「学校のスポーツ活動における地域人材の活用について」とし、学校と地域(地域のスポーツ団体・クラブなど)がいかにすれば連携の度合いを深め、児童・生徒のより豊かなスポーツライフの形成に向けて継続的に協力できるのかについて協議した。

*地域スポーツコーディネーターについて

雲南市では、平成20年6月の社会教育法の改正を背景に、学校支援、家庭教育支援を目的に、子どもの教育活動と大人の学習を融合させた「社会の要請に応える社会教育」の実践者として平成22年度から各中学校区(7校区)に「社会教育コーディネーター」7名を配置した。このうちの3名が平成23年度より、子どもたちの健康・体力づくり活動の充実に主業務を特化して「地域スポーツコーディネーター」として、市内の3小学校に配属された。

出席者からの主な意見は以下のとおり。

  • 学校側に共通する問題としては、少子化にともなう教員数の減少がある。教員が減り、一人ひとりの業務負荷が大きくなる中で、スポーツ指導に十分に時間を割きたくても割けないという現状がある。また、外部指導者の協力を仰ぎたいと思うと同時に、指導を丸投げには出来ないという思いがある。
  • 学校側としても、総合型クラブなどから指導者派遣が受けられれば活用したいが、地理的に遠く、移動だけでかなりの時間を使ってしまうため、なかなか活用できない。
  • 総合型クラブも、資金面、人材面ともに不足しており、仮に学校側からニーズを寄せられても、十分に人材を派遣できる体制にない。
  • 学校側にニーズのある若い世代の指導者は勤務先の理解を得にくく、平日での派遣となるとなおさら協力するのは難しい。
  • スポ少の指導者をしているが、以前に比べてスポ少と学校とのコミュニケーションが少なくなったと感じる。スポーツ指導のあり方について、以前はもっと交流があった。そうした交流から指導者派遣の協力も協議できるのではないか。
【SSFの政策提言について】

SSFの政策提言「学校とスポーツ」に対する主な指摘は以下のとおり。

  • 幼少期の豊かなスポーツ体験が、その後のスポーツライフの基盤形成上、重要であることから、教員の資質向上を図るべきという指摘に賛同する。教員を育成する上では社会教育の要素をカリキュラムに盛り込むべきと考える。
  • 島根大学でも「1,000時間体験学修」として教員を目指す学生にはボランティア活動などの社会貢献を義務づけている。一定の社会経験を積んだ者が教員になるべきとの指摘には賛同する。

6.まとめ

会議を通じて感じたのは、スポ少、総合型クラブ、体育協会、スポーツ推進委員と所属先こそ違うものの、各々でみれば指導者数が極端に不足しているようには見えないという点であった。そこで、まずは団体間の情報共有が図れる場を設定し、学校側からのニーズと人材供給の調整を行うことから始めることを提案した。

その上で、派遣される指導者が勤務先の理解を得られるよう行政が企業側に働きかけるなど、具体的な取り組みについて話し合うことが重要であるという点についても全体で確認した。

会議の総括として、以下を確認した。

  1. 地域のスポーツ指導者が団体の枠を越えて協力し、学校側の指導者派遣ニーズとの調整を図れる機会の創出。
  2. そうした機会を通じて、スポーツ振興が自治体としての優先施策の一つであることを共有し、指導者が学校等にスムーズに派遣される仕組みのあり方について検討する。