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国際情報
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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

スポーツアカデミー2012

特別編 わが国のスポーツ人口、競技人口を考える

スポーツアカデミー2012特別編の様子

2月13日にスポーツアカデミー特別編が行われました。

特別編では、スポーツ白書の各章を題材とした通常講義とは異なり、「わが国のスポーツ人口、競技人口を考える」と題して、笹川スポーツ財団による直近の調査研究結果を中心に現在の日本のスポーツの実施状況とその把握にかかる課題などについて主任研究員の澁谷が解説しました。

笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 主任研究員 澁谷 茂樹

笹川スポーツ財団
スポーツ政策研究所 主任研究員
澁谷 茂樹

講義は、「スポーツ人口=何らかのスポーツを実施している人の数」と「競技人口=競技を実施している人の数」の違いについての説明に始まり、「スポーツ人口」の把握にかかる国の調査(内閣府「体力・スポーツに関する世論調査」、総務省「社会生活基本調査」)と笹川スポーツ財団(SSF)の調査の違いに関する説明、競技人口に関するデータとしてのSSF「中央競技団体現況調査」の紹介と続き、後半部分ではそうした競技人口の拡大に努める中央競技団体の運営状況に関するSSFの調査結果(SSF「中央競技団体の運営に関する調査研究」)が紹介されました。澁谷からは、競技団体への登録者数だけでは、競技会に参加する未登録の競技者などがカウントされないことや、団体の管理下にない大会が多数存在する競技もあることなどにより、競技者人口の把握自体に限界があるとの指摘がありました。講義の最後に、2000年から2010年までのSSFによる「スポーツ活動に関する全国調査」および2001年から2009年までの「10代の運動・スポーツ活動に関する全国調査」を二次分析し、成人および青少年の運動・スポーツ実施率の推移やニーズを種目別に明らかにした「種目別にみるスポーツ実施状況に関する調査」の内容を紹介し、種目(競技)別の実施人口の現状把握を、実施頻度や年代などの掛け合わせによって分析することで、今後の普及のターゲット層がみえてくると説明しました。

澁谷による講義のあと、スポーツ白書の編集副委員長でもあり、本スポーツアカデミーのメイン講師を第1回からお務めいただいている横浜国立大学の海老原修先生による総評が行われました。総評では、スポーツの振興を考える上では、こうした客観的なデータの収集と分析が重要であることの指摘に加え、スポーツという言葉の語源から紐解くその意義や探求すべき可能性についての解説がなされました。

講義と総評によって予定時間いっぱいとなったため、質疑の時間を割愛して終了しました。全体終了後、参加者の多くが海老原先生および澁谷と質問、意見を交わされました。