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開催報告

2012年度開催報告

第6回 11月29日(木)18:30~20:00開催

第6章 プロスポーツと企業スポーツ

第6回目となるスポーツアカデミーが11月29日に行われました。

今回は、「スポーツ白書~スポーツが目指すべき未来~」の第6章「プロスポーツと企業スポーツ」をテーマとして、現在のわが国のトップスポーツの現状に関するデータの解説と、メイン講師の海老原修先生(横浜国立大学)による解題が行われました。

最初に海老原先生が「トップスポーツの世界にも、政治や行政と同様に、構造改革の波が押し寄せている」として、1990年以降の企業スポーツチーム数の減少と2000年以降の停滞、その後のbjリーグ発足などに見られる、新たな地域密着型プロスポーツクラブを志向する動きについて説明されました。そのうえで、トップスポーツの世界における財務情報の詳細は労使とも明らかにされないことも少なくなく、公表されているデータといえども慎重に見極める必要があると指摘されました。

海老原先生による説明の後、SSFスポーツ政策研究所の吉田智彦研究員が、本章の構成に基づき、「Jリーグの収入とクラブへの配分金の推移」から「企業がスポーツチームを所有する理由」まで、わが国におけるプロスポーツ、企業スポーツの直近の状況に関する13の図表について説明を行いました。

海老原先生が冒頭で指摘された「トップスポーツの世界の構造変化」を示すデータとしては、Jリーグ発足当初(1993年)はリーグ総収入の約4割を占めていた商品化権料が現在では数パーセントにまで減少している一方、スポンサー企業からの協賛金と放送権料を合わせた収入額がほぼ倍となっている件や、プロ野球ではテレビ放送権料が大幅に減少し、球団によってはピーク時の約1/3にまで落ち込んでいることなどが報告されました。また、ほぼすべてのトップスポーツチーム(JOC強化指定選手所属チームおよび日本トップリーグ連携機構加盟リーグ所属のチーム)が企業チームであった1980年代から、現在は全体の約3割がクラブチームとなっているといった組織形態の多様化についても指摘がなされました。

解題では、海老原先生がトップスポーツチームによる全国大会などにおいて出場チームの母体企業の社員が福利厚生の一環などとして応援に借り出されるケースなどを念頭に「企業スポーツは原初的に競技者と観客が同列の従業員であり、その構造は学校対抗形式競技の延長線上に位置する。大相撲の特徴は競技者と企業家が同族で、驚異的な競技者自治。芸能の原点、かぶきものに始まる日本型興行の特異性が色濃く潜在化、顕在化する。紐解きは3者(経営者・競技者・観客)が独立した存在か否かにある」と指摘されました。先生は、3者が独立した状況か否かを、単純に良し悪しと結論付けるのではなく、評価対象とするチームがまずはどのような状況にあるのかを、こうした視点などを通じて客観的に分析することが重要であると説かれました。

その後の質疑では、プロ野球球団が単年度収支で損失を出した際の親会社による補てんに対し、税制上の優遇措置が与えられる現行制度について意見が交わされました。フロアからは、制度の是非を問うにあたっては、野球の普及を通じて社会に貢献するという球団の存在意義も含めた議論が必要ではないか、といった興味深い意見も寄せられました。フロアとのいくつかのやり取りの後、予定の時間を迎えて終了いたしました。

笹川スポーツ財団
スポーツ政策研究所 研究員
吉田 智彦

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