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国際情報
International information

「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

スポーツアカデミー2012 第2回

スポーツ施設

第2回スポーツアカデミー2012の様子

第2回目のスポーツアカデミーが7月27日(金)に行われました。

今回のテーマは、「スポーツ白書~スポーツが目指すべき未来~」の第2章「スポーツ施設」でした。冒頭、メイン講師の海老原 修 先生が、本章全体のテーマについて「(多様な年齢や競技志向にも対応可能な)アクセシビリティの高いスポーツ環境とは、どのような施設が中核となるべきかを考えるためには、わが国のスポーツ施設整備状況の現況の把握が必須」であり、「現状を踏まえた上で、実現可能な今後のスポーツ施設整備のありかたを展望することが重要」と説明されました。

笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 研究員 藤原 直幸

笹川スポーツ財団
スポーツ政策研究所 研究員
藤原 直幸

海老原先生の説明を引き継ぎ、SSFスポーツ政策研究所の藤原 直幸 研究員が、本章に掲載されている主要データについて解説を行いました。データの解説では、「主なスポーツ施設の数」として文部科学省がそれぞれ異なる調査によって集計している社会体育施設と学校体育・スポーツ施設の数の比較、国民が主に活用しているスポーツ施設の種類、障害者が専用あるいは優先的に利用できる障害者スポーツセンターの設置数の推移、PFI(Private Finance Initiative)に関する説明とわが国における主なPFI活用スポーツ関連施設の紹介などがなされました。解説の最後に「主な公共スポーツ施設整備費補助制度」として、文部科学省、国土交通省、経済産業省、防衛省など複数の省庁による補助制度が紹介されると同時に、その財源の違いから自治体においては施設に関する情報管理が一元化しづらいという側面もあることなどが説明されました。

総括では海老原先生が、SSFが昨年発表した政策提言「学校体育施設の管理・運営を、公益性の高い民間組織に委ねるべき」の内容に触れられ、わが国の体育・スポーツ施設全体の約6割を占める学校体育施設を今後いかに有効活用すべきか、児童・生徒と地域住民の「共用」のあり方について議論することが重要と指摘されました。

質疑においては、フロアから「廃校施設を含む学校体育施設の管理を民間の団体に委ねるなど、有効活用の機会をより広げるにはどうすべきか?」といった質問や「公共スポーツの稼働率に関する全国的なデータはあるのか?」などの質問が出されました。前者に対しては、海老原先生が自身も関わられた廃校施設活用事例に基づいた解説を行われ、後者に対しては主任研究員の澁谷から稼働率に関する全国調査は存在しないものの、自治体レベルでは施設の利用状況について独自の調査結果を公表するケースが多いとして、ある自治体の事例に基づく説明がなされました。後半に向かうにつれフロアとのやりとりが活発化し、予定の終了時間を迎えました。