Search
国際情報
International information

「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

知る学ぶ
Knowledge

日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

スポーツアカデミー2013 第6回

人はスポーツに何を望むのか? ~再考:スポーツをみる~

公益財団法人日本フラッグフットボール協会 専務理事 町田 光 氏

公益財団法人日本フラッグフットボール協会
専務理事 町田 光 氏

3月12日、今年度最後となるスポーツアカデミーが行われました。今回は、「『スポーツを見る』について考える」と題して、公益財団法人 日本フラッグフットボール協会 専務理事の町田 光 氏を講師に迎えました。

町田氏は、大学卒業後に就職した就職情報会社で13年目に「新規事業開発担当部長」に任命された際、アメリカのNational Football League(NFL)による日本市場進出の企画コンペに参加。プレー経験が皆無にも関わらず、NFLと代理業務契約を締結し、NFL JAPAN Linkという組織の代表者に就任されました。その後、NFLの日本法人であるNFL JAPANを2001年に設立、代表取締役社長に就かれた経歴をお持ちです。

NFL JAPAN設立と同年に「全日本フラッグフットボール協会」を設立し、その後、公益財団法人 日本フラッグフットボール協会に改組した現在の組織の専務理事に就任されました。

同協会では、小学校の学習指導要領にフラッグフットボールを盛り込む活動に尽力され、実績を残されています。(2011年度より採用)

今回の講義では、町田さんの持論である「『見る側の視点』が日本のスポーツの将来を決定する」について、「するスポーツ」と「みるスポーツ」の関係性、「スポーツの公共性」などからひも解いてお話しいただきました。


主なポイント

<「スポーツを見る」という事について考える>

  • 「スポーツ立国戦略」(2010)において、「みるスポーツ」については具体的な戦略、取り組みについての言及はない。
  • 「するスポーツ」振興のみのアプローチで「スポーツ文化」は醸成できない。
  • 「するスポーツ」と「みるスポーツ」の関係性とは?
    「するスポーツ(純粋行為)」×「みるスポーツ(自由・勝手な意味づけ)」=スポーツの位置づけ(人々の幻想を受け止める包容力の高い装置)
  • 共同幻想の装置であるという点にこそ、スポーツの価値があるのではないか?
  • 「スポーツをみる」という行為を抜きにして、スポーツの「社会における存在価値」や『公共性』は成立しえないのではないか?
  • 人に自分自身の存在や、自己のルーツを思い起こさせる強力な存在は他に無い。

<成熟社会を迎えた日本におけるスポーツの重要性 ~何が新たな価値を与えるか?~>

  • 成熟社会とは、豊かさと自由と引き換えに、皆が孤独や不安に向き合わねばならない時代
  • 人とのつながり、一体感など「生に対する肯定感」を得ることのできる「社会装置」が必要⇒スポーツに求められる新たな価値(可能性)
  • 「新しいスポーツのあり方」の探求には「従来のスポーツの対象化」作業が必要⇒そこで重要なのが「見る側の視点」
  • では「するスポーツ」には「公共的な存在」になる可能性はないのか?⇒「否」
  • 重要なのは「スポーツ=遊び」の原点に立ち返り、だれでも参加できる「スポーツソフト」に再構築すること

<最後に“前向きな”提言>

「競技者自治」の構造を変え、様々な領域から広く有能な人材を登用し、新たな才能、新たな思考、新たな行動で、「スポーツの価値」を再定義し、真の公共財にしよう!