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開催報告

2013年度開催報告

第5回 1月24日(金)18:30~20:00開催

アンチ・ドーピング ~日本の現状、世界の潮流~

1月24日、今年度5回目となるスポーツアカデミーが行われました。今回は、「アンチ・ドーピング ~日本の現状、世界の潮流~」と題して、公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構(JADA)専務理事の浅川 伸氏を講師に迎えました。

浅川氏は、筑波大学大学院を卒業後、約10年間の民間企業での勤務経験を経て2003年JADAに就職し、2011年から専務理事を務められています。2004年オリンピックアテネ大会、2007年 Pan American Games、2009年ワールドゲームズなど、国際大会でのアンチ・ドーピング活動に従事した実績をお持ちです。

今回の講義では、国際的に活躍されている浅川氏に、プロアマ問わず世界共通の課題であるアンチ・ドーピングの現状と傾向、活動の意義、今後の課題についてお話しいただきました。

公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構
専務理事 浅川 伸 氏

主なポイント

  • アンチ・ドーピング活動とは、ドーピング検査、摘発活動のみではなく、スポーツの価値を意識して高めていく活動全般のことを指し、フェアプレイ精神やスポーツの価値を護り、発展させる活動である
  • スポーツ精神、オリンピック精神の神髄であり、スポーツ固有の価値を保護する活動をプロモートしていく活動といえる
  • JADAの活動は、IOCのオリンピック・ムーブメントと全く同じコンセプトに基づいている

1. 日本におけるアンチ・ドーピング活動の位置づけ

スポーツ基本法ならびにスポーツ基本計画においては、スポーツの透明性、公平・公正性の向上に関する項目が明確に柱立てされている。UNESCOの「ドーピング防止に関する国際規約」を受け、スポーツ基本法でも国がアンチ・ドーピング活動の推進に必要な施策を講じると明記されており、アンチ・ドーピング活動は行政の責務である。

【JADAの主な活動内容】

  • スポーツ界の透明性、公平・公正性を向上させること
  • 誰もが安全かつ公正な環境の下でスポーツに参画できる機会を充実させること
  • アンチ・ドーピング活動の重要性の認識、意義、Play Trueの精神を広め深めること
  • アンチ・ドーピング活動の推進と教育啓発を充実させること(国際的な水準の検査体制、情報提供体制)

2. 世界の潮流

Declaration of Berlin MINESP Ⅴ (2013)、Johannesburg Declaration (2013) より、政府、公的機関等が国際的連携のもとで対策を講じることが議論されている。 国を超えて問題意識を共有し、各国政府は責任をもって「公正・公平な」「誰もが安全に参加できる」スポーツ環境が担保されている社会の実現に取り組むべきであるとしている。
キーワードは、「Inclusion」と「access to sport」。

  • 宗教、性別、年齢、障害、国籍、文化等によらないスポーツ環境づくり
  • 差別のない体育科教育の実施、教育啓発
  • 先入観や社会障壁を越えるための意識改革教育の実践と共有
  • 心身の健康増進のために有効な手段

3. アンチ・ドーピングの実態

“見えない”ドーピングの現状

検査をすり抜ける巧妙なドーピングが広がり、ドーピング市場が犯罪組織にコントロールされている。不法なサプリメントを含むドーピング物質の販売マーケットに国際的犯罪組織が入り込む等して、スポーツの価値(フェアプレイ精神に基づき薬に頼らず己の能力の限界に挑戦するなど)が貶められる危機にさらされている。

4. 日本のアンチ・ドーピング活動

“ALL JAPAN”の取り組み

適切な情報提供と教育啓発の仕組みの構築、整備体制が必要である。また、アスリート、コーチやサポートスタッフ等に対する教育も重要である。
国家の品格=その国におけるスポーツの品格(Integrity of Sport)は、その国の競争力の一部とも評価される。以下が、わが国のこれまでの主な取り組みである。

  • 2009年「公認スポーツファーマシスト制度」設立(日本薬剤師会との連携)
  • 2013年「Global Drug Reference Online JAPAN」開設(使用可能薬についてのグローバルに運用するウェブ検索サイト)
  • 2013年より「高等学校 学習指導要領」にスポーツの価値を推進するとしてアンチ・ドーピング教育が盛り込まれる
  • 2013年JADA、WADA、日本製薬団体連合会(FPMAJ)による「アンチ・ドーピング活動を推進しスポーツの価値を守り育む」共同宣言調印

5. 活動の意義と今後の課題のまとめ

  • スポーツは全人教育に有効であることから、社会の公共財産といえる
  • フェアプレイを構築する3つの要素:
    Excellence(自己を信じて最善を尽くすこと)、Friendship(仲間を信じること)、Respect(他者を尊敬すること)
  • “日本のスポーツ=クリーン”というブランディング&All Japanでの取り組み
    日本のスポーツのフェアネスの高さは、日本におけるスポーツの価値の高さを示し、これを世界に向けて発信し、スポーツの推進に取り組むことが「スポーツ立国の実現」に資する。

2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致活動においても「スポーツのフェアネスを護る」日本の実績は高く評価された。2020年の大会成功に向けても「ALL JAPAN」で取り組むことが、オリンピック・ムーブメントの発展に寄与するのみならず、日本のスポーツ全体の振興、そしてスポーツを通した社会の発展に寄与することの追い風となる。

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