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国際情報
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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

スポーツアカデミー2013 第1回

ラグビーの普及と強化 2019年W杯開催への挑戦

スポーツアカデミーの様子

5月23日、2013年度の第1回となるスポーツアカデミーを開催しました。テーマを「ラグビーの普及と強化 2019年W杯開催への挑戦」として、公益財団法人日本ラグビーフットボール協会(以下、JRFU)コーチングディレクター中竹 竜二 氏に講師をお務めいただきました。

今年度初回ということもあり、冒頭、笹川スポーツ財団常務理事の渡邉が今年度のスポーツアカデミーは、主に「スポーツ基本計画」(2012)の7つの重点施策に関連したテーマを演題とするとの説明を行いました。今回の中竹氏の講演は、「国際競技力の向上に向けた人材の養成やスポーツ環境の整備」に関連します。

日本ラグビーフットボール協会 コーチングディレクター 中竹 竜二 氏

日本ラグビーフットボール協会
コーチングディレクター
中竹 竜二 氏

中竹氏は、JRFUのコーチングディレクターとして、「日本中、どこでも、誰でも、質の高いラグビーを学び、向上できる環境づくり」のミッションのもと、日本代表の全カテゴリーの指導者に対し「世代を越えて一貫したコーチング」の重要性を説き、定期的なミーティング等を通じて指導者の育成に努められています。今回は、そうしたご経験に基づくJRFUで実際に行われている指導者育成の取り組み、特に日本ラグビー界にとって大きなターゲットである「2019年ワールドカップ日本開催」に向けた挑戦についてご講義いただきました。

講義では、「プレーヤー育成のゴール=社会に自立貢献できる人材(の育成)」「ラグビーを通して、自ら考え、課題を解決し、成長し続ける」「コーチ自身が学び続ける成長サイクルを持つ」など、「自律」や「自ら考える」といったキーワードが繰り返し使われました。最後に、2019年のワールドカップ日本開催について「2019年RWCは物語である」として、携わるすべての関係者がその物語(ストーリー)を漫然と受け入れるのではなく「こうしよう」と主体的にかかわっていく意志を表明し、連携の輪を広げていくことが重要と話されました。

笹川スポーツ財団 渡邉 一利 常務理事

笹川スポーツ財団 渡邉 一利 常務理事

講義後の質疑ではフロアから「子どもへの普及と強化」や「ドロップアウトした選手へのケア」などについて質問が出されました。前者については、JRFUとして高校生以上の指導指針が固まった段階なので、今後、指導マニュアル等の整備が急務であるとの説明がなされました。後者については、キャリアサポートの仕組みが動き出したことなどが紹介されました。

主なポイント

  • 2019年W杯開催に向けて、まず冷静な現状把握とビジョンの明確化が必要である。また、それをスローガンや指針など具体的な文字情報に落とし込み、交換・共有する
  • 「一貫指導」は、世代間の「タテ」の一貫性に加え、地域間の「ヨコ」の一貫性、「選手・コーチ・レフリー」をつなぐ「ナナメ」の一貫性といった3方向の一貫性に基づくことが重要
  • JRFUの一貫指導は「日本中、どこでも、誰でも質の高いラグビーを学べる環境づくり」を目指し、「人材」「マニュアル」「場・仕組み」の3点セットを重視
  • 指導者の育成方針を立てるにあたっては、国民全体に愛される「日本のラグビーのありかた=魅力」からドリルダウンする
  • プレーヤー育成のゴールは、「社会に自立貢献できる人材」だが、そのために必要な要素はラグビーを通して「自ら考え、課題を解決し、成長し続けること」「多様なヒューマンスキルを学ぶこと」である
  • 指導者は、自らのコーチングを「計画/準備:Plan」「実行/本番:Do」「振り返り:Review」の3つの行程を繰り返すことを通じて「成長/改善」することが重要