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第3回スポーツアカデミーのご報告

スポーツアカデミー2016

第3回 8月30日(火)19:00~20:00開催

「スポーツ施設を活かしたこれからのまちづくり」

2016年度第3回目のスポーツアカデミーが8月30日に開催されました。
今回は日本政策投資銀行地域企画部の桂田隆行氏にご講義いただきました。


  【当日の概要報告】

※以下の報告は、別掲の当日資料と合わせてご覧ください。

桂田 隆行氏(日本政策投資銀行)

<主な講義内容>

スポーツ施設が単なるスポーツを「する」、「みる」場所というだけではなく、地域コミュニティーの核となり、地域の活性化につながるような先進的な取り組みが全国に広がり始めている。金融機関に身を置く立場で大規模スポーツ施設の現状や今後のあり方を研究している桂田氏に、新たな価値創造に取り組むスポーツ施設の現状について報告いただいた。

1.スポーツ施設のあり方

スポーツ施設にはさまざまな役割があるが、地域の活性化を念頭に置いた場合、5つの視点が考えられる。これまでのスポーツ施設は公益性を重視するあまり、「する」と「みる」の両方を満たす施設を整備する傾向が強かった。今後は「する」と「みる」、どちらの機能を重視した施設とするかを意識し、以下(1)~(5)の5つの視点を適宜組み合わせながらスポーツ施設を建設、運営していくべきではないだろうか。

(1)地域アイデンティティーの醸成

スポーツ施設は地域の誇りになりうる。Jリーグなどではスタジアムで地元チームの旗を振って応援する若者がたくさんいる。スポーツが若年層の定住に貢献する可能性もある。

(2)「まちなか」賑わいの創出

郊外ではなく、まちの中心地にスポーツ施設があると人が集まり、地元商店街の消費拡大や都市の魅力向上につながる。また、防災拠点としての機能を持たせることもできる。

(3)健康寿命の増進

スポーツ施設を活用してスポーツを楽しむ人たちが増えれば、健康寿命が延び、将来的に地域の医療費・介護費の削減に結び付く可能性が出てくる。

(4)交流人口の拡大

スポーツ施設にスポーツ選手や関係者、ファン等が集まることにより、交流人口の拡大が期待できる。

(5)スポーツ産業の伸長

ITを駆使したり、ツーリズムと連携したりすることによって、スポーツが新しいビジネスモデルを生み出す起爆剤になりうる。

2.スポーツ施設(具体的事例)


(1)秋田ノーザンハピネッツ

秋田県初のプロスポーツ球団(バスケットボール)。試合前にファンがそろいのユニフォームで県民歌を歌うなど地域の誇りとなっている。プロバスケットボールのbjリーグでファイナルへの進出をした際には、東京の有明アリーナが秋田ファンでいっぱいになった。上記5つの視点では(1)の好例といえる。

(2)北九州スタジアム

福岡県北九州市のJクラブ、ギラヴァンツ北九州のホームスタジアムとなる予定で、2017年春にオープンを予定。JR山陽新幹線小倉駅から500メートルの立地で、賑わい創出の好事例。スタンドは4面のうち1面が開放されていて海が見えるつくりになっている。地域のシンボルがスタンドから見えるようにする設計は最近のトレンドでもある。

(3)アオーレ長岡

新潟県長岡市のJR長岡駅と直結し、市役所に併設されたアリーナ。かつて地元商店街が軒を連ねる旧市街地からは人が遠ざかり気味だったが、2012年にアオーレ長岡が誕生して以来、通行量が増えた。体重計の大手メーカーで知られるタニタや地元スポーツチーム等と連携し、スポーツ施設を中心とした健康づくりへの取り組みも進めている。賑わいを実現し、健康寿命の増進を目指している。

(4)尼崎スポーツの森

健康増進を目的とした兵庫県尼崎市の複合スポーツ施設。子どもがまた来たくなる場所を目指すという視点で各エリアをテラスでつないだ個性的な施設として知られる。運営・維持管理の統括を出資者であるヤマハ発動機が担い、屋内プールやスケート場といった施設の管理をそれぞれの専門業者に委託しているのが特徴。

(5)広島市民球場

プロ野球広島東洋カープの本拠地で、MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島として親しまれている。まちなかの賑わいを創出しただけでなく、観客数が増加し、球団の収益が大幅に増加した。球場内のコンコースを広くとり、球場内を1周まわることが可能。広島市の中心部のまちのシンボルであり、広島市民の誇り。

(6)FIBA 3×3 World Tour UTSUNOMIYA Masters 2016

栃木県宇都宮市で3人制バスケ世界大会を開催。中心市街地にある神社の境内の入り口にバスケコートを設置した。スポンサー資金と、選手たちから一部参加料をとって大会を成立させ、観戦は無料。海外からも選手や観客が集まり、地元商店街の人たちが神輿をかついで大会を盛り上げるなど、街なかの賑わい創出とともに交流人口が拡大した事例。

(7)FC今治

サッカーの元日本代表監督の岡田武史氏が運営会社の社長を務める愛媛県今治市のサッカーチーム。現在、5,000人規模のスタジアムを建設しており、将来的にはさらに1.5万人のスタジアム建設を目指している。このチームを核にしてコミュニティーづくりが進んでおり、岡田氏のキャリアと人脈も駆使して、講演会やワークショップを盛んに開くなど立派な地域資源になっている。

(8)横浜スタジアム

プロ野球の横浜ベイスターズの本拠地。ベイスターズの経営権を持つDeNAがスタジアム運営会社を子会社化し、球場とスタジアムを一体化した「コミュニティー・ボールパーク構想」により、新たなビジネスを展開しようとしている。

(9)超人スポーツ協会

最新のテクノロジーを駆使して新たなスポーツ用品やスポーツ競技を作ろうとしている若手研究者、クリエイターのグループ。より多くの人にスポーツを楽しんでもらおうという狙いで、新たな産業、雇用の創出も期待される。


3.まとめ


国内では「みる」スポーツ施設よりも、「する」スポーツ施設のほうが圧倒的に数は多い。しかし、現在は「みる」スポーツ施設に関する議論は行われているものの、「する」スポーツ施設においては、地域のコミュニティーづくり、交流人口の拡大、産業の創出という議論はまだできていないという印象。自治体の財政が厳しくなってくる中、これからのスポーツ施設は収益性という観点もより重要になるのではないだろうか。また、新しい施設や取り組みには、「こういうメリットがある」という効果測定が必須となる。効果をデータとして示すことができれば、自治体の協力も得やすく、結果として市民に愛される施設となる可能性も高まるだろう。

以上

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