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スポーツアカデミー2019
第1回「総合型クラブによる運動部活動支援~長野スポーツコミュニティクラブ東北の取り組み~」

講師:柳見沢 宏 氏(長野スポーツコミュニティクラブ東北 理事長)

2019年8月29日(木) 19:00 ~ 20:00

運動部活動を考える

<主な講義内容>

総合型地域スポーツクラブ、長野スポーツコミュニティクラブ東北(以下、スポコミ東北)は部活動指導員制度化(2017 年)や国によるガイドラインの作成(2018 年)に先んじて、部活動のサポートに取り組んでいる。「中学生のスポーツ環境を保障したい」というスポコミ東北の活動、今後の展望を紹介する。

1. スポコミ東北の概要

  2000年9月、ミニバスケットボールのスポーツ少年団を核に、多世代が集う形で、総合型地域スポーツクラブとして創設されたが2012年10月、行政とのかかわりを深めるクラブ経営を目指しNPO法人化。現在の会員は小中学生を中心に約400人、10種目の定期活動を行うほか、地域と連携した各種スポーツのクリニック活動などを行っている。また、長野市北部の3つの総合型クラブの連携組織「長野市総合型地域スポーツクラブ北部連合」を設立し、長野市から依頼されたスポーツイベントなどの運営も手掛けている。

2. 部活動支援とのかかわり

  スポコミ東北の部活動支援は顧問教員の異動などで徐々に先細りした。そうした状況で迎えた2013年12月、長野県が「中学生期における部活動のあり方」という指針を表明し、朝部活動の廃止を盛り込んだ。長野市は冬季、日没には完全下校、朝の活動は原則禁止で活動量に制限がかかっている状況であった。そうした環境下、部活動をもう少し充実してほしいといった生徒や保護者の声を受け、学校側の依頼として、スポコミ東北がスポーツをする環境を中学生に提供できるよう、文科系クラブも含めて部活動をもう一度しっかりサポートしていく方針を立てた。部活動支援は、「スポコミ東北中地域クラブ(地域クラブ)」として、各部が週3回程度、部活動終了後に活動している。部活動の生徒や指導者にも地域クラブに登録して活動する形をとっており、部活動とは一線を画している。

講師:柳見沢 宏 氏(長野スポーツコミュニティクラブ東北 理事長) 講師:柳見沢 宏 氏
(長野スポーツコミュニティクラブ東北 理事長)

3. スポーツで地域をつなげる

  クラブの活動が単に部活動の強化の手段とならないように、スポーツで地域をつなげるというクラブの理念を理解してもらった部活動だけに支援を行っている。現在、スポコミ東北が支援しているのは東北中学校の15ある部活動のうち、9部である。スポーツで地域をつなぐという理念のもと、朝部活の是非、スポーツ環境をどのように提供するのか、というテーマのパネルディスカッションを開くなど、部活動のあり方を行政やマスコミに訴えた。また、スポーツ環境の整備を地域や学校にも働きかけた。

 

  2015年2月にスポコミ東北の地域クラブがスタートし、2017年1月に地域クラブの規約を作成。規約には地域責任者による自主運営・保険加入、活動スケジュールの事前報告、スポコミ東北として責任を持てない活動があったときには活動を認めないなど、クラブとして部活動を組織的に支援する体制を整えていった。

 
長野市スポーツイベントチラシ 長野市スポーツイベントチラシ(クリックで拡大)

4. 今後の活動

  少子化、それに伴う教員の減少で、これまでの部活動、各大会などは維持が難しい時代になっている。そこで部活動の時間を保証するという当初の考えから一歩抜け出し、より地域に根差したクラブ化の必要性が高まっている。クラブ化を進めるために、東北中学校だけでなく、隣接する中学校の子どもたちもスポコミ東北の活動に参加できるようにしていく。まずは各競技で合同練習を開催するなどの連携からスタートする方針。すでに近隣の3地域の小学生から高校生を対象としたバスケ塾を開催している。

  指導者の確保は大きな問題である。現在は有志の顧問教員にスポコミ東北に登録してもらい、スポコミ東北から派遣する形でスポーツ指導をしている。質の高い指導者を確保するため、指導者の有料化を目指す。

<ディスカッション:主なやりとり>

  フロア  スポーツ指導者は主に学校の教員ということだが、教員以外の人材が出てくるとか、そういう人が参画しやすい体制を作ろうという動きはあるのか。

  講 師  バレーボール部の顧問が退職し、再任用で他の中学に行くと、部員が3人だった。その3人がスポコミ東北に加入し、教員も指導者としてスポコミ東北に参加している。現在は運動系の活動が15あり、6つの活動に教員が入っている。教員以外の指導者、外部指導者もいる。熱い想いや知識のある顧問が異動すると、これまでと同様の指導が受けられなくなる事例がある。こうした場合、地域責任者、地域の保護者がベースになり、当番制でその活動を見守って活動を保障している。一方で、質の高い練習を提供できる指導者の配置をすべての部活動で配置するのは現実的には難しい。将来的に課題と考えている。

  フロア  地元では服務規定が厳しく、教員はボランティア以外の活動はできず、謝金が出せない。そこをどうクリアすればいいのか。

  講 師  我々も同様な課題にあたり、解決に向けて動き出している。具体的には、教育長に有料化の相談をしたら、服務規程により難しいとの回答であった。指導者を確保するために、行政は今後どうするのか。質の高い、想いのある教員が有料で教えることが可能になれば、教員にとっても子どもたちにとっても、win-winの関係になる。これはやっていくしかないと思っている。

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