笹川スポーツ財団
スポーツをもっと知りたい! Vol.5
INDEX
注目選手に聞く、オリエンテーリングの魅力
HORIBA 番場 洋子 選手 Bamba Yoko
道なき道を疾走し、タイムを競う

オリエンテーリングの魅力は、手つかずともいえる大自然の中を、自分で決めたルートに沿って走るところです。日本やヨーロッパの山々で、あまり足を踏み入れない場所を走るのは、とても楽しいです。

山の中を早く走るには、経験が必要です。足場の悪い地面でも体勢を整えながら走れるように訓練し、どんな場所でも無意識に足場を選べるくらいのスキルを身に付けます。慣れていなければ、特に下り道は恐怖心が増します。早い選手の後ろを走りながら慣れていき、どんな場所でもスピードを出せるように練習します。

試合中のほとんどの時間、山の中を一人で走っています。他の選手と会う場合、自分がマークしている選手であれば追いついたか追いつかれたのかが分かりますが、マークしていない選手であれば分からないこともあります。さらに、大会によっては他の種目の選手も走っている場合があります。選手の見極めや、選手同士の駆け引きも醍醐味の一つです。

海外での大きな試合になると、選手はGPSを身に付けたり、テレイン※1内に設置したカメラで撮影されたりします。観客は、その様子をスクリーンで観ることができるのです。日本でも"見せるオリエンテーリング"を行おうという動きが活発になりつつありますが、まだまだ課題が多いのが現状です。

オリエンテーリングは、ヨーロッパを中心に盛んに行われているので、強豪チームはヨーロッパの各国がほとんどです。以前、私がヨーロッパ選手権に出場しファイナルに進出したとき、フィンランドチームの女性選手から「アジアの選手が決勝に残っていることは、オリエンテーリング界全体にとって素晴らしいこと。これからも頑張ってね」と声をかけられました。それがとても嬉しかったですし、その言葉が私の原動力になりました。

オリエンテーリングは、トップレベルを目指さなくても、長く楽しめる種目です。日本では、まだあまりオリエンテーリングの面白さが知られていないので、今後はもっと多くの人に広めていきたいと考えています。私自身としては、技術的、精神的な面をこれからも伸ばしていきたいです。

オリエンテーリング

地図とコンパスを頼りに、山を駆け回る競技です。通過すべき地点は決められていますが、各地点までのルートは選手自身が選んで進みます。

MOVIE

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歴史

北欧の軍隊で行われていた訓練が起源です。日本には、1966年に体力不足解消の手段として持ち込まれました。多くの人が楽しめるようにと、競技としてではなくレクリエーションとして広まりました。2005年には日本で初めて世界選手権大会を開催した。

ルール

テレイン内のコントロールを地図に記された順序通りに通過し、ゴールに着くまでの速さを競います。各選手は1分以上の間隔をあけてスタートします。距離が異なるスプリント、ミドルディスタンス、ロングディスタンスのほか、リレーなどの種目があります。

養われる力

走力、持久力、読図能力、空間認知能力、判断力、決断力、自立心など

詳しくはスポーツ辞典をご覧ください
京葉オリエンテーリングクラブ 寺垣内 航 選手 Teragauchi Wataru
体力、知力、精神力をフル稼働させて走る

オリエンテーリングと出会ったのは、大学入学直後。クラブの勧誘を受けたときに、初めて競技としてのオリエンテーリングを知りました。もともと地図を見るのが好きだったので、面白そうだと思い入部を決めました。

オリエンテーリングで使う地図は、競技用専用の特殊な地図です。地図を見て、素早く読み解く技術を身に付けるのに、1年ほどかかりました。現在でも、仕事の合間をみては地図を読む練習を積んでいます。

地図を見てコース上のコントロール※2をどのように回るのか瞬時に判断する練習のほかにも、走りながら地図を読み解く練習も必要です。走るときの手の位置を検討したり、なるべく手が揺れ動かないように走ったり、動体視力を鍛えたりします。山での練習は週末に限られるので、平日は家や街でもできるランニングや筋力トレーニングを行います。週末のオリエンテーリングの練習は現在所属している京葉オリエンテーリングクラブやナショナルチームのメンバー、大学の後輩と行います。オリエンテーリングの大会は全国でありますが、オリエンティア※3や地域クラブの大半は関東地方に集中しているのが現状です。

試合での勝敗も大切ですが、そのためにもまず準備が重要だと私は考えます。毎日山の中やオリエンテーリング会場を走って練習できるわけではないので、今ある環境の中で最大限の準備を行い試合に臨みます。また、試合中ではあきらめないことがとても大切です。オリエンテーリングを始めた最初の頃や、海外の大会に出たときに、特に強くそう思いました。オリエンテーリングは、体力や知力、精神力をフル稼働させて戦う種目です。

今後は、競技オリエンテーリングの魅力を周囲に広めていき、オリエンテーリングがもっと普及できればと思いますし、自分自身は世界で戦うことを目標としてさらなるレベルアップを目指していきます。

※1テレイン:競技エリア
※2コントロール:コース内に設置された通過地点
※3オリエンティア:オリエンテーリング競技者

COLUMN1
テレインの特性

テレインによってその難易度や特徴は異なりますが、特に日本の会場と海外では大きく異なります。ヨーロッパは平らなテレインが多いですが、湿地や木の形などで走りにくいこともあります。

PROFILE

番場 洋子 選手
株式会社堀場製作所所属。京都大学卒業。2004年~2008年、2010年の世界選手権大会に出場。現在全日本選手権大会5連覇中。自己最高は2005年世界選手権大会のミドルディスタンスで27位。第2回アジアオリエンテーリング選手権大会ではミドルディスタンスで3位、スプリントとロングディスタンスで4位。

寺垣内 航 選手
早稲田大学大学院卒業。早稲田大学4年時にインカレで優勝。第14回世界大会オリエンテーリング選手権大会(ユニバーシアード)で初の国際大会を経験。第2回アジアオリエンテーリング選手権大会ではミドルディスタンスで3位、スプリントで19位。

(社)日本オリエンテーリング協会に聞く、オリエンテーリングの今後の展望
ビジュアル化が進むオリエンテーリング

オリエンテーリングは、ゴールまでの1分1秒を競う種目です。しかし、ただ単純に速く走ればいいのでなく、地図をみて自分自身の能力にあったルートを選ぶのが重要です。最短ルートでも、難易度が高ければ時間が長くかかることがあります。早く進むことと、上手く進むことがトレードオフの関係にあるのですが、その複雑さがオリエンテーリングの魅力だと思います。

今後さらなる普及を遂げるために、多くの方々にオリエンテーリングの面白さを知っていただきたいと考えています。現在、国際オリエンテーリング連盟では、観客の方に楽しんでいただくための取り組みを推進しています。日本でもそのような取り組みを進めていければ、より多くの方々にオリエンテーリングに興味を持っていただけるのではないかと思います。

COLUMN2
数字で見るオリエンテーリング

出典:(社)日本オリエンテーリング協会

(社)日本オリエンテーリング協会とは?

日本におけるオリエンテーリングの普及推進を図っています。

お問い合わせ先

社団法人日本オリエンテーリング協会
〒150-8050東京都渋谷区神南1-1-1 岸記念体育会館内
TEL:03-3467-4548 FAX:03-3467-4549

http://www.orienteering.or.jp

こんなところにもオリエンテーリングが登場!

『キルプの軍団』は、オリエンテーリング部の主将を務める男子高校生が主役の小説です。オリエンテーリングでは、山の中を選手が一人きりで走っていることが多いので、ミステリーの題材になることもしばしば。小説のほか、マンガやアニメでも扱われています。余談ですが、著者の大江健三郎氏の次男は、高校でオリエンテーリング部に入部されていたそうです。

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