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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

綱引競技

パワー、テクニック、そして持久力が 要求される伝統的チームスポーツ

歴史と沿革

「綱を引く」、それは古代の儀式と信仰から始まり、豊作を祈る行事、争いを鎮めたり領土を獲得するための手段など、世界各地にさまざまな歴史があります。綱引の起源はこのような神事や伝統行事として始まり、続いてきたと想像することができます。

日本での「綱引」の歴史も古く、五穀豊穣や吉兆を占う儀式として行なわれていました。現在も各地でさまざまな形態の綱引が数多く残っています。秋田県の「刈和野大綱引」、佐賀県の「呼子大綱引」、鹿児島県の「川内大綱引」、沖縄県の「与那原大綱引」などが有名で、いずれも豊作・豊漁を願う伝統行事として引き継がれています。

クーベルタン男爵の提唱により始まった近代オリンピックでは、1900年の第2回パリ大会から1920年の第7回アントワープ大会まで、綱引競技はアスレチック競技(陸上競技)種目に含まれていましたが、参加競技者の身体の肥大化が問題となり、第8回大会以降オリンピック競技から削除されました。

その後、ヨーロッパではスウェーデンをはじめ各国に綱引連盟が設立されます。1960年にスウェーデンとイギリスの主導により国際綱引連盟(TWIF/本部オランダ)が創設され、統一されたルールのもとに国際大会が開催されるようになりました。現在では世界20カ国が加盟する組織になり、2年ごとに世界選手権が開催されています。また、ワールドゲームズ(オリンピック以外の種目による国際大会)でも第1回大会から正式種目として実施されています。

日本では1980年に日本綱引連盟(JTWF)が任意団体として設立され、翌1981年には第1回全日本綱引選手権が開催されました。以後47都道府県からの男女代表チームによる全日本綱引選手権大会が毎年開催されています。1985年にTWIFに加入し、1989年には社団法人日本綱引連盟が文部省(現文部科学省)より設立認可されました。

現在、日本の競技綱引人口は推定6万人で、当連盟に登録されている競技者は約1万人(900チーム)です。その他、登録公認審判員は約3000人です。綱引人口の動向は、1992年頃をピークに徐々に減少傾向が見られましたが、2000年頃より再び増加しています。

2001年に秋田県で開催されたワールドゲームズでは、日本はインドアのみに出場し、男子が銅1個、女子が銀2個の成績でした。2002年のインドア世界選手権(アイルランド)では、男子は銀、女子は金、銀に輝いています。

ルール

綱引は誰もが知っているスポーツですが、厳格な体重制によるクラス分けや競技中の複雑なルールがあります。また高度なテクニック、パワー、体力、チームワークに加え、忍耐力など精神面での強さが重要となる競技です。

綱引競技は1チーム8人で行なわれ、8人の合計体重によるクラス別で競われます。時間の制限はなく、長さ36m・直径10cm程度のロープを8人ずつで引き合い、相手チームを4m引き込んだほうが勝者となります。

競技にはインドアとアウトドアがあります。日本ではインドアが中心で、専用マットの上で靴底が滑りにくい綱引専用シューズを履いて行ないます。日本国内の試合では、ほとんどが数十秒から3分以内で勝敗が決まりますが、世界大会では5分を越えることもあります。日本はインドアでは世界のトップレベルですが、アウトドアはまだ緒についたばかりで、アウトドア中心のヨーロッパ勢には未だ手が届かないのが現状です。2001年にTWIFが国際オリンピック連盟(IOC)に加盟した経緯もあり、今後はオリンピックを視野に入れアウトドアも強化していく必要があります。

Tug of War sportの定義

ロープを引っ張る競技は、イギリスで『Tug of War』(タッグ・オブ・ウォー)と名づけられています。“tug”は、中世の英語“tuggen”からきた語で、古代スカンジナビア語の“toga”が語源で、引きずることや、引っ張ることを意味します。また“war”は、中世の英語“werre”からきた語で、古代ドイツ語の“werra”から起こり、闘争を意味します。闘争の語源をたどると、試合や競争という意味があります。このことから『Tug of War』とは「偉大な力と不屈の努力で引っ張る競技」で、スポーツとしての綱引競技『Tug of War sport 』の定義となっています。日本では綱引を「綱引競技」と、あえて「競技」という語を使っていますが、国際綱引連盟でも『Tug of War sport 』と、“sport”の語を加え、スポーツとしての綱引を強調しています。

お問い合わせ先

公益社団法人 日本綱引連盟