Search
国際情報
International information

「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

知る学ぶ
Knowledge

日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

ネットボール

女性のためにつくられたスポーツ。バスケットボールの「妹分」。

ネットボールの歴史・発祥

ネットボールの歴史・発祥

ネットボールは、いわばバスケットボールの「妹分」にあたる。「兄」のバスケットボールは、1891年にアメリカで生まれた。4年後の1895年、英国に紹介されるが、当時のルールは荒削りでコート全体を走り回りボールを奪い合う激しさは、持久力以上に身体的接触が多く女性には不評だった。
しかし2年後の1897年、当時、英国に滞在していた米国人女性が、故郷に伝わる「女性用にルールをアレンジした」バスケットボールを、ロンドンのハンプステッド体育大学に紹介した。これがネットボールの歴史のはじまりとされている。

どのようにアレンジされたのか?整理すると、(1)攻撃・防御の役割を各選手に割り振り、(2)さらにコートを3区分して選手たちに「限られた持ち場」を与え、(3)しかも、故意・偶然を問わず、コート内でのすべての身体的接触を禁じたことだ。身体的接触の禁止は、バスケットと大きく違い、同時に当時の女性には不評であった部分を解決するものでもあった。

ボールをパスのみでつなぎ、敵のゴールへシュートして得点を競うゲーム、となる。

ちなみに、当初は女性用バスケットボールと呼ばれたが、「兄」と違って、ゴールポストに後板(バックボード)を使用しない(当たって入っても得点とみなさない)ことから、この名がついたという説もある。

ネットボールの普及に関しては、1963年から世界選手権大会が4年に1度ずつ開催され、1985年からはアジア選手権大会、1994年からはアジアユース選手権大会も開催されている。着実にニュースポーツとしての地場を固めつつある。現在では、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、西インド諸島、南アフリカなど世界約50カ国に広がっている。一方で男性にも門戸が開かれるなど、新しい顔も見せている。

日本では、実際にプレイをする人たちはさほど多くはない。しかし、1999年から日本選手権大会が開催され、イギリス大使館チームなどとの交流も始まっている。小学生からお年寄りまで楽しむことができ、難しい技術も要らない。女性のためにつくられたスポーツだからこそ、子どもにも高齢者にもやさしいといえる。今後、人気が高まる可能性は大きい。

ネットボールの概要

コートは大きく3つに区切られる。1チーム7名からなり、それぞれが決められた範囲でのみでしか、動くことはできない。選手は動く範囲を示すゼッケンを付けてプレイする。バスケットボールと似ているが、一番の違いは選手同士の激しい接触がないことである。そのため、体力や体格に応じてポジションを選ぶことにより老若男女を問わず生涯スポーツとして楽しめる。

ネットボールのルール

■ゲームは4クォーター制で行われる。1チーム12人編成で、コートに入ってプレイできるのは7人。選手の交代、コート内でのポジション変更は制限されていない。

■ゲームは、センターサークルの中から行う「センターパス」によって開始され、得点の如何に関わらず、両チーム交互に行うとされている(Aチームから行った場合、A→B→A→B......の順序で行う)。

■センターパスは、必ずCのゼッケンを着けた選手(センター)が行い、各持ち場についた選手たちがボールをパスのみでつなぎ、相手ゴールへのシュートへと結びつける。シュートはゴールサークル内においてGSおよびGAのみが行うことができ、ボールがリングを通過した時点で1点とされる。ゴールサークル外からのシュート、またはGS、GA以外の攻撃側選手が投げたボールがリングを通過しても得点とはならず、ゲームはそのまま続行される。

■守備側は途中でパスをカットすることで、相手から攻撃権を奪うことができる。ボールがコート外に出たときには、ゲームは中断し、最後にボールに触れた選手とは逆のチームによるスローインで再開される。得点後、および休憩後のクォーターは、交互の順番に則ったチームによる「センターパス」で再開する。

■1クォーターは15分(小学生は10分)で、3分のクォータータイム(休憩)、5分のハーフタイム(小学生は3分)をとる。各クォータータイムごとにコートチェンジを行う。競技時間内に多く得点したチームを勝ちとする。

【主なルール】
ネットボールの最大の特徴は、コート内の行動範囲がポジションごとに決められている点である。ボールを持つ、持たないにかかわらず、この範囲を逸脱したエリアに入ると、オフサイドの反則となる。

【ポジションごとの行動範囲】

相手側ゴールサークル=1 ゴールサークルを除く相手側ゴールサード=2 センターサード=3 ゴールサークルを除く自陣ゴールサード=4 自陣ゴールサークル=5

  • ゴールシューター:GS(1・2)
  • ゴールアタック:GA(1・2・3)
  • ウイングアタック:WA(2・3)
  • センター:C (2・3・4)
  • ウイングデフェンス:WD(3・4)
  • ゴールディフェンス:GD(3・4・5)
  • ゴールキーパー:GK(4・5)

その他、ヘルドボール=ボールを3秒(小学生は6秒)以上持ち続けること、ステッピング=ボールを持って3歩以上歩くこと、リプレイ・オブ・ボール=ドリブルや自分で投げたボールを自分で捕るなどボールに続けて触れること、オブストラクション=ボールを持っている選手の90cm(小学生120cm)以内に近づいてディフェンスすること、コンタクト=ボールを持つ・持たない、偶然・故意にかかわらず相手選手を押したり、ぶつかること。または相手選手がボールを持っている時、このボールに触れること、などが禁じられている。

反則を犯した場合、ペナルティとして、相手チームにフリーパス、ペナルティパスあるいはシュートなどが与えられる。

また、同時に反則が起きたときや敵味方の選手がボールを同時に保持した場合など、ボールの権利がどちらにあるかを判定できないとき、審判はトスアップによってゲームを再開する。

公式サイト

日本ネットボール協会