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書評・書籍紹介

日本プロ野球改造論:日本プロ野球は、日本産業の縮図である!

どっちを向いて仕事をしているんだ、君は!

2013年9月8日早朝5時、2020年オリンピックの東京開催が決まった。スポーツが人類、人間、人生にとってかけがえのないものであるとする「オリンピック・ムーブメント」という言葉をコアに、「ディスカバー・トゥモロウ」というコンセプトでのぞんだ招致活動が実を結んだ瞬間だった。二回目の開催となる東京大会は、スポーツ界だけでなく日本社会の価値観そのものも変えていくだろう。

「日本プロ野球改造論」は、日本のプロ野球界の現状に対して、「ディスカバー・トゥモロウ」を求めた提言の書である。野球少年だった著者、並木祐太氏はいつしか、「ビジネスとして野球をみる」という面白い視点を獲得した経営コンサルタントである。また実際、実務として球団マネジメントの改革にも取り組んできた。

書評子は、「セ・パ」の区別もつかない野球音痴だが、米国のメジャーリーグと日本のプロ野球界を対比しながら語られる、この著作の熱い日本プロ野球改造論の一つひとつに耳をそばだてた。つまり、こういうことである。

日本のプロ野球の現状は、日本の多くの企業がおちいっている現状と同じ。日本産業の縮図であるという指摘。であればこれは僕たち会社員、組織人の誰もが手にとるべき本ではないか。

例えばエレクトロニクス業界が危機に瀕している。日本を牽引してきた産業が韓国勢に席巻されている。ところで一方、僕たちは韓国で韓国のプロ野球が熱くなっていることを知っているだろうか。この10年間で観客動員数を3倍にし、若い女性がスタジアムに押しかけ、野球観戦中にキスタイムまでが用意されているという実態を、把握しているだろうか。

章立てだけでも紹介しよう。第1章、その差は「リーグビジネス」と「チームビジネス」。第2章、現場はどう見ているのか? プロ野球ビジネスの危機感と希望。第3章、現状を変えていくメジャーと、現状に固執する日本。第4章、求められるのは、成長のためのミッション。

この章立てからだけでも、メジャーリーグと日本プロ野球の違いが読み取れよう。その収益格差はこの15年で、実に4倍になっている。しかし、と著者は改造論で強調する。「明確な目標を見すえ、モチベーションを保持したときの現場力の強さ、改革への推進力は、日本人が持つ強さです」と。オリンピック招致が好事例を示したように、プロ野球の課題もわたしたちの課題も、ものの考え方・とらえ方にあるようである。

  • 著者
    並木 裕太
    編集発行
    ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 定価
    1,000円+消費税

掲載 : 2013年 9月13日

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