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前編後編

工藤 : 実は、この3月30日に公表された文部科学省の「スポーツ基本計画」の中に、4カ所ほど私たちのスポーツライフに関する調査の結果がエビデンスとして使用されています。その一つが、総合型地域スポーツクラブの認知度に関するものです。総合型地域スポーツクラブの認知度について、まだまだ低いという調査結果を使っていただき、それを踏まえて、どういう政策をすべきかを考えるための基礎資料として役立てていただいています。

増田 : 総合型地域スポーツクラブは重要だと思います。4歳から9歳くらいの子どもたちが、特に親子でスポーツのきっかけをつかむという点では、学校だけでは難しいと思います。親子が一緒に触れあえて、そこから大切なものを得ていくために、地域に期待したいですね。地域によっては総合型地域スポーツクラブが独自の展開をみせているようなんですよ。興味深いです。

工藤 : そうですね。総合型地域スポーツクラブなどで、親子で参加できるプログラムを推進してもらったり、クラブに入っていなくても参加できるような、オープンなファミリーイベントを行ったり、すぐにできることがありそうです。

増田 : 私が子どもの頃に、スポーツって面白いなあと興味を持ったのは、母がやっていたママさんバレーについていったのがきっかけです。ほかにも子どもたちが来ていて一緒に遊びながらも、しっかり見ているんですよね。そこで、母がほかの人と違うサーブなどをしているのを見ると、とても誇らしかったのを覚えています。やはり、小さいうちに親子でスポーツに関わりあうのは、地域だと思います。

工藤 : 「親子」と「地域」がキーワードですね。

増田 : そして、学校教育に関しては、特に9歳くらいまでは、先生が体育の中でいかに上手に教えてくれるかが大切だと思います。ルールはもちろん、上手にできるようになるコツや、汗をかく楽しみを教えてほしい。中央教育審議会の委員をしている時からお願いしていたのは、スポーツ好きな児童を増やすために、小学校でもっと体育専門の先生を活用していただきたいということでした。

工藤 : 子どもたちに、きちんと発育・発達段階に応じた教育を受けてもらいたいと考えると、やはり専門の知識のある先生に教えていただきたいですね。担任の先生のサポートという形で体育専科の先生に入っていただいて2人体制で教えるのが望ましいですね。

工藤 : 次に、2011年8月に施行された「スポーツ基本法」では、従来のスポーツ振興法では触れていなかった障害者スポーツが盛り込まれたことについて、伺いたいと思います。

増田 : 私もうれしく思っています。特に、東京都は対応が早く、スポーツ基本法ができてすぐに障害者のスポーツ振興計画が始動しています。その会議に参加しているのですが、車いすで参加されている方にお聞きすると、自分の地域のホームページを見ても、どこで何ができるかといった情報がまだまだ充実していないとおっしゃっていました。泳ぎたいと思って実際にプールに行っても、対応していただけなかったりするそうです。

工藤 : 実は2010年に、同志社大学の藤田紀昭先生と一緒に、障害者スポーツ施設について調査をしました。全国に、障害者スポーツの専用施設や、障害者が優先的に利用できるスポーツ施設がどれくらいあるかを調べたところ、全国で116カ所の施設が確認されました、こうした情報も今まで整備されていなかったので、障害者スポーツに関しては、今後も引き続き調査を実施していこうと考えています。

増田 : 障害者が利用できる施設がきちんと活用され、またしっかりとした指導者が配置されていることが大事ですね。スポーツ基本法に盛り込まれたことは非常に大きいし、実際にいろいろなことが動き始めています。ただ、障害のある方にお聞きすると、まだまだ日本は遅れているとおっしゃいます。国体に参加するため開催地に行った時に、ホテルなどがバリアフリーでないためにその対応に疲れてしまい、なかなか競技に集中できないと。まず、しっかりとしたまちづくりができている上で、障害者スポーツの大会を開催することが重要だと思います。
面白い視点だと思ったのは、障害者に優しいまちづくりというのは、高齢者にも優しいまちづくりにつながるということです。日本がもっと障害者がスポーツしやすい環境づくりを追求すれば、みんなに優しいまちづくりができるのです。

工藤 : 最後になりますが、私たちはSSFの中の、スポーツ政策研究所として今後さまざまな研究調査活動を進めていく予定ですが、私たちの歩みを長きにわたり見守ってくださっている、SSFの前理事のお立場から、是非、メッセージを頂戴したいのですが。

増田 : SSFの活動にいつも感謝と敬意を持っています。今回、見せていただいたスポーツに関する新たな情報もそうですが、SSFの調査結果、データには、いつも現場の匂いが感じられます。それが基本にあるデータだからこそ、日本のスポーツの現状や課題がみえてきます。考えるきっかけになるのです。私もそうですが色々な会議で他の委員の方々もSSFのデータを引用して話されますよ。

工藤 : スポーツ政策研究所では、研究活動をより充実させてまいります。データを扱っている者にとっては、机上の空論ではいけないといつも意識しているのですが、増田様から改めて「SSFのデータに現場の匂いがする」と言っていただけると非常にはげみになります。

増田 : 素直にそう感じます。今回の「好きなスポーツ選手」と「あこがれのスポーツ選手」の男女の違いなども、これからさまざまな場所で考えるきっかけになるでしょうし、学校の現場や総合型地域スポーツクラブの皆さんにも参考になるでしょう。ありがとうございました。

工藤 : 私たちも、提言につなげられるようなメッセージをどんどん発信していきたいと思います。ありがとうございました。

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