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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

公共スポーツ施設整備財源に関する研究

長期的な視点から公共スポーツ施設の維持・補修を行っていくことが必要

2011年度研究調査事業として行った『公共スポーツ施設整備財源に関する研究』を発表し、わが国における公共スポーツ施設の課題点についてまとめました。

主な調査結果

POINT 1

わが国には公共スポーツ施設の数を網羅的に把握するデータが存在しない

本研究の調査で得られた情報から、社会体育施設および青少年教育施設等に付帯するスポーツ施設以外の公共スポーツ施設の存在が確認された。つまり、最も精度の高い社会教育調査(社会体育施設を調査)とそれを補完する体育・スポーツ施設現況調査(青少年教育施設等に附帯するスポーツ施設を調査)をあわせても、公共スポーツ施設数の把握は不完全ということになる。

POINT 2

公共スポーツ施設の維持・補修には充分な財源が充てられていない

調査対象とした県における13の公共スポーツ施設の2007~2011年度における施設補修費をみると、ほとんどの施設において施設修繕費が0から数百万円程度であった。適切な維持・補修費用の水準を示すことは難しいが、経年劣化している施設の維持・補修のための費用が年間0円というのは、過小であるといえるのではないか。仮に現状では十分な維持・補修が行われていないとすれば、傷みが目立つようになってから修繕を行う事後的な保全管理では、施設の建て替えの時期が早くなるなど、かえって費用が高くなってしまう可能性がある。

研究担当者から

公共スポーツ施設は、社会教育行政・都市公園行政・福祉行政など、その所管担当が異なる特殊な施設であるため、網羅的に施設の数を把握することが極めて困難である。しかし、利用者の視点に立てば、これらの施設の情報を同一の所管部署で一元的に管理することで利便性の向上が期待できる。現在、スポーツ行政の一元化を目的とした「スポーツ庁」の議論が行われているが、設置される際には公共スポーツ施設の所管・管理の集約は大きな論点となるであろう。

笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 研究員 藤原 直幸

研究担当者から

国や自治体は、これまで道路や橋梁といった経済の発展や人々の生活にとって必要不可欠な社会資本ですら維持・補修に対しては十分に財源を充ててこなかった。公共スポーツ施設に対しても同様である。
しかし、今後も住民に対してスポーツのための場を提供していくためには、公共スポーツ施設の適切な維持・補修は欠かすことができない。ただ、厳しい財政状況の中、国や自治体がすべての公共スポーツ施設の維持・補修を行うことは困難であろう。地域におけるスポーツ施設のあり方が問われていると言える。

埼玉大学経済学部 講師 宮﨑 雅人

公共スポーツ施設整備財源に関する研究

調査対象
静岡県、三重県、A県
調査方法
ヒアリングおよび提供資料
発行
2012年3月
報告書

全文(PDF:876KB)

目次

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本事業は、ボートレースの交付金による日本財団の助成金を受けて実施しました。

テーマ

スポーツによるまちづくり

キーワード
年度

2011年度

発行者

公益財団法人 笹川スポーツ財団

担当研究者
共同研究者
  • 宮﨑 雅人 埼玉大学経済学部 講師