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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

オリンピアンのキャリアに関する実態調査

2020年東京オリンピック・パラリンピック開催およびその後の社会において、オリンピアンがより効果的にスポーツ界に貢献できる環境の整備を進めるにあたり、オリンピアンの現状を包括的に把握することの重要性に鑑み、わが国のオリンピアンのキャリアに関する基礎資料の収集を目的とした。

本報告書では、夏季・冬季オリンピアンの①基本属性(オリンピック出場回数、オリンピック出場年)、②競技経験(オリンピック出場競技の競技実績、オリンピック競技の開始と継続の要因など)③競技にかかる経費(経費の管理者、競技別の年間経費など)④引退後のキャリア(引退の理由、引退後の競技との関わりなど)の調査結果を示している。

調査期間
2014年10月~11月
調査対象
(特非)日本オリンピアンズ協会に登録のある会員965人
調査方法
郵送法による質問紙調査
調査メンバー

【共同研究者】
株式会社ポリゴン 代表取締役、笹川スポーツ財団 理事 田中ウルヴェ 京

【笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所】
研究員 吉田 智彦
研究員 髙橋 光

調査協力
(公財)日本オリンピック委員会、(特非)日本オリンピアンズ協会

POINT 1

オリンピアンの引退理由は、夏季大会・冬季大会ともに、「仕事を優先するため」の割合が最も高く、「年齢による体力的な問題」「自己の成績に満足したため」と続く

夏季大会への出場経験をもつオリンピアンの引退理由で最も割合の高い回答は「仕事を優先するため」(46.0%)で、以下、「年齢による体力的な問題」(45.5%)、「その他」(18.6%)、「自己の成績に満足したため」(18.1%)、「けが」(14.1%)、「競技を楽しめなくなったため」(8.8%)、「金銭的な問題」(6.2%)と続く。ただし、「仕事を優先するため」では、男性の57.1%に対し女性が18.6%と大きな差があり、男性の割合が全体を引き上げたことがわかる。相対的に高い割合を示したのは「年齢による体力的な問題」で、男女とも約半数が引退理由に挙げた。一方、女性の引退理由で男性を大幅に上回った項目は、「自己の成績に満足したため」や「競技を楽しめなくなったため」といったいわゆる競技に対する完全燃焼感、あるいは成績の不振等から起こる心理的な要因がみられる。

POINT 2

競技を継続するために1年間にかかる経費の自己負担額を、夏季と冬季の大会別・性別の平均でみると、夏季大会出場の男性が206.2万円、女性が250.7万円で、冬季大会出場の男性が245.4万円、女性が460.9万円であった

夏季・冬季の両大会出場1人を除き、回答を得た325人のうち、夏季大会への出場者では、平均額が男性で206.2万円、女性で250.7万円と女性が男性を上回った。最高額は男性の4,500万円(馬術)であった。冬季大会への出場者では、平均額が男性で245.4万円、女性で460.9万円と、女性が男性を2倍近く上回ったが、最高額は男女とも3,000万円だった。経費の高い順に競技をみると、前述の馬術に続き、スキー、スケート、セーリング、自転車、ウェイトリフティングで1,000万円を超える自己負担額があった。

POINT 3

引退したオリンピアンの約6割が競技団体の役職員や強化スタッフまたは指導者として従事し、愛好者として続けている約2割も含めると、約8割のオリンピアンが、現在も競技との関わりをもっている。

オリンピックに出場した競技との現在の関わりをみると、「競技団体役職員として」が19.7%と最も多く、以下「愛好者として」(18.0%)、「地域スポーツ指導者として」(15.8%)、「強化スタッフとして」(13.5%)、「部活動指導者として」(10.6%)の順であった。約8割のオリンピアンが、競技団体に従事して競技の普及や強化に携わったり、地域のスポーツ現場で指導者として活躍したり、自身も愛好者として競技を続けたりしている。一方、競技とは「関わっていない」オリンピアンは2割にのぼった。


報告書

全文(PDF:1.9MB)

目次
  • Ⅰ. 要旨 詳細(PDF:80KB)
  • Ⅱ. 調査の概要 詳細(PDF:96KB)
  • Ⅲ. 調査結果
    • 1 回答者の基本属性 詳細(PDF:644KB)
      • 1-1 回答者の性別
      • 1-2 回答者の年代
      • 1-3 出場競技
      • 1-4 オリンピック出場大会
      • 1-5 オリンピック出場回数と出場時の成績および所属
    • 2 競技経験 詳細(PDF:823KB)
      • 2-1 各年齢における競技経験
      • 2-2 オリンピックに出場した競技以外の競技経験
      • 2-3 競技の開始と継続の要因
    • 3 競技を継続するための経費 詳細(PDF:624KB)
      • 3-1 競技にかかる経費の管理
      • 3-2 夏季・冬季別にみる競技を継続するための経費の自己負担額
      • 3-3 競技にかかる経費の収入割合と強化費
    • 4 引退後のキャリア 詳細(PDF:729KB)
      • 4-1 引退年齢
      • 4-2 引退の理由
      • 4-3 現在の職業と雇用形態
      • 4-4 現在の職業の選定理由
      • 4-5 現在の職業への入職経路
      • 4-6 現在の年収
      • 4-7 引退後の競技との関わり
    • 5 考察 詳細(PDF:404KB)
  • 付録 - 調査票 詳細(PDF:723KB)
テーマ

スポーツ・ガバナンス

キーワード
年度

2014年度

発行者

公益財団法人 笹川スポーツ財団

担当研究者
共同研究者
  • 田中ウルヴェ 京 株式会社ポリゴン 代表取締役、
    笹川スポーツ財団 理事