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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

障害者スポーツの推進体制の多くは「障害福祉・社会福祉関連部署」が担う

平成26年度 文部科学省『健常者と障害者のスポーツ・レクリエーション活動連携推進事業』報告書

スポーツ基本法(2011年8月施行)において、「スポーツは、障害者が自主的かつ積極的にスポーツを行うことができるよう、障害の種類及び程度に応じ必要な配慮をしつつ推進されなければならない」と障害者スポーツに関する基本理念が掲げられた。本事業では、地域における障害者のスポーツ・レクリエーション環境の実態について把握し、健常者と障害者が一体となったスポーツ・レクリエーション活動を地域住民がさらに享受するための方策や目標設定の検討に活用することを目的とする。

調査内容

(1)地方自治体における障害者スポーツ行政の現況調査
都道府県、政令指定都市、中核市、特例市及び特別区の173自治体を対象に、障害者スポーツ担当部署、大会・イベントなどの実施事業、障害者スポーツ協会の有無、障害者スポーツ担当部局の移管・再編の予定、公共スポーツ施設における障害者の利用促進状況などの実態を調査

(2)全国障害者スポーツ大会に関する調査
公益財団法人日本障がい者スポーツ協会が2013年に実施した「全国障害者スポーツ大会都道府県指定都市における予選会実施競技に関する調査」のデータを二次分析し、都道府県・政令指定都市における全国障害者スポーツ大会の予選会の実施状況を把握

(3)社会福祉協議会における障害者スポーツ支援状況に関する調査
全国1,742の社会福祉協議会を対象に、事業内容、障害者スポーツに関する事業の実施状況、障害福祉にかかる施設の管理・運営状況、ボランティアセンターの有無、障害者スポーツに関する行政部署及び地域組織等との協力関係などの実態を調査

(4)特別支援学校体育連盟組織の設置状況に関する調査
全国特別支援学校長会の評議員(47都道府県代表)を対象に、地区ブロック及び都道府県の特別支援学校体育連盟組織の名称、対象とする障害種別・学部、加盟校数、主催大会の実施種目などの実態を調査

(5)中央競技団体の障害者スポーツの推進状況に関する調査
日本体育協会加盟の57の中央競技団体を対象に、障害者に対する競技の普及・強化に関わる委員会の設置有無、指導者/審判員養成カリキュラムにおける障害者の指導法/審判法の導入状況、主催事業への障害者アスリートの参加状況、障害者スポーツ団体との連携などの実態を調査

著作権者
文部科学省 スポーツ・青少年局 スポーツ振興課 障害者スポーツ振興室
(問合せ先)〒100-8959 東京都千代田区霞が関3-2-2
TEL 03-5253-4111(代表)

POINT 1

我が国の障害者スポーツの推進体制の多くは「障害福祉・社会福祉関連部署」が担っている

障害者スポーツの主たる担当部署は、都道府県では、45道府県が「障害福祉・社会福祉関連部署」、2都県(東京都、佐賀県)が「首長部局のスポーツ担当部署」であり、政令指定都市・中核市・特例市・特別区(市区)では「障害福祉・社会福祉関連部署」が7割弱、「教育委員会等のスポーツ担当部署」が2割弱であった。地方自治体が実施している主な障害者スポーツ推進事業は「障害者スポーツの大会やイベント」「障害者スポーツ教室」「障害者スポーツ指導者・障害者スポーツボランティアの養成講習会」であり、3事業全てを実施しているのは、都道府県4割、市区1割であった。

POINT 2

国体終了後に同じ会場で開催される全国障害者スポーツ大会は本大会に向けた予選会開催が、障害者スポーツの全国的な広がりに寄与

全国障害者スポーツ大会(全スポ)は、都道府県・政令指定都市において選考された選手、チームが出場する大会であり、国体終了後に、同じ会場において、選手約3,000人、役員約2,000人規模で開催されている。全スポの本大会に向けた予選会が各地で開催されることによって、障害者スポーツの全国的な広がりに寄与した。

POINT 3

4割強が障害者スポーツに関連するイベント・行事・教室等を開催
参加者の年代、障害の有無や程度に合わせて取り組みやすい種目を実施

社会福祉協議会(社協)の4割強が障害者スポーツに関連するイベント・行事・教室等を開催していた。また、6割強の社協が、イベント・行事・教室等の開催のほかに、スポーツ大会の後援や情報提供・広報、活動場所の提供・貸出などの支援を行っていた。 障害者スポーツに関するイベント・行事・教室では、参加者の年代、障害の有無や程度に応じて、誰もが取り組みやすく、競技の専門性をそれほど必要としない「体操(軽い体操、ラジオ体操など)」「フライングディスク」などを実施している。

POINT 4

都道府県別に特別支援学校体育連盟があるのは半数以下
大会参加者の多くは知的障害者

都道府県別に特別支援学校体育連盟があるのは半数以下で、東京都の3つの特別支援学校体育連盟を含めると、全国に21あることが分かった。都道府県単位、又はブロック単位の競技大会は、生徒数、学校数が多い知的障害と、運動部活動・クラブ活動の設置率が高い視覚障害及び聴覚障害を中心に開催されていた。全ての障害種別を対象としている特別支援学校体育連盟(9県)においても、大会参加者の多くは知的障害者であった。

POINT 5

主催大会に障害者部門を設置している中央競技団体は3割
参加したアスリートの障害種別は、肢体不自由が14団体と最も多い

4割の中央競技団体が障害者に対する競技の普及・強化について組織内の委員会・小委員会等で検討している。主催競技会に障害者部門を設置している中央競技団体は3割で、参加したアスリートの障害種別は、肢体不自由が14団体と最も多く、次いで、視覚障害(7団体)と知的障害(6団体)であった。障害者スポーツ競技団体と連携・協力し、競技大会やイベント等を開催した中央競技団体は4割であった。

報告書

全文(PDF:77.1MB)

目次

注)「しょうがい」の用語は、「障がい」「障碍」などがあるが、本報告書では、法律上の「障害」を使用した。

本報告書は、文部科学省の委託事業として、公益財団法人笹川スポーツ財団が実施した平成26年度「健常者と障害者のスポーツ・レクリエーション活動連携推進事業(地域における障害者のスポーツ・レクリエーション活動に関する調査研究)」の成果をとりまとめたものです。したがって、本報告書の複製、転載、引用等には文部科学省の承認手続きが必要です。

テーマ

国内の障害者スポーツ環境

キーワード
年度

2014年度

発行者

公益財団法人 笹川スポーツ財団

担当研究者