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国際情報

Sport News Germany

2015年06月25日

子供とスポーツ(1) キッズクラブ(Kids-Clubs)

ドイツオリンピックスポーツ連盟(DOSB)は毎年統計を発表する。

最新の数字(2015年1月1日現在)をのぞいてみると、傘下のクラブ数は90,240、加入している会員数は2,730万人、組織率は32.6%である。これらのスポーツクラブは法人格をもった団体であり、会員は0歳から上は60歳以上と幅広い年齢層で構成されている。

競技別にみると、会員数100万人以上の団体は、上からサッカー、体操、テニス、射撃・アーチェリー、登山・トレッキング(山のスポーツ)という順になる。

ドイツサッカー協会の会員数は6,889,115人、クラブ数は25,324である。クラブはサッカー単独のクラブというわけではなく、その多くがいくつかの競技種目が集まって構成されているのが特色である。

ちなみにウィキペディアで会員数最多のスポーツクラブを調べると、ドイツ国内はもちろんのこと、世界で最も多くの会員を集めるのはFCバイエルン・ミュンヘンで、その数270,329人。その他ドイツでは1万人以上の会員を有する28のクラブが挙げられている。その多くがサッカー系であり、サポーターが会員になっていることが伺われる。

このようにドイツでサッカーが盛んなことは日本でもよく知られている。町を歩くと「SKY」という看板を掲げた飲食店をいくつか見かけることがある。サッカー・ブンデスリーガなどの中継を放映する有料テレビ局と契約し、大型テレビで試合の中継が見られるというわけである。ビールを飲みながらみんなで観るのがいいのだろう。私のお隣の奥様は82歳、サッカー大好きで「SKY」を一月約60ユーロ払って契約している。

DOSBのプレスリリース2016年15号にブンデスリーガ、下位リーグのクラブが運営する「キッズクラブ(Kids-Clubs)」 の調査報告が紹介されている。

ブンデスリーガ、2部リーグ、3部リーグの一部のクラブはキッズクラブを作って、若いサポーター対象のプログラム提供を2004年にスタートさせた。現在32のキッズクラブに合計約13万人の子どもたちが加入している。

プロサッカーは子どもたちを強く惹き付ける。そして選手はアイドル的存在で、若いファンにとっては、自分もそうなりたいと願う憧れでもある。

対象になる子どもの年齢はおおむね5~13歳。年会費はクラブごとに異なるが、12~60ユーロ。入会金を取るクラブもある。調査によると、キッズクラブでは、全体の78.6%の子どもがサッカーに取り組んでいる。キッズクラブにはさまざまな特典がある。試合が始まる前に選手と手をつないで入場するエスコートキッズへの応募や、入場券、ファンショップでの割引、サッカースクールやキャンプの割引などである。

しかしながらキッズクラブでは、サッカーと直接関係あることだけが提供されるのではない。これらのクラブは互いに提携しあって活動し、多くのプロジェクトを通じて、寛容、環境意識、自分の周りの人たちへのリスペクトといった社会的に重要な価値観を、ごく当たり前のこととして子どもたちに伝えている。また暴力予防や互いに平和的に共存することも活動の重点になる。なかには他のクラブの競技場へ試合を見に行くというプログラムもある。これらの子どもたちは将来のサポーターであり、そのモットーは「自分のクラブは一生自分のクラブ」という下地を作る。

その他にも一緒に博物館や図書館を訪れるプログラムや、ドイツ全国のキッズクラブの会員が集まるサマーキャンプも開催している。これは早くから、他のクラブは敵という考え方を起こさせない予防活動でもある。またそういう気持ちを取り除くことがキッズクラブの目標でもある。

キッズクラブの活動で大切なことは、何よりも“楽しい、おもしろい”なのである。

ドイツのサッカーは世界的に高いレベルに達しているが、これを維持していくためには優れたジュニアのプレーヤーを絶えず供給する必要がある。このため、子ども時代から年代別に育成・強化を図るシステムがあり、最も若い年代は、「バンビーノ」U7(4~6歳)である。しかしながら、年代別の全国大会は、U17(14~16歳)になるまで開催していない。ジュニア期には、強化よりも育成を重視しているためであろう。スポーツは勝つことだけでなく、学びの場としても重要なのである。

昨今のスポーツ界における賭博問題について、2016年4月15日「朝日新聞」のスポーツコラムでJ1湘南ベルマーレの監督曺貴裁氏が書いているように、「心の教育も指導者の役割」なのである。

参照

レポート執筆者
高橋 範子

Correspondent, Sasakawa Sports Foundation

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