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国際情報

Sport News Germany

2016年09月12日

ドイツオリンピックスポーツ連盟(DOSB)創立10周年

 2016年月5月20日、フランクフルトのパウル教会(現在は市の式典場)に多くのスポーツ関係者が集まった。ちょうど10年前のこの日、ドイツスポーツ連盟(Deutscher Sportbund=DSB)とドイツオリンピック委員会(Nationales Olympisches Komitee=NOC)が合併し、ドイツオリンピックスポーツ連盟(Deutscher Olympischer Sportbund=DOSB)としてスタートしたのである。この合併を後押ししたのは、スポーツ界が、特に行政に対して、ひとつの声としてまとまり、向き合うことの必要性が認識されたことである。つまり、スポーツに関する窓口をDOSBに一本化したのである。合併の必要性を感じない関係者も多くいた。しかし、競技スポーツを例にとると、それまでは、連邦内務省によるトップスポーツへの強化費を競技団体へ分配するのはDSB、オリンピックへ選手を派遣するのはNOCというように、統轄組織が分かれており、両者の考えが一致しないこともあった。合併の目的は、いろいろな団体や競技スポーツ、生涯スポーツのそれぞれ異なった、多層にわたる関心事を、スポーツ界のひとつの声に束ねることにあった。そして、傘下にある約9万のスポーツクラブと98の各スポーツ団体、そこに属する2,700万人以上のスポーツ愛好者や選手達たちを束ね、まとめていくことであった。競技スポーツも、まずは選手になる子ども・青少年を育てる底辺のクラブが必要であり、各々のクラブでスポーツをする人たちも、夢、憧れ、手本となる競技スポーツが必要なのである。

 記念式典は、「私たちは『スポーツ国ドイツ(Sportdeutschland)』」というビデオとトランペットの演奏で始まった。続いて、常任理事長の挨拶、スポーツに関する様々な分野の関係者(州スポーツ担当大臣、フランクフルト市スポーツ担当官、パラリンピック金メダリストでもあるドイツ政府から委託された障害者使節、ボクシング世界チャンピオン、オリンピック金メダリスト、スポーツクラブ会長)のコメントやスポーツショー、DOSB会長所信表明、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相祝辞、トーマス・バッハ(Thomas Bach)IOC会長祝辞などがあり、最後は、国歌をトランペット楽団の伴奏で斉唱するというプログラムであった。なお、司会は元アイススケート選手が務めた。

 メルケル首相は、DOSB合併後の10年間のドイツスポーツの発展を祝い、競技スポーツと生涯スポーツはメダルの両面であると述べた。しかし、最近のドーピング、八百長、収賄などはスポーツへの信頼を脅かすものであると警告した。

 DOSBの初代会長を務めたバッハIOC会長は、「ドイツのスポーツ界は一つになった。スポーツそのものが持つ価値を認識し、スポーツの価値を皆でさらに高めていきましょう」と語った。多様性の中での統一であり、これはドイツのスポーツ界が誇りにできるものである、との賛辞も惜しまなかった。

 現DOSB会長アルフォンス・ヘアマン(Alfons Hörmann)も、スポーツの価値(フェアプレー、リスペクト、成績、参加)を今まで以上に意識して活動していくよう、スポーツ関係者に呼びかけた。メダルを取ること、成功することは喜ばしい。しかしその中心にあるのは人間だということを忘れないようにしようとも訴えた。グッドガバナンス(Good Governance)がこれからのスポーツ運営で大事なテーマとなってくるだろう。

 この記念式典に、メルケル首相やバッハ会長が出席したことは、スポーツへの期待の表れでもある。スポーツは、メダルの数や勝利を目的に行われるだけでなく、現代社会で生かせるポテンシャルを持っており、楽しく質の高い市民生活の実現に貢献できるのである。それらは、例えばインクルージョン、インテグレーション、健康、体を動かす喜び等におけるものである。

 スポーツの持つ多様性、人が求めるものの相違、多様性,多層性などを「スポーツ国ドイツ(Sportdeutschland)」という統一の中で実現していく。DOSBの大きな挑戦がこれからも控えている。

 DOSBは2年かけてスポーツ会館(Haus des Deutschen Sports)を改築した。記念式典後、新しくなったドイツスポーツ会館へ場所を移して、落成記念パーティが行われた。

参考資料:

  • DOSB-Presse Nr.21 (2016.5.24)
レポート執筆者
高橋 範子

Correspondent, Sasakawa Sports Foundation

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