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チャレンジデーから始まった新たなスポーツ振興プログラム

チャレンジデーとは人口規模が近い自治体同士が毎年5月の最終水曜日に、15分間以上続けて運動やスポーツをした人々の参加率を競うカナダ生まれの世界的なスポーツイベントである。
日本では笹川スポーツ財団(以下、SSF)が1993年から主催しており、日本初開催となった加茂町(島根県)※1のチャレンジデーには4,973人が参加した。
22回目となった今年は118自治体から239万人が参加する、大きなスポーツイベントに成長した。

チャレンジデーの大きな特徴としてはスポーツの習慣化、住民の健康づくりや地域の活性化、スポーツによるまちづくりへの期待が挙げられる。
このチャレンジデーのルールやプログラムなどを活用し、新たなスポーツ振興プログラムを実施している例を紹介したい。

※1加茂町は合併し現在は雲南市となった

1. 毎月第4水曜日は「三好市チャレンジデー」

実施自治体
三好市(徳島県)
特徴
毎月の最終水曜日を「三好市チャレンジデー」とし、スポーツ施設の一部無料開放や講師・指導者の派遣を実施(2010年から実施)
効果
無料開放施設の利用者が増加。市役所職員への周知を徹底したことにより職員の70%以上が参加するようになったほか、本制度を利用し、毎週水曜日をノー残業デーとしてスポーツ参加を推奨する民間事業者も出現。
本プログラム主催者のひとりである市内の総合型地域スポーツクラブの「いけだスポーツクラブ」クラブマネジャーの大西真知子氏は「住民のスポーツへの意識向上と参加者の増加を実感している。今後も継続したい」と話す。
WEBサイト
http://www.miyoshi.ed.jp/docs/2010120600156/
その他
伊達市(福島県)でも同様に毎月の実施を予定

2. 豊後高田市版チャレンジデー

豊後高田市HPより転載

実施自治体
豊後高田市(大分県)
特徴
10月の1ヵ月間で、1日15分以上スポーツをした人の参加率をグループで競う。(2010年から実施)
グループで参加することによる、地域での仲間づくり、スポーツ活動による住民の健康づくりと地域の活性化を目的としている。
効果
参加グループ数が毎年増加しており、担当の豊後高田市教育委員会、スポーツ振興係長の木村幸二氏は「ラジオ体操やウォーキングを定期的に実施する団体も増加しており、成果を実感している」と話す。

参加者と参加グループ数の推移

実施年 参加グループ 参加者総数(延べ)
2010年 22 10,552人
2011年 70 27,424人
2012年 76 45,415人
2013年 81 50,171人
2014年 88 63,974人
WEBサイト
http://www.city.bungotakada.oita.jp/page/page_02248.html

3. B&G 秋のチャレンジデー

実施自治体
愛別町・鷹栖町・神楽町(北海道)
特徴
3町とも農業が中心のため、チャレンジデーが行われる5月の下旬は田植えが忙しく、農業関係者から参加しにくいといった声があり、秋の実施に至る。3町にはB&G海洋センターがあり、近隣であるため様々な事業でも連携する機会が多く実現した。
効果
通常のチャレンジデーとは異なり、負けた方が相手の自治体旗を掲揚※2することはせず、勝敗よりも、住民が楽しくスポーツすることを目的としている。
来年以降もイベントプログラムを増やし、3町以外の近隣自治体の参加も促すなど、秋の定例行事への発展を検討中である。
本イベントを提案した鷹栖町長の谷寿男氏は「たくさんの笑顔に触れ、心も、身体も地域も健康にするスポーツのチカラを再確認した」と話す。

※2チャレンジデーでは、参加率で敗けた自治体は勝った自治体の健闘を称え、翌日から1週間、勝った自治体の旗を庁舎のメインポールに掲げなければならない。

WEBサイト
http://www.bgf.or.jp/activity/report/2014/youth/141024.html

少子高齢化による超高齢社会の到来は、すべての自治体が抱える悩みであり、「日本創成会議 人口減少問題検討分科会」(2014年5月8日)において、2040年までに日本の自治体の半分が消滅する可能性があると発表されている。※3

一方で2020年には東京オリンピック・パラリンピック大会の開催も決まり、スポーツへの関心も高くなっている。今回紹介した3つの事例は、地元への愛着の再認識と健康への意識づけという観点から、人口の流出や少子高齢化対策のヒントとなる可能性を秘めているのではないか。

秋田県では県内25自治体のうち、昨年、23自治体がチャレンジデーを実施。県民の53.9%が「チャレンジデー」を知っているとの回答結果※4がある。

近い将来、急激な高齢化の進行が予想される神奈川県は、2014年に心身を整え改善することで健康を維持する「未病を治すかながわ宣言」を発表した。医療・介護などの社会制度が崩壊する前に、県民の健康寿命を伸ばそうと「健康寿命日本一をめざす」取り組みが進められている。この取り組みのひとつに日常生活に運動やスポーツを取り入れる活動があり、チャレンジデーは趣旨が合致した事業ということで、黒岩祐治知事が自ら県内の自治体に呼びかけ、昨年は7自治体がチャレンジデーを実施した。今年も自治体数が増える見込みである。

毎年5月の最終水曜日に全国で一斉に開催されるチャレンジデーから、新たなスポーツ振興プログラムが生まれている。対戦による自治体間交流からこうしたプログラムの情報が広がり、多くの自治体が独自のプログラムを開発し実施することもチャレンジデーの成果である。国民が生涯を通じて、それぞれが望むかたちでスポーツを楽しみ、幸福を感じられる社会(スポーツ・フォー・エブリワン)の実現を目指し、未来に夢を描き行動するシンクタンクとして、引き続き進めて行きたい。

※3消滅可能性都市:少子化の進行に伴う人口減少により存続が困難になると予測されている自治体。出産可能年齢の95%にあたる20~39歳の若年女性人口に着目し、このまま人口移動が続いた場合、大都市圏などへの人口の流出が出生数を上回り、多くの地方都市で人口減少が続き、2040年までに若年女性人口が半減する自治体のこと。

※4平成25年度 スポーツ立県秋田 全県体力テスト・スポーツ実態調査

著者プロフィール

有田 孝行 氏
有田 孝行 Takayuki Arita
1988年中央大学商学部会計学科卒業。1992年より笹川スポーツ財団で、総務・経理を経て「SSFスポーツ・フォア・オールネットワーク」「スポーツ・フォア・オール国際フェア」「湘南オープンウォータースイミング」を担当、その後、総務で公益財団法人への移行に携わり、2012年4月より現職。

現在、チャレンジデー2015の実施自治体を募集中(2015年2月13日締切)

スポーツ振興に興味のある自治体からのご応募受付中

詳細はチャレンジデーホームページをご参照ください
http://www.ssf.or.jp/practice/challenge/2015/index.html

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