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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

(2)学生健康体力評価制(PAPS)

5.韓国の学生の体力の状況(2)

(2)学生健康体力評価制(PAPS)

教育科学技術部では、従前の「学生身体能力検査」が運動機能中心であるとの指摘に対し、運動機能第一の検査から、健康体力を中心に再構成した「学生健康体力評価制」(PAPS。本稿では以下単に「PAPS」と呼ぶ。)を新たに実施することとなった。

具体的には、2005年に基本計画を樹立し、2007年~2008年間にかけて試行的運営を行い、2009年には関連システムを構築して、小学生を対象に検査を開始した。2010年に中学校、2011年に高等学校と、徐々に実施が拡大されていくこととなっている。完成の暁には、従前の学生身体能力検査は廃止される予定である。

PAPSは既存の「学生身体能力検査」に比べて、健康体力と関連した総合体力評価を実施して、この結果を学生が自ら進んで自らの身体活動増進のために活用できるようになっている。このため、韓国の全国の学校現場をつないでいる「教育行政情報システム」(「NEIS」。以下「NEIS」という。)内にPAPSを構築して、全体を体系化し、NEISとの連動により、児童生徒・保護者、各学校、行政機関が、効率よくデータを利活用できるようになっている。具体的には、このシステムによって、学生個人のデータをPAPSのシステムに入力し、どのような運動をしたらいいか、「運動の処方箋」を個人ごとに出力し、これをもとにして生徒は各種身体活動を実施できるようになる。

PAPSは教員用、学生用、保護者用に構成されており、これを通じ、健康体力評価結果を閲覧したり、健康体力日記を作成したり、オン、オフラインを通じた相談サービス等の支援が行われる。

NEISと連携した情報システムを構築することによって、行政官庁、学校、保護者が、様々な形で、検査結果に対して、それぞれ迅速かつ効率的にアクセスできるほか、体力検査結果の多様なデータ収集が可能である。このような、効率的なシステム構築は、データを収集しても、あくまで紙ベースで各児童生徒に渡していたり、調査結果の閲覧性が高くない我が国の体力テストのシステムと比べ、フォローアップの継続性や、統計データの作成の容易性などの点で、参考となる部分は多いと考えられる。

【PAPSのパンフレット】

【PAPSのパンフレット】