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国際情報
International information

「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

スポーツ政策研究所が考える 2012年10大ニュース(2)

生涯スポーツ/スポーツ政策関連

生涯スポーツ/スポーツ政策関連

6. 文部科学省 スポーツ基本計画を策定

運動会

文部科学省は、スポーツ基本法の規定に基づき、3月に「スポーツ基本計画」を策定した。同計画はわが国における「今後10年間を見通したスポーツ推進の基本方針」とされ、「子どものスポーツ機会の充実」や「スポーツ界の好循環の創出」など7つの課題と政策目標が示された。今後、これを元に地方行政区はそれぞれの地域性にあった「地方スポーツ推進計画」を策定していくことになる。

7. 中学校で武道・ダンスが必修化

武道

平成20年の文部科学省による中学校の学習指導要領の改訂を受け、今年からダンス・武道が必修科目となった。武道では用具準備の容易さから柔道を選択する学校が多く、授業中の安全性の確保が問題となった。文部科学省は安全管理の緊急対応を行い、また地方教育委員会などが中心となって教師を対象にした指導者講習会などを実施した。

8. ジョギング・ランニング人口が、推計1,000万人を突破(笹川スポーツ財団調査)

ジョギング・ランニング

SSFでは、2年に一度、全国の成人を対象とした『スポーツライフに関する調査』を行っており、2012年の最新の調査結果から「ジョギング・ランニング」の推計人口を発表した。その結果、過去1年間に「ジョギング・ランニング」を行った者の割合は9.7%、推計人口にして1,009万人と、調査以来はじめて1,000万人を突破した。2006年(東京マラソン前)の結果と比較すると、2006年の5.9%から3.8ポイント、403万人増加した。この調査結果を含む報告書「スポーツライフ・データ2012」は、2月に刊行予定。

9. 住民総参加型スポーツイベント「チャレンジデー2012」に、170万人が参加

住民総参加型スポーツイベント「チャレンジデー2012」

チャレンジデーは、日常的なスポーツの習慣化に向けたきっかけづくりやスポーツによる住民の健康づくりや、地域の活性化を目的とした住民総参加型スポーツイベントである。20回目を迎えた今回は、全国121ヵ所の自治体・地域で実施され参加者数が過去最高の1,711,874人、平均参加率54.2%の結果となった。震災の影響で、前回開催を見送った陸前高田市・大槌町・東松島市・七ヶ浜町も復活実施した。大槌町では仮設住宅で「スポーツごみひろい」を行い、近隣住人とのコミュニケーションの促進や生活不活発病の予防、運動不足の解消などに役立てられた。

10. スポーツボランティア団体をつなぐ組織「NPO法人 日本スポーツボランティアネットワーク」設立

スポーツボランティア団体をつなぐ組織「NPO法人 日本スポーツボランティアネットワーク」

全国各地のスポーツボランティア団体間のネットワークを構築し、活動情報の共有や共同事業を推進する「NPO法人 日本スポーツボランティアネットワーク」が設立された。近年、広まりを見せる「ささえる」スポーツの担い手となるスポーツボランティアの活動を継続的かつ安定的なものにするのがねらい。11月には「スポーツボランティアサミット2012」を開催。会の最後に、今後の行動指針として「スポーツボランティア2012宣言」が発表された。

総括

2012年は、ロンドンオリンピック・パラリンピックにおける日本選手団の活躍に沸いた年であった。東京・銀座でのメダリストによるパレードは50万の人で埋め尽くされ、この熱狂は、東京オリンピックの招致活動にも追い風になるものと思われる。
一方、国民のスポーツ実施人口、実施率に目を転じると、「ジョギング・ランニング」はSSF調べでは推計1,000万人を超えたものの、その他のスポーツ種目の実施率は軒並み横ばいか下降気味という状況である。

2013年9月には2020年のオリンピックの開催地が決定する。スポーツ基本計画において「国際競技大会等を我が国において招致・開催することは、(中略)、広く国民・市民のスポーツへの関心を高め、スポーツの振興や地域の活性化につながるものである。」としているとおり、オリンピック招致をいかに国民全体のスポーツ振興につなげていくのかを考えていくことが当財団を含めたスポーツ振興に携わる者に問われる課題の一つと言える。