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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

スポーツアコード 現地レポート 情熱とチームワーク ~東京オリンピック・パラリンピックプレゼン 1

情熱とチームワーク ~東京オリンピック・パラリンピックプレゼン

スポーツアコードの様子1

スポーツアコードのもうひとつのメインイベントが「招致都市によるプレゼンテーション」だった。
2020年夏季オリンピック・パラリンピックの開催地決定(9月7日)まで、あと100日となった5月30日である。招致レースはいわば第4コーナーを回ったところ。東京ほか、イスタンブール(トルコ)、マドリード(スペイン)の3都市が初めて集まった。

わずか20分間のスピーチでどう都市をアピールするのか。トップバッターのイスタンブールに次いで登場した東京招致委員会は、「パッション(情熱)」と「チームワーク」で東京の魅力を訴え、聴衆を沸かせた。
ついロシア語で「ハラショー(素晴らしい)」と声を発したくなった。情熱とリズムがあったからだ。最初の竹田恒和・招致委理事長(日本オリンピック委員会会長)のプレゼンター紹介からテンションが高かった。紹介されたフェンシングの太田雄貴選手は剣を構えるしぐさをして、聴衆の笑いを誘った。

まず竹田理事長が大会ビジョンの「安全・確実・コンパクト」をアピール。東京の経済力やインフラの安定を強調し、「興奮と情熱」をもってオリンピック開催にチャレンジする、と訴えた。続けて猪瀬直樹知事が東京の安全性や「4,000億円の基金」の財政面の安定、交通網の充実を説明した。
猪瀬知事の英語は決して流暢ではないけれど、独特の間やリズムがあってユーモラスなのだ。「東京では、何かモノを無くしても戻ってくる。おカネだって戻ってくる。」「4,000億円のオリンピック用の基金を準備している。銀行にキャッシュである」。身ぶり手ぶりを交え、聴衆の笑いを誘った。「trust in us!(我々を信じてください)」で締めた。

プレゼン時の東京都・猪瀬直樹知事

プレゼンで特筆すべきは、最後、竹田理事長自らが「WHY(なぜ)、HOW(どうやって)、オリンピックを開くかという問いに答える必要がある」と切り出したことだ。「WHYとHOWを分けることはできません。」と続けた。

「安全、安心、確実にオリンピックが開催できるのは東京だけです。オリンピックの価値を高め、世界で最も先進的な都市から次世代の若者に伝える革新的な未来モデルのオリンピックを発したいのです。それが東京でオリンピックを開く理由です。」

プレゼンが終わると、東京は称賛の拍手を浴びた。「いいプレゼンでした」と声をかけると、竹田理事長は「そう言われるとうれしいですね。」と相好を崩した。

「やっぱり東京はオリンピックをするのに最適な場所ということを訴えました。計画もコンパクトだし、なにしろ安全、安心、確実だ。我々は間違いなく、いいオリンピックをやるといった気持ち、情熱をみんなに伝えたいと思ったのです。手ごたえがありました。」