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4.まとめ

2011年度にPAJの協力を得て実施したパラリンピック選手へのインタビューでは、「パラリンピックの技術レベルが格段に高度化した」「パラリンピックの出場権獲得は厳しさを増している」とのコメントが多数寄せられている。パラリンピック選手が、競技選手として世に認められるためには、パラリンピック選手自身の成長も当然ながら必要ではあるが、未熟な競技環境が彼らの成長に歯止めをかけているといった実態も、スポーツ界は広く深く認識することが重要である。この点を明らかにした本調査結果は、メディアでも大きく取り上げられたほか、厚生労働省も更なる調査の必要性があると認識し、ロンドン大会に出場した選手に対し追跡調査を実施するまでに至った。

PAJが目指すのは、選手が選手として当たり前に認められる社会の構築だけでなく、障害者も含む多くの人々がスポーツを楽しめ、挑戦することができる平等な社会の実現にある。まず議論すべきは、世界的動向であるメインストリーム化の実現である。競技団体と障害者スポーツ団体の連携、たとえばコーチやテクニカルスタッフといったスポーツの専門性を持つ人材との協働は、福祉国家日本において、より強く政策課題として認識されるべき事であるのは間違いない。

今回の報告に留まらず、検討すべき課題は多くある。たとえば、選手のデュアルキャリアや選手育成システム、障害者も地域でスポーツを楽しめる環境の構築など、PAJが示した調査結果は、障害者のスポーツを取り巻く問題の氷山の一角に過ぎない。選手会であるPAJ自らが行動を起こし、選手の声を世に届けてはいるが、選手だけの活動ではなく、多くの世論も巻き込みながら、英国のような政策誘導も今後は重要であると思われる。英国ではスポーツ政策は社会政策のひとつとして認識されている。さらなる障害者のスポーツの発展のためには、障害者政策とスポーツ政策の壁を越え、社会政策として多面的にとらえていく必要性がより高まっていくと考えられる。

「第2回パラリンピック選手の競技環境 その意識と実態調査」の詳細については、日本パラリンピアンズ協会のサイト(第2回 パラリンピック選手の競技環境 その意識と実態調査)にアクセスし、「報告書」をダウンロードしてください。

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