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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

中国のスポーツ政策の新動向について(1)

-生涯スポーツを中心として

呼倫貝爾学院体育学院 張 林芳 氏

2008年、当時の国家総書記胡錦涛は2008年北京オリンピック・パラリンピックの開催にあたって、中国のスポーツが目指す長期的な目標として「スポーツ大国」から「スポーツ強国」への発展を推進させることだとしていた。その「スポーツ強国」を実現するためには、総合スポーツ事業の発展が必要だと強調した。特に、中国がとるべき政策は「競技体育」(競技スポーツ)を発展させると同時に「大衆体育(群众体育)」(国民スポーツ)を発展させることだと指摘している。

また、2013年11月19日に現在の国家総書記習近平が「五輪功労賞」授与の際に述べた中国のスポーツ事業についての演説では、「中国政府はゆとりある社会を実現するため、中華民族の偉大な復興戦略のなかでもスポーツ事業の発展を重視し、オリンピック運動を通じて国民の健康水準の向上と、競技スポーツと生涯スポーツの発展を目指し、『スポーツ大国』は『スポーツ強国』に向ける」と指摘している。

以下、現在の生涯スポーツ事業を中心に、中国のスポーツ政策の新たな動向を述べたい。

生涯スポーツ促進の政策目標

1. 全民健身計画について

全民健身計画について

中国国務院は、「国民健身計画要綱(1995 - 2010年)」において、2010年までに達成すべき目標と任務を定めた。さらに2011年2月には、「中華人民共和国体育法」、「国民健身条例」により、「全民健身第12期5ヵ年計画(2011 - 2015年)」(以下「健身5ヵ年計画」)を公布し、国民の体育・生涯スポーツの振興を図っている。国民の体格・健康・幸せレベルの向上、社会主義精神文明とゆとりある社会の建設、さらに全民フィットネス(健身)事業を発展させるなど、幅広く国民のスポーツフィットネスを展開させ、「スポーツ強国」の建設プロセスを加速させることを目的としている。

「健身5ヵ年計画」では、情勢分析を踏まえた上で、その後5年間のスポーツ振興のための指導思想、目標任務、事業措置、保障措置と組織実施が指摘され、主に「三納入」という政策が打ち出された。一つめは、全民健身事業を、特に公共スポーツ施設の建設を地域の国民経済と社会発展の計画に組み入れること、二つめは、全民健身の経費を地域の財政予算に組み入れること、三つめは、全民健身の増進活動を地域の「政府事業報告」に組み入れることである。

2. 中国体育事業12期5ヵ年計画について

「スポーツ強国」の目標を実現すべく、2011年4月に国家体育総局により制定された「中国体育事業第12期5ヵ年計画」(以下「5ヵ年計画」)。「5ヵ年計画」では、その後5年間のスポーツ振興のための全体目標が制定された。また、公共スポーツサービス体系の整備を加速し、公共スポーツサービスを向上し、全民族の体力と健康のレベルを向上させ、中国の「大衆体育(群众体育)」(生涯スポーツ)発展の新たな段階を促進することも目標とされている。

参考資料