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震災から3年 ~スポーツのチカラノンフィクションライター 松瀬 学 氏

夢挑戦。ワールドカップ誘致に燃える ~釜石市鵜住居町

釜石といえば、ラグビー日本選手権7連覇を遂げた新日鉄釜石の本拠として知られる。間違いなく、ラグビーはまちの誇りである。被災地の復興のシンボルとしてW杯を誘致する。カネはないけれど大義がある。

もうひとつ、はた目には復興が進んでいるように映っても、まだ多くの人が仮設住宅で暮らしている。どうしても、「複雑な住民感情」への配慮もある。新日鉄釜石ラグビー部と、その流れをくむ釜石シーウェイブス(SW)で活躍した“レジェンド”、桜庭吉彦さん(釜石市ラグビー協会副会長)は言う。

「たしかにひとつの目標に向かっていくチャンスだと思う。でも仮設住宅に入っている方が多くいらっしゃる中、誘致ばかりを声に出して言えない苦しみもあります…。ここで一歩、半歩踏み出し、一緒に(W杯誘致に向け)盛り上げていきたいのです」

そのジレンマはわかる。ただW杯が釜石にくれば、どれほどまちが活性化するか。元気になるか。2016年に岩手国体、20年には東京五輪パラリンピックもやってくる。
おそらく釜石がW杯会場となれば、この地がW杯のシンボルとなるのではないか。ラグビーW杯2019誘致推進室の増田久士さんは「生きるモチベーション」と表現した。

「目標がないと生きられないじゃないですか。ここでW杯の試合をやれば、オリンピックの時、釜石にくる人も増えるでしょう。チャレンジできるならチャレンジしよう。いま転換期。ターンオーバー(ボール奪取)して、どう攻めようかというところです」

同感である。夢がなければ生きられない。だから、「フィールド・オブ・ドリームス」の精神が大事なのである。W杯の会場決定は来年3月。開催地決定には、スタジアムだけでなく、宿泊施設や交通アクセスなど、さまざまな条件がチェックされることになる。

だが、より大事なことは、W杯を契機とし、どのようなまちづくりをするかということである。釜石をどうしたいのか。10年後、30年後を想定しているのかどうか、だ。

タウンミーティングには、女子ラグビーに励む15歳の畠山苗穂さんも参加した。ほおをちょっぴり赤く染め、こう言った。
「スポーツを通して、子どもから大人までからだを動かせる場所があったらいいな、と思います。釜石でワールドカップに接し、東京オリンピックに出場したい」

いいぞ、いいぞ。生きている人は意外とつよい。負げねっすよ、釜石なのだ。

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