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震災から3年 ~スポーツのチカラノンフィクションライター 松瀬 学 氏

がんばっぺし。子どもたちにスポーツを ~大槌町

グラウンドの校庭は、本ちゃんのサッカー場の半分のスペースである。生徒数が、中学生は約3百人、小学生が約4百人。一緒になって使うため、どうしても小学生優先となってしまう。クラブ活動の中学生も学校そばのアスファルトの道路をダッシュするぐらいで、思い切りからだを動かせない。

いま、ほしいものは? と聞けば、大槌中学サッカー部の3年生、坂本佳樹くんは「スポーツ施設」と即答した。「環境をもっと、よくしてほしい。やっぱりグラウンドがほしい。もうちょっと広いグラウンドがいいですね」
スポーツ好きの他の生徒の声に耳を傾ければ、悲痛なコトバが相次いだ。

「環境、チョー悪い」

「体育館が使えません」

「スポーツを楽しむ場所がない」

「小学生に場所をとられる」

「遊ぶところがありません」

これでいいのか。平舘さんは悲しそうな目をするのだ。「かわいそうですね」とぼやく。

「どれを優先させるのかと言われた時、運動や文化は一番、弱い部分ではあるでしょう。でも、人間作りには大事なものだと思うのです。スポーツのチカラとは、生きるチカラでしょ。スポーツを通し、勇気、チカラがわき出てくるのです」
子どもたちにスポーツをさせてあげたいのに、場所も施設もない。仕組みもない。そういったジレンマがある。国や被災地以外の人々から忘れられてしまうのではないか、との不安もある。

「忘れられるのは当たり前だと思っていますけれど、まだちょっと、まだちょっと、おぼえておいてください」

来年あたり、中央ではスポーツ庁が設立される見通しだ。そうなれば、スポーツのステータスがあがり、スポーツ施策がやりやすくなるのではないか。子どもたちのスポーツに接する機会を保障してくれるのではないか。さらにはスポーツ界に一体感が生まれるのではないか。そう期待する。
また2016年に岩手国体がある。大槌町では公開競技のソフトバレーを実施する予定だ。20年東京五輪パラリンピック。

「オリンピックって、血沸き肉躍るじゃないですか。当たり前ですけど、運動って、生きているからできることです。感動したり、涙したり、できる」

課題は、場所、施設、カネ。さらにいえば、場所や施設を運営していく仕組みづくりである。町全体でスポーツに取り組む仕組みがなんとかできないか。
がんばっぺし。そう平舘さんは何度もつぶやくのである。

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