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ソチオリンピック ボランティア奮闘記
西川 千春 氏

第3回 ソチを離れて

記者会見ホールの同時通訳ブース

記者会見ホールの同時通訳ブース

2月7日、ソチ冬季オリンピックの開会式がオリンピックパークにあるフィシュト五輪スタジアムで開催された。ほぼ3週間に渡るボランティア活動を終えた私は、ロンドンの自宅ソファーでソチで買ってきたウォッカを飲みながらテレビを観ていた。ロシアが誇るバレエなどもふんだんに盛り込まれた演出は、ロンドンともまた異なるいかにもロシアらしさが出ていた。それぞれのオリンピックは全く違う、それが面白いのだ。そんな映像を観ながら、3週間まさに寝食を共にした仲間たちのことを想うのだった。

開幕も近づき、MMC(メインメディアセンター)にも次々と各国のテレビ局、新聞・通信社が乗り込んできた。日本のメディアの事務所にカップラーメンが大量に山積みされているのを見て、思わず笑ってしまった。
彼らのチェックインのサポート、プレスキットの準備、記者会見ホールのセットアップなど仕事が増えて、ようやくオリンピックが始まる雰囲気がでてきた。

MMCは独特の雰囲気があって、何よりも非常に国際的であることが特徴だ。何しろ世界中のメディアが集まるので、英語での運営が徹底している。実際、クライアントであるメディアや私も含めてスタッフの多くはロシア語が分からない。オリンピックの公用語は英語とフランス語だが、どうしても運営上、英語を標準語とせざるを得ない。ロシアに在ってロシアでないのがMMCなのだ。
そんな中でも20万人から選抜されてきた2万5千人のボランティアたちは、持ち前の明るさと積極性で活動している。これからのロシアを支えていく若い世代だ。

ボリショイアリーナ、アイスホッケーの選手ベンチ

ボリショイアリーナ、アイスホッケーの選手ベンチ

以前にも書いたようにソチのボランティアたちは基本20歳前後の大学生が中心だ。通訳チームは当然として、メディア、選手・関係者とコミュニケーションをとる必要がある部署では最低でもある程度の英語をしゃべる必要がある。残念ながらロシアにおける英語の理解度は非常に低く、一歩街にでるとほとんど英語が通じない。したがって、ある程度英語を勉強している学生から選抜せざるを得なくなる。

さらにロンドンと違い、草の根レベルでのボランティア文化がないので一般市民のボランティアは実質存在しない。つまり30-50代で実務経験をもったロシア人のプロフェッショナルがいない訳だ。
この点、英語が母国語で、幅広いバックグラウンドを持った市民がボランティアとして参加したロンドン2012とは状況が全く異なる。現に、海外からのボランティアにはロンドンやバンクーバーの経験をもった年配者や現役社会人が数多くいる。しかしながら基本、社会経験がない大学生をベースに考えられたボランティア組織ではこれらの有能な人材を活かしきれないのが実態である。また社会人であれば2-3週間働くのが精一杯だ。学生のように1ヵ月半も活動はできない。

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