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ソチパラリンピック 現地レポート
星野 恭子 氏

4. 大盛況だったソチ大会。そこから学ぶこと

ソチ大会は開催国ロシアとウクライナのクリミア半島をめぐる対立が暗い影を落とし、開会式でのウクライナ選手の一人きりの入場行進や、表彰式でのメダルを手で隠して抗議するといった行為も見られ、スポーツと政治の関わりについて考えさせられる大会でもあった。

それでもなお、国際パラリンピック委員会のフィリップ・クレイヴン会長は閉会式の挨拶で、「ソチ大会は冬季パラリンピック史上最高の大会」と評価するなど、大会は成功ムードに包まれた。たしかに、競技会場はどこも連日大にぎわいで、特に商業面での成功は大きかったと思う。

■手頃なチケット価格やテレビ放映の増加が、パラリンピック普及を後押し

アイススレッジホッケーでロシア勝利に喜ぶ観衆

アイススレッジホッケーでロシア勝利に喜ぶ観衆

入場・観戦チケットは冬季史上最多となる31万枚以上を売り上げた。実際、40,000人収容のスタジアムで行われた開・閉会式をはじめ、各会場の観戦席は連日ほぼ満員だった。好調なチケット販売は手頃な価格設定も要因ではないかと思う。価格は約1,000円から4,500円で平均価格帯は1,200円から1,500円。最も高額の開会式で2,000円~15,000円、閉会式は1,200円から6,000円ほどだった。価格には税・サービス料のほか、会場までの公共交通機関の料金も含まれていた。

各会場ではDJによるアナウンスや大型スクリーンによる映像、また競技体験コーナーやライブ演奏といった観客サービスなども充実していた。プーチン大統領も頻繁に大会会場を訪れるなど大会の盛り上げに一役買っていたと思う。

今大会、メディアによる報道も「史上最高の充実」ぶりだった。国際パラリンピック委員会はインターネットによる競技のライブ中継(全5チャンネル)を実施したり、選任ライター陣による多彩な記事などで大会を伝えた。この大会公式サイトは期間中、30万人以上が訪れ、ページビューは150万を超えたという。

テレビ放映権は40カ国以上が取得。たとえばロシア国内では180時間以上、日本でもNHKが地上波で約30時間、多チャンネルデジタル衛生放送「スカパー!」が日本初の24時間パラリンピック専門チャンネルを開設し、5競技72種目の生中継60時間を含む200時間以上の連続放送に臨んだ。他にもアメリカ、ヨーロッパ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、さらには今大会で初めて冬季大会に代表を送ったブラジルなどでもテレビ放送が行われた。ちなみに放映権料による総収入は20億米ドル以上で、これは前回バンクーバー大会の約2倍だという。

パラリンピックは近年、「リハビリの延長」という障害者スポーツの従来のイメージから完全に離れ、スピード感や迫力にも富んだ競技性の高いイベントに変容している。百聞は一見にしかず、だ。会場での観戦者やテレビ中継が多かった今大会はパラリンピックや障害者のスポーツに対する見方を変えることに大きく貢献したはずだ。

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