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スポーツの力で日本を元気に! スポーツによるまちづくり

村民が誇れるむらづくり 青森県新郷村 子どもたちにふるさとを残す、スポーツは元気なむらづくりの源。

2012年、2013年のチャレンジデーで2年連続日本一受賞に輝いた青森県新郷村。人口2861人の小さな村が官民一体となって、自然と共生する里山で特産品づくりや観光地づくりに取り組んでいる。

青森県新郷村とは 人口:2,861人(2013年8月31日現在) 特長:青森県の南端、十和田湖の東に位置している。東北新幹線八戸駅の開業により、国立公園十和田湖への東玄関口として新たな観光産業の時代を迎えている。ふれあい牧場など体験型観光施設や温泉施設に加えて、キリストの墓などパワースポットが人気を呼んでいる。 青森県新郷村のHPへ
  • 【後半】 行政と村民一体となり村おこしを
  • 【前半】 チャレンジデーで村を元気に
チャレンジデーで村を元気に

チャレンジデー連続2年日本一の村

須藤良美村長
渡邉:
今年のチャレンジデーで新郷村は、岡山県新庄村と対戦され、参加率95.9%を記録し、全国の参加自治体101のトップとなり、「チャレンジデー大賞」を受賞されました。昨年に続いて、2年連続日本一の栄誉に輝きました。受賞、おめでとうございます。
新郷村はチャレンジデーに参加する以前から、村長のリーダーシップのもと、様々な事業に取り組まれていますが、今日は新郷村の村づくりについて総括的にお話を伺いたいと思います。
まずは、昨年度チャレンジデーに初めて参加されて日本一になられましたが、参加のきっかけや経緯についてご紹介ください。
須藤:
スポーツを通じて村の活力を高めようというのが新郷村の村づくりです。各種団体や各地区、各種産業、そして教育関係、福祉団体など、村のあらゆる団体組織の知恵を結集し、少子高齢化と過疎の村をなんとか元気づけていこうと村おこしに取り組んできました。
 
チャレンジデー参加のきっかけは、2年前、地元の三ツ岳スポーツクラブ(平成23年3月設立)の八戸由美子さんから「笹川スポーツ財団がチャレンジデーを開催しているので、村づくりの一環として是非参加して、元気な明るい村づくりをやりませんか」と何度も何度も話がありまして、それで「明るい村づくりになるのなら、一緒にやりましょう」と決断して、準備に取りかかりました。
ただ、我々も最初はまず何をやるのかが全然わかりませんでした。まずは村民にいかに浸透させていくかが大事だし、各種団体の理解と協力も得るためには、各種の会議のもとで進めていかなければなりません。
三ツ岳スポーツクラブにはそのような場面でチャンネルとなって動いてもらいました。
チャレンジデーの様子
チャレンジデーの様子
渡邉:
総合型地域スポーツクラブの熱意がなかったら、新郷村のチャレンジデーは生まれなかったということですね。でも、村長が意気に感じてやってみようという決断力も賞賛に値しますね。
須藤:
決めた以上は私の責任ですからね。村民をひとつにまとめていかなければならないし、途中で投げ出すわけにもいかない。私が自ら各地域や団体への説明会に行って、チャレンジデーの意義を話し、協力を求めた際、皆さんが耳を傾けてくれたのは、ほんとうにありがたかったです。村民が一致団結して一つの目標に向かって取り組んでいく姿が村全体を元気にしていく。こうして村おこしが始まっていくんだと実感しましたね。
渡邉:
昨年は初出場でいきなり日本一になり、今年はプレッシャーがかかる中で、いろいろと創意工夫を重ねて、2年連続日本一を勝ち取られました。まさにこれが村おこし、村づくりの原点だというお話ですが、具体的に、村長から見て、目に見える成果が生まれた、こんな感動が生まれたという話をお聞かせください。
須藤:
1年目は、参加率92.8%の成績で、それまで2年連続日本一だった強豪の沖縄県東村を破り、日本一になりました。その時は、「1日まるごと新郷村散策ツアー」を実施し、八戸市からバスで100人の参加者を募集し、体操をして、温泉に浸かって、美味しいものを食べるという趣向で大盛況でした。ナイトウォーキングには、隣の五戸町から小学生の生徒と保護者がゴールの新郷村役場まで歩いてくれた。村外の応援団としてたくさんのお客様が新郷村を訪れ、激励をいただいたことが心強く、嬉しかったですね。
ナイトウォーキング
消防団の玉落とし
 
朝から防災無線でラジオ体操の曲が流れると、反射的に体を動かしている姿も見られるようになり、スポーツイベントやお祭りのたびに、ラジオ体操の曲を流し、「チャレンジデー日本一の村」を誇りにして来年のチャレンジデーも頑張ろうとPRを続けてきました。
2年目の今年、参加率が95.9%と昨年を上回ったことは、高齢者の健康づくりと元気のある村づくりを目指すきっかけになりました。
 
それに新郷村の人たちのスポーツに対する意識がかなり高くなりましたね。5年前に「村づくりを語る会」を始めてから、村民のなかに何事も目標に向かって取り組んでみようという意欲が湧いてきた。チャレンジデーをきっかけに元気な村にしたいという人たちが日増しに増えてきた。やはり、このチャレンジデーを仕掛けたことは大きな意義があったと思っています。
渡邉:
来年も連続3年日本一を目指してチャレンジデーに挑戦いただけると期待しておりますが、チャレンジデーに関する課題はございますか。
須藤:
2年続けて参加しましたが、対戦相手との実質的な地域間交流ができないものかと思います。対戦相手が決まった時には、役場や学校で相手がどんな自治体なのか、産業や特産物には何があるのかなど、いろいろと興味津津でしたが、対戦が終わってしまうと、大人も子どもたちも話題に上げなくなってしまうのは淋しい。せめて、対戦相手と小学生同士の交流や、行政マンの交流を続けたり、地域のお世話をしてくれた人などの労をねぎらってはどうだろうか。せっかくチャレンジデーを通じて知り合うことができたのだから、スポーツを通じてもう少し深く地域間交流をしてみたいですね。もし予算的な補助をしてもらうことができれば、頑張る目標にもなるのではないでしょうか。地域が元気になることができるので、挑戦する自治体も増えると思います。

村ぐるみで「金の卵」を育てる

渡邉:
子どもたちのスポーツを通した地域間交流は未来の村づくりにつながっていきますね。ところで、村長ご自身は子どもの頃からのスポーツのご経験は?
須藤:
昔はスポーツは好きではなかったんですね。小さい時、一番苦手な教科が体育で、体育の時間や運動会になると、お腹を壊したり、頭が痛くなって学校を休んだりしましたよ。だけど役場に入ってからはいろんなスポーツに参加して、役場の野球チームでピッチャーもやったし、バレーボールもやりました。いろんなスポーツをやりましたが、これが得意というものはありません。どうしてそうなったのかを考えてみると、子どもの時にスポーツの面白さを体感する機会がなかったからです。やはり意識的にスポーツの楽しさを教え、スポーツ精神を育んでいくことが、子どもの躾と同様に必要だと思います。
渡邉:
2年前に八戸大学が「新郷村の子どもの体力向上へと繋げるための保護者の意識調査」を行っていますが、調査結果からはどんな課題が見えてきましたか。
三ツ岳スポーツクラブの活動
須藤:
新郷村の子どもたちは、早寝・早起きで、朝食は毎日ちゃんと食べており、肥満率もさほど高くないという非常に良い結果でした。しかし、充分な自然環境があるにもかかわらず、外遊びをする子どもが少なく、家でゲーム機やテレビを見る時間が長い。遊び相手は家族が多く、友達や上・下級生との交流がない子どもが多い。父親との遊びもゲーム機が多いという調査結果でした。しかし、得意不得意に関わらず、運動好きの父親もいるし、親は子どもに健康や根気、思いやり、自主性を願っています。子どもの健全な発育のためにスポーツの機会を増やしてほしいとの要望が挙げられていました。
これを踏まえ、23年度に設立した総合型地域スポーツクラブ「三ツ岳スポーツクラブ」が、多世代にわたり、コミュニティを広げ、地域全体でスポーツに取り組む習慣ができたと思っています。
渡邉:
笹川スポーツ財団では「スポーツ好きの子どもたちを育てよう」をキャッチフレーズに活動しています。村長がおっしゃったように子どもの時にスポーツに親しみ、スポーツは楽しいものと思っていても、成人になると忙しくなり、スポーツから離れる時期があります。
ただ子育てが一段落したり時間に余裕ができると、またスポーツに戻ってきます。ライフサイクルを考えると子どもの頃の体験は、後々大きな影響を与えるということですね。
村長は、子どもの頃はあまり運動は得意ではなかったということですが、役場に入ってから野球をやったり、いろんなスポーツをやられて、やはりスポーツが楽しいと感じられたのでしょうか。
須藤:
やはり、役場組織のなかで働いているわけですから、主任、係長と、だんだん役職が上がれば、それだけ職員をまとめていく能力も必要になります。職場の同僚と一緒になってスポーツを楽しむことで、職場がまとまっていく。だから、みんなを引っ張っていくために、一緒になってスポーツをやってましたね。そう考えると、スポーツは体を鍛えるだけではなく、人間同士の関係を良くし、それによって職場もうまくまとまっていく。そういう意味でもスポーツは大事なんですね。
村民大運動会
村民体育大会
綱引き大会
金ケ沢スキー場
渡邉:
それはスポーツの持つ価値の一つですよね。連帯感を醸成したり、仲間意識を作っていくことは社会生活をする上で大事なことですからね。
新郷村は少子高齢化が進み、現在、高齢化率37%ですね。一方で青少年人口の比率は10%程度です。そういった意味でも老若男女が世代を超えて、子どもからお年寄りまでが交流できる場を提供することが大事ですね。
須藤:
そのとおりですね。ですから新郷村では従来から村民大運動会や村民体育大会、綱引き大会など、いろんなスポーツ行事を開催しています。村の恒例行事には老若男女で賑わいますし、汗を流した後の懇親会も盛り上がりますね。
近年、都会だけでなく、農村でも隣同士の付き合いがなく、コミュニティの希薄化が進んでいますが、ここ新郷村では常会と呼ばれる組織があり、年1回の運動会や体育祭などの地区対抗で競い合う大会にも村民が地区ごとに自主的に取り組んでいます。
もともと、冬のスキー競技が盛んな地ですが、子どもたちは村営の「金ケ沢スキー場」でスキー協会の指導者から初歩からの指導を受けられる恵まれた環境にあります。三ツ岳スポーツクラブの母体となった「新郷ジュニアレーシングチーム」に所属する子供たちの中には、県内外の大会に出場して、多くの入賞成績を収めている子もいます。
子どもの数は年々減っていますが、そのなかから「金の卵」を村ぐるみで育てています。
渡邉:
小さな村だからこそできることなのでしょうが、村民大運動会や村民体育大会は村を挙げての大イベントになっていますね。こうした誰もが参加できるイベントや大会があるので、各地区対抗のスポーツ競技は盛り上がりますね。逆にあまりスポーツには関心がない人や高齢者の皆さんにはどのような施策が必要でしょうか。
須藤:
スポーツは人によって面白い種目もあれば面白くない種目もありますから、無理に押し付けるのはダメですね。やはり、種目を選んで、村民の親睦と友和を図れるような種目で、面白いから村民が運動してみようかと思うようなやり方が必要だと思います。若い人たちだけでなく、高齢者も一緒に楽しめるスポーツ環境を作っていかなければと思います。
三ツ岳スポーツクラブの運営プログラムを見ると、子どもだけでなく、高齢者に対しても参加しやすいものから冬のスポーツまで、いろんなアイデアを持っています。こうした地域のスポーツ指導者を発掘して、スポーツの村づくりのために盛り上げていかなくてはいけません。
渡邉:
村づくりの重要なパートナーである三ツ岳スポーツクラブに期待することは何でしょうか。
須藤:
スポーツ基本法にもありますように、スポーツは人と人、地域と地域との交流を促進し、地域の一体感や活力を醸成し、地域社会の再生に寄与できます。地域の実情に応じたきめ細かなクラブの育成を目指すという意味で三ツ岳スポーツクラブは、新郷村にチャレンジデーというイベントをもたらし、地域を盛り上げることができたことで充分に役割を果たしています。今後も村の体育協会やスポーツ団体と連携し、広い世代を対象にしたイベントをたくさん実施してほしい。新郷村の住民だけでなく、周辺地域からも会員を募集し、新郷村の魅力をPRし、村に住みたくなるようなイベントを企画し、人口増加につなげてほしい。村も当クラブが安定的な運営を続けられるよう応援していきたいですね。
クラブサブマネジャー 八戸由美子さん
人口2,800人の村の総合型地域スポーツクラブ「三ツ岳スポーツクラブ」

「いつでも、どこでも誰でもスポーツができる」環境づくりを

― 三ツ岳スポーツクラブの目標は?

三ツ岳スポーツクラブ(日向昌徳会長)は、三ツ岳(MITSUDAKE)の頭文字から「MI」みんなで楽しく、「TSU」つかもう夢を、「DAKE」大好きスポーツを合言葉に、心身ともに健康で豊かな生活を送ることができる地域コミュニティづくりと地域の活性化に貢献できるクラブを目指しています。

― クラブ設立までの経緯は?

平成18年に青森県体育協会総合型地域スポーツクラブ特別支援事業として「新郷村のスポーツをこよなく愛する会」を設置し、総合型地域スポーツクラブの設立に向けて活動を始めました。
当初はスキーの「新郷ジュニアレーシングチーム」の強化が中心にありましたが、スキー競技単一種目のクラブではなく、「いつでも、どこでも誰でもスポーツができる」環境づくりを理念とすることとしました。
新郷ジュニアレーシングチームや体育協会、体育指導委員、教職員など13人のメンバーで設立準備委員会、運営委員会を組織し、2年間の準備期間中に、各委員が総合型地域スポーツクラブに関わる資格取得や、講習会などに参加しました。
この間、プレ事業として小・中学生のスポーツ教室(バドミントン、サッカー、ソフトテニス、ユニホック、スキー)を月2回実施し、約60名が参加しています。
また、イベント事業は、村民を対象に三ツ岳登山や新郷村1/2周ウォークラリー、金ヶ沢スキー場まつりなどを開催したほか、村民への広報活動や村内小中学校で教職員やPTA保護者に総合型地域スポーツクラブの説明会を行いました。
当クラブの目的や活動内容が地域住民に浸透し、団体や村民の協力や支援を得て、平成23年3月にスタートしました。

クラブ活動の写真
ゆったどウォーキング

― 現在の会員数と活動内容は?

会員数は112人(うち小中学生は67人)です。村全体の小中学生数が約200人です。村の小中学校の体育館や公共施設を使って、12種目程度(フットサル、ソフトテニス、バスケット、野球、エアロビ、ネオホッケーなど)のプログラムを提供しています。スキーのジュニアレーシングチームの夏のトレーニング用に、スポーツクラブがいろいろなプログラムを提供しています。
子どもたちは毎日来ている子もいれば、やりたいスポーツだけやる子など、それぞれですが、楽しんでくれています。
ほかには、25キロを歩く「ゆったどウォーキング」なども開催しています。

― チャレンジデーへの参加を村長に要望した理由は?

当クラブをPRする狙いもありましたが、1年間、村の皆さんのスポーツへの取り組みを見せていただいて、若い人やお年寄りがそれぞれスポーツを楽しんでいる様子は感じていましたが、みんな一斉に地域全体が盛り上がるようなイベントとしてスポーツをやってみませんかと、村長に提案しに行ったのがきっかけです。
何回も通っていろいろアイデアを出させていただき、村長から一緒にやりましょうとお返事をいただきました。

― 総合型地域スポーツクラブとしての課題は?

会員数を増やすために幅広い年代の方が参加できるプログラムを提供したいですね。健康づくり事業で温泉施設を使って80歳のおばあちゃんの筋力トレーニングを週1回3か月続けたら筋肉がつき、びっくりするくらい歩けるようになったんです。村の温泉館を使ってこうしたプログラムを企画、提供していきたいと思っています

八戸 由美子さん

平成23年、24年の2年間、三ツ岳スポーツクラブ クラブマネジャーとして勤務。
現在は、帝京平成スポーツアカデミーのクラブマネジャーのほか、三ツ岳スポーツクラブ クラブサブマネジャー、またビューティーストレッチ、ノルディックウォーキングの指導者として活動中。

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