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スポーツの力で日本を元気に! スポーツによるまちづくり

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独自のコーディネーター制度

市独自の教育支援コーディネーター制度が全国に波及

速水雄一
「地域スポーツコーディネーター制度」の導入効果に関する研究
速水:

雲南市が2006年度から独自に始めた教育支援コーディネーターは、学校、家庭、地域、行政が一緒になって子どもを育てよう、それにはコーディネーターが必要だということで、教育支援コーディネーターとして7つの中学校の職員室に市職員を1人ずつ配置しました。最初は職員室に先生以外の人間が入ることの抵抗感がありましたが、授業や生徒との関係、学校管理事務に忙しく追われている教師にとって、地域や行政との連絡調整にあたってくれるコーディネーターはとても便利だという評価を得ています。学校の授業や行事を行ううえで、国や県、市の補助事業などを活用しやすくなったとだんだん認知されてきました。
こうした取り組みが、土江博昭教育長が中央教育審議会のメンバーだったことから国が知るところとなり、文科省が2008年度から学校支援地域本部事業で地域コーディネーター制度をスタートさせたわけです。3年間の助成事業で全国1,800校くらいを指定し、雲南市もこれを活用して、小・中学校で33人配置しました。
国の事業は3年間で終了しましたが、雲南市は地域コーディネーターを残し、市独自の教育支援コーディネーターと統合、現在は地域コーディネーターを全小学校(19校)に配置しています。
また、22年度から、これも市独自の制度として全7中学校区に社会教育コーディネーターを一人ずつ配置しています。これは最初の教育支援コーディネーターの仕事に社会教育業務が入ってましたが、実際は手が回らないため社会教育面の業務を担当する人材を補完しました。
さらに2011年度からは7人の社会教育コーディネーターのうち、3人が地域スポーツコーディネーターを兼務しています。
これらは定着させていくまで充実期間が必要ですが、雲南市ならではの学校と地域、家庭、そして行政が一体となった「学社協働」の教育手法として高めていきたいですね。学校の教室での学びを座学とするならば、地域社会というフィールドで実際に経験する実学を目指す試みです。

「学社協働」を実践するキャリア教育

「夢」発見プログラムの様子
渡邉:

子どもにとって、地域での社会実践は本当に大事ですね。「学社協働」の実践プログラムとして「夢」発見プログラムを実施されていますね。

速水:

「夢発見プログラム」は、キャリア教育が求められているなかで、市内すべての中学3年生(426人)が連続3日間にわたって、雲南市内の189事業所で職場体験をするプログラムです。
職場体験は事業者の求人票を見て、生徒自身が希望する職場を決め、事業者の面接試験を受けます。採用通知が届き、希望の会社で3日間働くわけですが、職場では違う学校の生徒たちと一緒ですから、世界も広がるし、何よりも体験前と後では生徒たちはずいぶん成長すると教師は言っています。さらに希望者は青少年交流の家で2日間のキャリアアップセミナーに参加できます。各界のプロフェッショナルの講義を聞き、そのワーキンググループに参加して、職場体験をさらに補完することができるのです。
他にも幼児期向けの夢発見プログラムも作っていますが、これらのプログラムは最初の7人の教育支援コーディネーターたちが自分たちの存在意義を発揮しようと、試行錯誤して創造した体験プログラムです。まさに7人の侍ですよ。

渡邉:

大きな成果ですね。コーディネーター制度の一つの果実として生まれたものがいろいろなかたちで広がってきたわけですね。
7人の社会教育コーディネーターのうち、3人は3小学校に地域スポーツコーディネーターも兼ねて配置されていますが、スポーツ事業を展開するうえでどのような役割をしているのでしょうか。

速水:

雲南市が独自に導入した地域スポーツコーディネーターは、過疎化が進む地域では子どもが少なく、幼少年期にスポーツの体験が乏しい子どもたちのために、放課後や学外でのスポーツや体力づくりのプログラムを提供しています。
スポーツを地域に展開していく組織として、雲南市には3つの総合型スポーツクラブがあり、そのうち2つがチャレンジデーなどの推進母体となっています。
また、雲南市には2006年度からスタートした身体教育医学研究所うんなんがあり、地域運動指導員を養成しています。健康長寿、生涯現役、寝たきりにならないよう小児期からの健康づくりを目指していますが、現在、68名の方が各地域に入って、成人を対象に運動指導を行っています。この研究所はシンクタンクであると同時にスポーツ施策の推進力となるエンジンの役割も担っています。

渡邉:

重層的な展開で、子ども、青少年、成人、その先の老人のみなさんまで、つながってくるわけですね。

速水:

高齢者になってから足腰が痛くならないよう運動するのではなく、小さい頃から適切な指導の下に適切なスポーツが不可欠だということです。

合併後の文化スポーツ施設の管理運営は株式会社で

渡邉:

6つの町村が合併しましたから、スポーツ施設の数も多いですね。体育館やプール、グラウンドが35くらいありますが、施設管理(ファシリティーマネジメント)の観点から施設の効率的な運用についてはいかがですか。

速水:

6町村が一緒になりましたから、確かにこれだけの数の施設がありますが、まずは雲南市の一体的発展のために、いかに施設を有効かつ効果的に連携させていくのか、そのコーディネート役が必要です。
市の文化スポーツ施設を管理運営する(株)キラキラ雲南にそれを求めています。施設のトータル管理とプログラムの実践を担っています。

渡邉:

キラキラ雲南を株式会社にしたのは、企業経営のセンスと企業会計的な透明性を確保する狙いからですか。

速水:

加茂町長時代の1995年に、文化ホールのラメールを建設しましたが、当時はハコモノ批判の真っ只中でしたから、儲ける文化ホールにしようと管理運営の第三セクター、(株)遊学を設立しました。結果は700席の文化ホールの稼働率が85%くらいでしたから、自慢できる数字です。B&G施設や町民グラウンドの管理運営も行っていました。
合併時に、他の町村の文化スポーツ施設も引き受けることになり、社名を(株)キラキラ雲南に変更しました。私が社長ですが、民間出身の常務をはじめ、若いスタッフが中心です。文化ホールを運営していたときから、美術、照明、舞台美術、音響などの国家資格を持っていますから、自前でいろんな対応が可能です。現在は図書館の運営も行っています。
加えて、今度キラキラ雲南はスペシャルオリンピックス・しまねの事務局を担うことになりました。
スポーツは障がい者と健常者がともに楽しく分かち合うという意識がなかったので、スペシャルオリンピックスは、とてもいい機会になると思います。

渡邉:

笹川スポーツ財団でもスポーツボランティア・リーダー養成や競技などの情報交換でスペシャルオリンピックスと連携を図っております。しまねのスペシャルオリンピックスの活動に注目していきたいと思います。

速水:

これからもスポーツを通して、地域を活発にさせていきたいと考えていますし、小児期からお年寄りまで、健康でいきいきと暮らせるように研究機関などと連携を図りながら、スポーツ施策を展開していきたいと考えています。

渡邉:

本日は、全国の自治体が参考にできる示唆に富んだ実践話を伺ってきましたが、やはり、自治体の運営には、企業経営のセンスが必要だと再認識しました。つまり、地域のコミュニティづくりや教育、スポーツ振興など様々な政策のなかに、深謀遠慮による戦略と企画、実践、評価、再構築、いわゆるP(Plan)・D(Do)・C(Check)・A(Action)のマネジメントサイクルが意識され確保されている、というのが率直な感想です。歴史を紐解けば、神話の起源ともいえるこの地「雲南」です。これからも新しい試みを次々と展開していただき、国や他の自治体が追随するような、未来に向かって新しい神話を創り続けてください。こころから期待しております。貴重なお話、ほんとうにありがとうございました。

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