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スポーツの力で日本を元気に! スポーツによるまちづくり

日本初の「野球のまち推進課」を創設 徳島県阿南市

2011.09.16
サッカーブームが到来したここ数年においても、野球が好きな人、趣味として野球を楽しむ人は多い。全国の自治体で初めて「野球のまち推進課」を創設し、野球のまち振興を行っている阿南市の岩浅市長に聞いた。

徳島県阿南市とは 人口:77,479人(2011年7月末現在) 特長:昭和30年前後に12の町村が合併してできた市。臨海部は工業開発の拠点となっており、本社を置く日亜化学工業株式会社が史上初めて青色発光ダイオードの製品化に成功したことから、光の街としてPRしている。 徳島県阿南市のHPへ
  • 【前半】市長が始めた野球のまちづくり
  • 【後半】ニーズに応えて発展し続ける
市長が始めた野球のまちづくり

なぜサッカーではなく、野球が中心のまちづくり?

渡邉:
まずお聞きしたいのですが、市長ご自身はスポーツに対してどのような思いをお持ちでしょうか?
岩浅:
私は、スポーツはもちろん好きですが、スポーツ以上に人が好きです。スポーツ大会やイベントを通じてたくさんの人と知り合うのが好きなんですよ。あらゆるスポーツ種目のなかで、たくさんの人が参加できて、しかも子どもから還暦を迎えた大人まで幅広く楽しめるのが野球です。阿南市を含めた徳島県の県南地域は、昔から野球がとても盛んです。元読売巨人軍投手の條辺剛さんや水野雄仁さん、元ヤクルトスワローズ選手の柳田浩一さんらを輩出してきました。現在阿南市では100を超える野球チームが活動しています(少年野球19チーム、中学生9チーム、高校生4チーム、一般社会人36チーム、還暦9チーム、早朝野球10チームほか)。
渡邉:
野球によるまちづくりは、どのようにスタートしたのでしょうか?
岩浅:
2004年、県知事や鳴門市長から、徳島県全県にホームを置くJリーグチーム、徳島ヴォルティスに阿南市も出資してほしいという依頼をいただきました。しかし、私は徳島県全域をサッカーのまちにする必要はないし、県南地域は野球の振興を続けていくべきだと考え、お断りしました。野球よりもサッカーに力を入れている自治体の方が多かったのも理由のひとつです。2007年に完成したアグリあなんスタジアムが大きな弾みとなり、わがまちは野球を中心にまちづくりを行うことにしました。
渡邉:
アグリあなんスタジアムは、素晴らしい設備を備えていると伺っています。
岩浅:
アグリあなんスタジアムは、両翼100メートル、センター122メートルと、甲子園球場を上回る広さを誇っています。観客席は5,000人収容可能で、内野は甲子園球場で使われているものと同じ黒土を使い、外野は総天然芝です。さらに、照明も完備しているので、ナイター試合も行えます。なかでも好評なのが、選手の紹介アナウンスです。アナウンサーの方たちは、阿南市が独自で育成しました。プロ野球選手ではなくても、全国レベルの大会ではなくても、「センター、○○君」と自分の名前がアナウンスしてもらえるのは気持ちいいでしょう。また、スタジアムのすぐ裏手が山なので、森にこだまするカキーンという音は最高です。
渡邉:
どのように活用されているのか、具体例を教えていただけますでしょうか?
岩浅:
アグリあなんスタジアムは、プロ野球独立リーグ・四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスの公式戦のほか、草野球チームの試合、高校や大学野球部の合宿や練習試合に使われており、年間の利用日数は150日を超えています。運営管理は阿南市が行っていて、県外からのチームの召集や野球観光ツアーも阿南市が実施しています。草野球チームや60歳、70歳代の還暦チームですと、普段の練習や試合は河川敷のグラウンドや中学校の校庭がほとんどですが、阿南市に来ると本格的なスタジアムでプレーすることが可能です。
渡邉:
それは思い出に残る体験になりますね。
岩浅:
「野球のまち阿南構想」を打ち出してから3年経った2010年4月、市役所内に「野球のまち推進課」を創設しました。全国の自治体のなかでも初めて名前に「野球」が入っている課です。「野球のまち推進課」の部屋の壁一面には、ユニフォームなどの野球関連アイテムを掲示しています。阿南市出身の選手のほか、イチロー選手、王貞治さん、長嶋茂雄さん、野茂英雄さんなど、数々の有名選手のユニフォームやサインがあります。さらに、地元の草野球チームや還暦チームのなかで優秀な選手、監督のユニフォームも飾っています。課の部屋に掲示されることが地元スターの証となっていて、ご本人やご家族が展示を見るために市役所を訪れます。

大きな経済効果を生む野球観光ツアー

渡邉:
野球観光ツアーについて教えてください。
岩浅:
野球観光ツアーは、「野球のまち推進課」が主導しているわがまち独自のツアー企画です。アグリあなんスタジアムでの地元チームとの交流試合と、観光をメインとした企画で、アグリあなんスタジアムの使用料(審判、選手紹介アナウンス付き)や宿泊費など込みで、1人1万2,000円です。手頃な値段で本格的なスタジアムで試合ができるとあって、大変好評を得ています。
渡邉:
1人1万2,000円で、どのように利益が生まれているのですか?
岩浅:
このツアーを始めたきっかけは、東京のチームからのあるリクエストでした。当初、チームからは「アグリあなんスタジアムで野球をしたいのですが、旅行会社のパッケージツアーを利用して行くので、飛行機で徳島に行き、宿泊は徳島市内で考えています」と、スタジアムの使用のみの要求が来ました。しかしそれでは、私たちにとって野球のまちを振興している意味がありません。阿南市内で宿泊していただかないと、阿南市への経済効果は生まれないのです。市内の宿泊施設を利用していただきそこで食事を堪能していただいてこそ、経済効果が生まれ、本当の意味での野球のまちの振興ができるのです。「野球のまち推進課」が、産業部のなかに設置されているのもそういった経済波及の効果を目的のひとつとしているからです。
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