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チーム・ニッポンの勝利 ~東京五輪決定ノンフィクションライター 松瀬 学 氏

歓喜の爆発である。9月7日のブエノスアイレス。国際オリンピック委員会(IOC)総会で、東京が2020年夏季五輪の開催地に決まった。

「トーキョー」。ロゲIOC会長(当時)から声が発せられると、会場の最前列の安倍晋三内閣総理大臣が真っ先に椅子から跳び上がった。隣の森喜朗元首相も立ち上がる。ほぼ同時に猪瀬知事も両手を突き上げた。

東京五輪招致委員会の一角ではバンザイが起こる。フェンシングの太田雄貴はガッツポーズを繰り返し、「ヤッタ~」と咆哮する。すぐさま手で目を覆って泣きだした。滝川クリステルも荒木田裕子も涙を流している。

招致委の竹田恒和理事長はホッとした表情を作った。
「本当、うれしかったですね。ドキドキしましたが…。この東京招致を何とか成功させようと頑張った方々の努力の成果だと思います。だれの努力が欠けても、この招致成功はなかったと思います」

妻の四十九日「応援してくれた」

猪瀬知事は興奮気味だった。努めて冷静さを保とうとしている。
「チーム・ニッポンで勝ちました。リレーのバトンを途中で落とすことなく、最後まできちんとつなぐことができました」
左手に持つ白い東京五輪招致の小旗を揺らしながら、続ける。
「実はいま始まったばかりなんです。7年後に東京オリンピックが来るんです。このオリンピックの旗を掲げることができる。希望の灯りです。一つの国の目標というか、そういうものができたなあと思います」

この日は奇しくも、妻のゆり子さんの「四十九日」だった。知事は最終プレゼンで、ゆり子さんのペンダントを身につけて登壇し、ときどき手で触れながら話した。

「ロケット(ペンダント)を持って、ずっと家内のことを思っていました。家内が…。応援してくれたと思っています」

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