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女子サッカー“育成と発展”に尽力する現場のいま
~女子中学生のスポーツ環境~

日も落ちた小学校のグラウンド。10数名の少女たちはサッカーの練習中にミニゲームを行っていたが、監督が止めてひとりの選手に指導をした。練習中子どもたちのプレーを細かくチェックし、サッカーで必要な要素を真剣に伝えようとしていた。厳しいだけではなく、その目的を示したうえで指導が行われている。

柴村和樹氏は女子チーム・アンジュヴィオレ広島U-18の監督を務めている。同クラブのトップチームはなでしこ2部リーグに参戦、2014年4月からはU-18の活動がスタートした。立ち上げ時から柴村氏が指導にあたったが、1年で上のカテゴリーへ昇格させた。その手腕には定評があり、サッカーメディアからも注目されている。

中学生年代の女子サッカー。“最前線”ではどんな問題に直面しているのか。指導者はどのように解決しているのか。連載の第3回目は指導者の本音を、柴村氏にお話を伺いました。

柴村 和樹
柴村 和樹 Kazuki Shibamura
広島県出身。阪南大学を卒業後、スペインへサッカー留学ののち、広島県「廿日市FC」で指導者としての活動をスタート。さまざまな経験から独自の指導法を考案、現在は女子チームの「アンジュヴィオレ広島」にて女子サッカーの普及と育成に努めている。

新しいチャレンジの場としての「女子サッカー」

―女子サッカーの指導者になったきっかけは?

柴村7年前、廿日市(はつかいち)FCというチームで男子の指導を始めました。そこは男女共に、キッズから社会人までのチームがあったので、いい経験をさせていただきました。2012年1月にアンジュヴィオレは誕生しましたが、その翌年、当時の監督がかつて自分の指導者だったこともあり、お話を聞いて加入しました。

―ずっと男子の指導をされていて、なぜ女子のチームに

柴村その頃、サッカーの指導というもが、自分の中で見い出せつつある時でした。廿日市FCでの7年間はずっと試行錯誤の繰り返し。終わりの2年ぐらいで、やっと自分のやり方が確立できるようになり、さらにチャレンジできる場がほしかったのです。

他種目の指導者からアドバイス―同じ“指導”でも女子と男子は別物と考える

―今回のテーマは中学生年代です。「U-18」となっていますが選手は中学生が中心ですね

柴村もともとクラブはU-15を作るつもりでしたが、僕が上の世代につなげたいこともあって、U-18というカテゴリーにU-15の選手を入れる形になりました。できたばかりのチームということもあり中高一貫、U-18で一括りとしました。ただ、実際のメンバーは当初ほとんど中学1年生でした。

現在は高校1年生が2人、中学2年生が2人、あとは全て中1です。今年の4月からはひとつ学年が上がります。(注:取材は2015年3月24日に行いました)

―監督になって1年、実際に女子中学生を指導して感じられたことは

柴村女子チームを指導するにあたって、女子と男子の違いや、気を付けるべき点などを、あらかじめ他種目の指導者にリサーチしていました。

―他種目の指導者とはどういった種目の方に、具体的にどんなアドバイスを受けたのか教えていただけますか

柴村女子ソフトボールチームの関係者です。「男子と女子は同じようにはいかないよ」と言われました。女子は仲良しそうにみえても実はそうじゃないこともあると。競技だからひとつになっていることもあるし、競技が終わったら関係が変わったりする場合もある。それは中学生年代に限らず、高校生や大学生、全てのカテゴリーでいえるそうです。そのような話を聞いて、本当に良い集団に育てたいと思いました。

練習の前に、まず目的を伝える

―とても興味深いです。ほかに受けたアドバイスは?

柴村女性は本能として、どこかで自分を守ってしまう部分がある。本当の意味での全力を出しにくいから、たとえばあるテクニックを習得させたいなら、練習時間を多く取る必要があると言われました。しかし、僕は練習の質を優先させることにしました。質を上げるために『この練習は何を目的としているか』を練習前に伝えることが大事だと感じています。長い時間練習すれば、技術は身につくかもしれません。でも、なぜこの技術が必要なのかという理由や目的を理解して取り組めば、短い時間でも成果は出てくると考えています。

柴村流・女子の指導法の秘訣とは

―実際に指導されてみて、戸惑うことはありましたか?

柴村男子でも女子でも必要な要素は変わりません。僕はサッカーで必要な要素をもち、自分で考えて行動できる選手が一番だと思っています。指導者が言ったとおりにしかプレーできない選手を育てるつもりはありませんし、考えて動けない選手にさせてもいけないと思います。力があり、その場その場で自分で判断し動ける選手を育てていければと思います。

―それがサッカーですよね。

柴村そこを目指すため厳しく伝えることもあり、たとえ話などをすることもあります。

―押し引き、ですか?

柴村選手が成長するための最善策を常に探します。そしてそれが結果的に『押し引き』になっているのかもしれません。女子は理解してから動くので、まずイメージさせます。こちら側がどんな選手になってほしいかを伝えて、そのために今すべきことを具体的に構築していきます。

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