ファウストボール

世界最古のスポーツの一つと言われているファウストボール。発祥は諸説あるが、ドイツと言われており、ドイツからの移住者たちが南米や南アフリカに広めていったという歴史がある。ファウストボールの原型を辿ると、その歴史は非常に古く、紀元前240年頃から存在していたようだ。その後1870年代ドイツに本格導入された。

ドイツを中心にオーストリア、スイス、イタリアなどヨーロッパ諸国で盛んに行われているが、競技名のファウストとはドイツ語でFaust＝“拳”のこと。そのため、英語圏ではフィスト（拳）ボールと呼ばれることもある。また、一部ルールがバレーボールに似ていることから、バレーボールの前身とも言われている。

このように非常に長い歴史を誇るファウストボールだが、日本での歴史はまだ浅い。1977年8月に行われたワールドゲームズ・ラハティ大会で、JWGA（日本ワールドゲームズ協会）の有志がこの競技を目撃し、日本に伝えた。同年末に秋田県ファウストボール協会が設立され、翌98年に日本ファウストボール協会と改称、国際スポーツ連盟にも加盟した。

同協会は、98年の第2回女子ファウストボール競技・世界選手権大会（オーストラリア）に日本代表視察団を派遣。99年の第10回男子ファウストボール競技大会（スイス）に初めて日本代表選手団を派遣した。2001年の第6回ワールドゲームズ（秋田市）では男子競技5位の成績。その後も国際大会で好成績を収めるなど、順調に競技力も高まっている。

ファウストボールの魅力、おもしろさは、バレーボールと比較するとより分かる。まず、コートの広さだ。バレーボールは主に屋内で18m×9mの長方形のコートで行うが、ファウストボールは主に屋外、芝のコートで行われる。そして、そのコートの広さは50m×20mと非常に大きい。屋内でも行う場合も40m×20mが一般的である。その一方で、1チーム5人という少人数制を敷いている。バレーボールは、6人制と9人制があるが、非常に広いコートで5人の人数で行うスポーツの為、体力的にタフな競技とも言えるが、その爽快さはファウストボウルの魅力ともなっている。

もう一つのファウストボールの大きな魅力は、戦略性だ。自コート内であれば3度までボールをバウンドさせてもよい、というルールがある。そのため、サーブをダイレクトに相手コートに打ち返すことも、自コート内で焦らすようにボールを回すこともできる。戦術面での選択肢が広く、攻撃スタイルを多彩に組み立てられる点が特徴。観戦する側も、高度な技術と頭脳的なプレーがゲームの流れを左右するので、プレー中の対戦チームの駆け引きを推理し、手に汗握ることは必至。一見の価値がある競技といえる。

5人（フォワード2人、センター1人、バック2人）ずつの2チームが戦い、ボールをネット越しに打ち合って得点を競う。ただしボールに触れる際、選手は片手の拳または腕のみしか使えない。

競技は一方のサーブで始まり、打ち込まれたボールは相手コートに3回以内で返す。自コート内ではボールに3人まで触れることができ、3回目には相手コートにダイレクトで打ち返さなければならない。またボールは自コート内であれば、3度までバウンドさせることができる。

得点された側が次のサーブをする。ゲームは1セット11点の5セットマッチ。3セット先取したほうが勝利。 デュースの場合は最大15点先取したほうがそのセットを制することになる。

■失点となる場合
・ボールを両手で扱った場合
・片手であっても指が開いていた場合
・コート外にボールが接地した場合
・チーム内で、3回以上ボールをバウンドさせ、あるいは相手コートに返す前に3度以上ボールに触れた場合
・1人が連続してボールを扱った場合
・ボールあるいは選手がネットに触れた場合

【コート】
・コートはバレーボールより大きく、縦50ｍ×横20mで芝のコートが一般的。 ・ネットの高さは2m。

【専用ボール】
・外周65～71cm、重さ300～350g。バレーボールよりも少し重くサッカーボールに近い。