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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

ウォールハンドボール

壁にボールを手で打ち返す頭脳スポーツ。単純だけど、実に奥深い生涯スポーツ。

ウォールハンドボールの歴史・沿革

ウォールハンドボールの歴史と共に重要なことが、その区別方法。欧米ではウォールハンドボールを単にハンドボール(Handball)と呼ぶ。チームで行うハンドボールをチームハンドボールと称して区別する。日本国内では混乱を避けるため、ウォールハンドボール(以下、ハンドボールとも記載)としている。これは、ウォールハンドボールのその歴史と発展によるところが大きい。

ウォールハンドボールの歴史・沿革ウォールハンドボールの歴史・沿革

ウォールハンドボールの起源は古代ローマまで遡る。この頃は、ラケットを使わず手の平でボールを壁に打ち返すことがされていた。その後、素手でボールを打つゲーム、近代のハンドボールの原型が15世紀のスコットランドで始まり、16世紀にはイングランド、アイルランドに伝わったと言われており、現在のラケットスポーツのもとになった。北米には1880年頃、アイルランド移民が持ち込み、1900年初めには北米のYMCAが普及活動に力を入れた。
このように、北ヨーロッパを中心に発展してきた7人(または11人)のチームで行う競技総称がハンドボールであり、「チーム・ハンドボール」や「オリンピック・ハンドボール」と呼び区別する。

日本で一般的なハンドボールは、まさにチーム・ハンドボール。この普及が先にあり、また区別をするため、壁を使用するハンドボールを「ウォールハンドボール」と呼び、協会もその名称(日本ウォールハンドボール協会)を使用している。

日本ではまだ知名度が高くない競技ではあるが、世界大会も現在まで定期的開催されている。また、米国ではポピュラーな競技の一つで、コート数も多く日常からウォールハンドボールに親しんでいる。年齢や経験を問わず楽しめることが人気の秘訣とも言える。

日本国内では1927(昭和2)年、神田YMCAに専用コート1面が創設されて以来の長い歴史がある。1989年に日本ウォールハンドボール協会が東京YMCA内に設立され、競技の普及と競技力の向上を目指している。毎年、シングルス及びダブルスの公式大会が開催されている。なお、ラケットボールやパドルボールはYMCAで行っていたウォールハンドボールから発祥したラケットスポーツである。

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ウォールハンドボールの概要

ウォールハンドボールの概要

壁から跳ね返るボールを、右手、または左手で2バウンドする前に正面の壁に打ち返す。ワンバウンド以内に打ち返すことができなければアウトとなる。スカッシュ競技でラケットの替わりに、両手に柔らかいグローブをして行う競技と考えると、競技内容を理解しやすい。

このスポーツの魅力は一言で言えば、全身の運動機能の鍛錬と、技量の向上によるゲームの面白さのバランスが非常に良くとれていることと言える。ゲームを楽しみながら、スピードやパワー、テクニックの点から体力の養成や維持を実践できる。アスリートのコンディション作りや、オフ・シーズンの体力養成としても取り入れられている。一見すると地味に見えるかもしれないが、このスポーツの面白さはやった人ならわかる、実に奥深い競技だ。昔から「Thinking Handball」といわれているように、頭脳スポーツでもあり、皆が参加できる生涯スポーツである。

【主な特長】
・ラケットを使用しない:ラケットによる他人や自分自身に怪我を引き起こす心配がなく、子供から高齢者まで安全に楽しめる。
・両手を使う:効き手だけを使うスポーツと違い、左右全身のバランス感覚が鍛えられる。
・年齢、性別に関係ない:ボールの動きに対する予測と、壁を利用したボール・コントロールの技術がゲームを大きく左右するため、子供や高齢者も技術の向上に伴ってゲームを楽しむことができる。もちろん、トップレベルの試合では、スピードとパワーが要求される。

ウォールハンドボールのルール

コート内で対戦者が交互に手でボールを正面の壁に打ち返す。ボールを打つのは片手だが、どちらの手を使ってもよい。1対1のシングルスと、2人1組で対戦するダブルスがある。21点先取で2ゲーム行う。1勝1敗の場合はタイブレークを行う。

ウォールハンドボールのコート・用具

■国際標準コートは3種類
壁が正面だけの1-Wall、正面の壁に両側の壁も使用する3-Wall、そして後方の壁も使用する4-Wallコート、四方と天井の壁に囲まれた長方形のボックス型コート(高6.1m,奥行12.2m,幅6.1m)。スカッシュコートに似ているが、ウォールハンドボールでは天井も使用するのが、スカッシュとの大きな違いである。国内でプレーされているのは4-Wallだが、米国やヨーロッパでは体育館や公園で1-Wallのプレーが盛ん。

■用具はボール、手袋とアイガード
ウォールハンドボールで使用する用具はボール、手袋とアイガードの3つ。ボールはゴム製で、国際標準は3種類。男性用のレッドボール、女性用のホワイトボール、そして主に1-Wallで使用されるビッグボール(Big Ball)となる。子供たちには軟式テニスボールを使用する。手袋は皮革製だが、ビッグボール競技では軍手あるいは素手でも問題ない。目を保護するためにアイガード着用が義務づけられている。

公式サイト

日本ウォールハンドボール協会(JWHA)