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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

カーリング

別名『氷上のチェス』 ストーン配置の戦略が勝敗のポイント

カーリングの歴史・発祥

カーリングの歴史・発祥

(写真左上)スコットランドで発見された最も古いカーリングストーン
(写真下)ベルギーの画家ブリューゲルの「雪中の狩人(1565年)」

カーリングという名前は、髪の毛の「カール」にたとえられるように、投げられた石がゆっくり曲がっていくことに由来すると言われていいる。起源については諸説あるが、昔、北欧の人々が凍った池や川の上で石を投げ合って遊んだのが始まりではないかという説が有力となっている。
のちに競技のカーリングになるこの「遊び」は、その歴史は古く、かなり古くから行われていたようだ。スコットランドで発見されている最も古いカーリングストーンには、1511年の日付が記されている。また、ベルギーの画家ブリューゲルの「雪中の狩人(1565年)」には氷上でカーリングを楽しむ人々が描かれている。 このことから500年以上前からカーリングは存在していた可能性が高い。

その後、カーリングはヨーロッパ諸国や北米に移住した人たちの間で盛んになり、今では国民的スポーツとして100万人が楽しむカナダを筆頭に、ヨーロッパ全域をはじめ、パシフィックゾーンに属する日本、オーストラリア、ニュージーランド、中国、韓国、台湾など45以上の国と地域で楽しまれている。カーラー(カーリングプレイヤー)は自国のカーリング協会に登録されると同時に、ロイヤル・カレドニアン・カーリングクラブのメンバーとしても登録される。世界中のカーラーはたったひとつのクラブの仲間なのだ。

また、カーリングは1998年の長野冬季オリンピックで初めて正式種目として採用された。トリノオリンピックでは、女子の日本代表チームが健闘。懸命にプレーする姿は見る者に大きな反響を巻き起こした。そして記憶に新しい2018年平昌オリンピックでは、カーリン界男女通じてオリンピック初の、銅メダルを獲得。メダル獲得のみならず、日本代表チームの雰囲気や息詰まる熱戦に、日本国内は熱狂の渦に巻き込まれた。

カーリングの概要

カーリングの概要

1チームは4人で、リード、セカンド、サード、そしてスキップの順に一人2投ずつストーンを投げる。エンドと呼ばれる一区切りに、相手チームと1投ずつ交代でハウスと呼ばれる円に向かって計16個のストーンを投げる(2チーム×4人×2個 = 16個)。

1エンドで16個すべての投球が終了したとき、ハウスの中心により近い位置にストーンがあるほうのチームに得点が入る。ハウスの中心に最も近い相手のストーンよりも近ければ、すべてのストーンに対し1個につき1点が与えられる。ただし、ストーンが円の中に入っているか、円に触れていないと得点にはならない。これを10エンド繰り返し、勝敗は10エンドの合計得点で決まる。

ゲームは、幅約5.5m×長さ約35mの長方形の専用コート(リンク)で行われる。一般的な競技場(グリーン)は約35m四方に作られており、そのスペースを6または8等分する。各スペースはリンクと呼ばれ、1リンクで1競技が行われる。

相手のストーンを邪魔する位置に自チームのストーンを並べたり、相手のストーンをハウス外にはじき出したりしながら、自チームのストーンを有利な位置に残していく。そのため後攻が有利といわれるが、前のエンドで得点すると次のエンドでは先攻になるというルールがある。お互いの戦略の読みや駆け引きで、2時間30分の試合は大逆転もありスリリングな試合展開も多い。投球者の手を離れたストーンの進路とスピードは、スウィーパがスウィーピング(氷面をブラシでこすること)でコントロールする。これがカーリングの面白さをさらに高めていると言える。

カーリングのルール

カーリングのルール

カーリングでは通常、審判なしで試合を行い、両チームにフェアで協力的な方法でルールを採用したり、解釈する。

  • 最初のエンドは各チームの代表者1人がハウスに向かってストーンを1個投げ、中心に近い方のチームが先攻後攻を選ぶ。ストーンを投げる変わりにコイントスをすることもある。
  • 2エンド目以降は、前のエンドで得点したチームが先攻となる。ブランク・エンド(両チームとも得点がない)の場合は、同じチームが次のエンドも先攻となる。
  • 各チームにはプレーするための持ち時間が73分間あり、1分間のタイムアウトを2度取ることができる。その他、5エンド終了時に5分間の休憩がある。試合が終了するまでに持ち時間がなくなると、そのチームの負けとなる。
  • 投げるとき、シート(プレーをするエリア)の中心にストーンが来るように、右投げの人はセンターライン左側のハックと呼ばれるけり台から、左投げの人は右側のハックから投げなくてはならない。
  • 10エンドまでの得点の合計で勝敗が決まる。10エンド終了時点で同点の場合は、3分の休憩をはさんでサドンデスの延長戦を行う。
  • 「フリーガードゾーンルール」というルールにより、各チームのリードが2投ずつ投げ終わるまで(計4投終了まで)は、フリーガードゾーンにある相手チームのストーンをはじき出すことができない。
  • 相手チームのストーンがティーラインに達すると、ハウスを管理するスキップは相手チームのストーンをスウィーピングできる。
  • ストーンがバックラインを越えるかサイドラインに触れたとき、アウトとみなしてプレーから外す。投げられたストーンがプレーするハウス側のホッグラインを越えない時は、アウトと同じ扱いとなる。
  • 競技者または使用している用具などがストーンに触れると、相手チームに不利にならないように、そのストーンを取り除いたり、置きなおしたりする。
  • ストーンを投げるとき、投げる側のホッグラインに達する前にストーンから完全に手を離さなくてはならない。
  • ストーンを投げるときに失敗した場合、ストーンが投げる側のティーラインを越えていなければ投げ直しが許される。

カーリングのコート・用具

■シート
カーリング用に整備された氷の面はシートと呼ばれ、ペブルと呼ばれる微細な氷粒で覆われている。
ブラシによるスウィーピングの目的は、摩擦熱によりペブルをわずかに溶かし、コースとスピードを微妙に調整すること。

■ストーン
直径30cm、重さ約20kgの花崗岩質の岩石で作られている。

■ブラシ
以前はコーンブルーム(箒)や、馬や豚の毛のブラシが用いられたが、最近では、スウィーピングの特性と耐久性に優れたナイロン製のブラシが主に用いられている。

■カーリングシューズ
滑る方の靴底は、ハックからけり出し、安定した投球ができるように、テフロンやステンレスなど滑りやすい材料でできている。
もう一方の靴底は、氷上でも滑らないように軟らかいゴムなどで作られている。ストーンを投げないときは、滑る方の靴をゴム製のグリッパーで覆っておく。

カーリングの競技人口(日本カーリング協会 登録競技者数)

笹川スポーツ財団「中央競技団体現況調査 2020年度」によると、日本カーリング協会 登録競技者数は、全体:2,306人、男性:1,719人、女性:587人となっている。
調査PDF・P5

公式サイト

公益社団法人 日本カーリング協会