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国際情報
International information

「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

弓道

老若男女誰もが親しめ、心身の修練に最適のスポーツ

歴史と沿革

弓道の様子

弓道は日本で最古の武道といわれています。中国の礼の思想の影響を受け、奈良・平安時代には朝廷行事に重用されていた弓矢を、形式を変えて武家社会に持ち込んだのは鎌倉幕府の開祖、源頼朝です。頼朝は武士の精神鍛錬の方法として弓馬の術を取り入れました。これを推進したのが小笠原家の初代長清です。以後小笠原家は代々にわたり、師範として礼法、弓術、弓馬術の指導にあたりました。

むろん弓術は戦闘技術の訓練としても重視されてはいましたが、鉄砲の伝来で合戦場での不利が明らかになった後は、むしろ心身の鍛錬という性格を濃くしていきます。同時に射法の追究はさまざまな流派を生んで、技法の向上は一段と進みました。

江戸時代には、弓術は武士の社会にしっかりと根付き、これは弓道へと昇華しつつ明治時代に引き継がれて、柔道や剣道とともに1895(明治28)年に創立された大日本武徳会のメンバーになりました。大正、昭和と学校の正課に採用されたこともあり、戦前の弓道は隆盛のステップを踏んでいきました。終戦の1945(昭和20)年、GHQによる武道禁止令が勢いを止めましたが、武道復興を目指す動きはすぐに起こりました。1949(昭和24)年には日本弓道連盟(現・全日本弓道連盟)が創立され、弓道の普及振興に向けた意欲的な活動が、その後、全国的に広がっていったのです。

2009(平成21)年、連盟は盛大に創立60周年記念の式典と大会を開催しました。2006(平成18)年には17ヶ国が加盟して国際弓道連盟が設立され、海外の弓士も増えています。全日本弓道連盟の会員は現在約130,000人。弓道人口は、今後中学校の武道必修化などを追い風にして、さらに増加していくことが期待されています。

競技方法・ルール

的

弓道を志す人はまず、「射法八節」という、基本の動作を身につけようと稽古に励み、師から学び、講習会等も受講しながら精進を続けます。的中の快感は得難いものですが、そこに厳しい自己抑制を効かせつつ充実した射を目指すのです。

弓道には他の武道と同じように級位、段位と称号が設けられています。級位(5~1)、段位(初~十)では技術面での達成度が問われ、称号(錬士、教士、範士)はそれに加え指導力や品格、識見等も審査の対象となります。こうした審査は中央や地方、定期、臨時など、対象や地域を異にして頻繁に開かれます。

一方でさまざまな弓道大会が、中学生から高校生、大学生、一般の参加者を集めて全国で数多く開催されています。

弓道競技の種目は、近的と遠的に分かれます。近的は射位(実際に弓を引く位置)から的までの距離が28mで、通常の練習などはこの距離で行います。一方、遠的のそれは60mと近的の約2倍です。

次に競技の種類ですが、3名とか5名などチームを組んで行う団体競技と個人競技に分かれます。近的と遠的では的の大きさが異なります。近的では36㎝の霞的(もしくは星的)を使用します。これに対して遠的は直径1mの大的です。これらは競技開始にあたって掛けられる的ですが、近的ではこの他に24㎝(8寸)、遠的では79㎝、50㎝の大きさの的もあります。なぜサイズの違う的を準備しておくのでしょうか。

団体であれ個人であれ、予選を突破して決勝に進んだ選手たちを、ある時点で選別にかけるために、より小さな的に替えるのです。

弓道の競技では的中の数で並ぶことを同中といいます。この決着を図るのが同中競射です。これには射詰(いづめ)と遠近の2つの方法があります。射詰とは、射手が1射ずつ弓を引き外せば失格として、最後まで残ったチームもしくは個人を優勝者とします。また、予選から決勝に進むチームを絞り込む場合などにもこの方法が採用されます。一方、遠近というのは、的の中心からの距離を計測して的芯に最も近い射手を優勝者とし、あとは順位を付けていくやり方です。

この他、競技とルールに関することに少し触れておくと、中りの数を競う的中制が圧倒的ですが、国民体育大会の遠的競技のように、的のどこに中ったかで差が付く得点制もあります。また、競技の進行をスムーズに運ぶ狙いもあって、団体戦などでは制限時間をセットしておき、アラームを流して警告したうえ、超えると失格という決まりもあります。

道具と道場

◆弓:

長さ221㎝のものを並弓、227㎝以上のものを伸弓といい、体格に合わせて選びますし、また自分の筋力に応じて強さの程度を選択します。昔からある竹弓は竹を何層にも貼り合わせて作られ、弓師の丹精を込めた腕の見せどころでもありました。しかし最近は、手入れの面倒がはぶけるといった理由から、若い人たちを中心にグラスファイバー製の愛好者が増えてきました。

弓

◆矢:

これも弓と同じで、竹製のものと、ジュラルミン製やカーボン製がありますが、比較的安価で破損しにくいという点から、後者が若い人たちに普及しています。体格によって選ぶ長さは違ってきます。

矢 ゆがけ

◆ 弽(ゆがけ):

弓を引く時に右手親指を痛めないように保護するための革製の手袋です。指の本数によって、3つ弽、4つ弽、諸弽があります。

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財団法人 全日本弓道連盟

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