Search
国際情報
International information

「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

知る学ぶ
Knowledge

日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

セミナー「子供のスポーツ」

パラグライディング

誰もが参加でき、最も手軽に動力を使わずに空中を移動できるスカイスポーツ

歴史と沿革

米国NASAのスペースカプセル回収用パラシュートの研究と開発を行っていた米国人が、1965年にニューヨーク近郊のスキーで滑空したときに使ったパラシュートが、パラグライダー誕生のきっかけになったといわれています。

この時はスロープに沿って降りるだけでしたが、1978年にフランス人のスカイダイバーがフランスのミューシーで山の斜面から駆け降りて離陸、1,000m下の谷にあるサッカーグラウンド上空まで滑空して着陸。これがパラグライディングの始まりとなり、滑空性能、安全性ともに毎年進歩をとげながらヨーロッパを中心に盛んになりました。

競技指向のパイロットも増え、1989年には26の国と地域から143名が参加した第1回パラグライディング世界選手権がオーストリアで開催されました。日本では1986年にヨーロッパから紹介されたことにより人気を集め、一気に競技人口が増加。1989年8月に福岡県北九州市の皿倉山で第1回日本選手権が開催されています。

ルール

パラグライディングエリアにあるテイクオフ場(離陸場所)から離陸し、山脈の尾根線上のピークや平地にある建造物など、指定された目標地点の上空を決められた順序で通過し、ゴール地点のランディング場(着陸場所)までいかに早く到達するかを競う競技(クロスカントリー)が一般的です。決められた時間内に順番に離陸、または上空で待機して決められた時刻に一斉にスタートします。目標地点上空を正しく順番に通過したかどうかの判定は、パイロットが携帯するGPSのログデータをダウンロードし、その飛行軌跡から判断します。

この他に、ランディング場に設置されたターゲットの中心に着陸する精度を競うアキュラシーや、滞空時間の長さを競うデュレーションなどがあります。

世界記録や日本記録の種目には、飛行到達距離(直線や三角形、他)およびその速度、獲得高度などがあります。現在までの記録はFAI(国際航空連盟)やJAA(財団法人日本航空協会)及びJHF(公益社団法人日本ハング・パラグライディング連盟)のWebサイトで公表されています。

道具・コース

パラグライダーはシリコンコーティングされたナイロン製の布(キャノピー)と、ケブラーなどの化学繊維でできた細くて頑丈なロープ(ライン)でできています。キャノピーの後縁部分は縫って閉じられているため、前縁にある開口部から取り入れた空気の力で膨らませることにより、飛行機と同じような翼が形成されます。この翼につながったハーネスに、パイロットが座った状態でぶら下がり、これも翼につながっている左右のブレークコードの操作と体重移動により操縦します。ただ降下するだけではなく、上昇気流に乗れば離陸地点より高度を上げることができます。

パイロットのほとんどが目標とするクロスカントリーフライトでは、山の斜面に風がぶつかってできる斜面上昇風(リッジリフト)と、地面や地上にあるものが太陽で暖められて発生する上昇気流(サーマル)の中に入って旋回しながら高度を獲得します。上昇気流の頂点に達して上昇がなくなると、次のリッジリフトやサーマルを見つけて乗り継ぎ、飛行距離を伸ばして、飛び立ったエリアを離れて何十km先まで滑空距離を伸ばしていきます。

パラグライダーは他の滑空機のような骨組みがなく、折りたたんでハーネスと一緒にザックに収納し、背中に担いで移動できます。重さは約20kmで、男女を問わず中高年の方にも苦にはなりません。また、動力なしで滑空するため、飛行中は風切り音などが聞こえるだけで、鳥と同じように自然を直接全身で感じながら空中を移動できます。

パラグライディングエリアは全国に約170箇所あり、初心者から上級クラスのパイロットまで約30,000人の愛好者がフライトを楽しんでいます。エリアの管理者にパイロット技能証を提示して受付を済ませてから、そのエリアのテイクオフ場から離陸し、決められたランディング場に着陸します。

パイロット技能証を取得するには、全国にあるパラグライディングスクールに入校し、パラグライディングに必要な知識と技能を習得します。初級クラスを経てさらにパイロットコースの課程を修了したのち、インストラクターによる認定を得ることが必要です。

海外でフライトする場合には、日本ハング・パラグライディング連盟(JHF)発行の技能証を持つパイロットであれば、FAI(国際航空連盟)が定めるIPPIカード(国際パイロット技能証)を国内で取得することができます。

お問い合わせ先

日本ハング・パラグライディング連盟
https://jhf.hangpara.or.jp