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セミナー・シンポジウムの開催報告

ソシオ成岩SC クラブハウス10周年記念シンポジウム パネルディスカッション

学校開放の現状と成岩モデルの先進性

間野:
まずは森岡さんと渋谷さんにスポーツクラブにおける学校スポーツ施設の利用状況、利用するにあたっての問題点などについて教えていただきたいと思います。
森岡:
クラブの主な活動はどこか。学校施設が48.2%、公共施設が42%。自前施設が1.6%、民間は1.4%、休校・廃校を使っているところが1.8%。我が国のクラブの9割以上が学校あるいは公共スポーツ施設を利用しています。現在、地域総合型スポーツクラブは全国に約3,500あり、これは全国の市町村の約80%にあたります。ただ成岩のように法人格を持っているところは約3,500のうち543。なおかつ指定管理を受けているところは152しかない。まだまだ少ないという現状です。
渋谷:
学校開放はいろいろ行われていますが、課題はたくさんあります。小中学校の9割くらいは開放されてはいますが、学校側は児童生徒の安全の確保という理由から開放に消極的になることがあります。施設の構造上難しいこともある。ならば、学校開放しやすいような施設を作ればいいじゃないかという意見があるでしょう。公共スポーツ施設は80年代から増えて、05年の4万8,000施設をピークに徐々に減っています。施設の老朽化などが原因で、学校施設とスポーツ施設の供用は自然の流れだと思います。既に成岩ウィングのように学校施設と複合化している事例もあります。ただし、思いのほかこういった施設が増えていないのは残念です。
間野:
成岩は非常にまれなケースだということがお分かりいただけたと思います。このクラブを作るときも様々な問題にぶつかりました。当時は池田小学校(大阪府池田市)の悲惨な事件があって、「学校に不特定多数の大人が入っていいのか」、「有刺鉄線を張ってガードマンをつけたほうがいいのではないか」、そんな意見もありました。話し合いの中で、「そうではなく、大人と子どもが互いに顔がわかってあいさつを交わしたほうが抑止力になるのではないか」、成岩の人たちはそう考えました。ただ地域行政は閉鎖的なところもあり、なかなか穴はあきません。成岩をきっかけにしてドミノ倒しのドミノのようにいけばいいのですが、なかなかそうはならない現状があります。オーストラリアの学校はいかがでしょうか。
青島:
学校にプールはないです。辛うじて集会ができる体育館があるだけ。日本では図書館なんかも含めて各々が施設を持っていますよね。それを使いきれていないのはもったいないなと思います。オーストラリアでは町にある市民プールを小中学生が使います。一つの施設をいろいろな団体で使い合っている。体育館しかり、ゴルフ場しかり。町が持っているものを学校が使っています。

間野:
ヨーロッパの学校も日本のようには充実していません。体育館や武道場やテニスコートがあるところは少ない。日本は公共のスポーツ施設が数少ないと言われていますが、学校のスポーツ施設も入れると、人口あたりの施設数は決して少なくない。ところが学校施設を使えていないから、地域の人たちにしてみると施設が足りない。日本のスポーツが遅れているわけでは決してない。成岩がそうです。先進国では子どもの運動不足、肥満が共通の問題です。どうしたら子どもたちにゲームではなく、運動をしてもらうのか。学校以外でやるのもいいですが、学校には時間、仲間、空間という3つの間がそろっている。放課後にそのままできたらこんなにいいことはない。ただ今までのやり方では制度疲労が起きている。何か新しい仕組みに変えなくてはいけません。一方、日本の体育を海外に輸出しようという案もあるそうですね。
森岡:
ある陸上競技関係の方から聞くところによると、日本の運動部活動のシステムを真似ようという話がドイツであるそうです。なぜならドイツではお金のない子は地域のクラブに入れない。日本は放課後に素晴らしい学校体育の施設を使って、学校の教師が指導しているからでしょう。
渋谷:
海外の調査をする中で、成岩モデルは世界的に見ても素晴らしい。地域利用者の間で学校施設が足りなくなるという問題は、特定の団体が占拠したり、団体同士で施設を取り合ったりする非効率が原因です。ドイツのスポーツクラブではクラブに加入しなければ施設を利用できません。日本は未組織な人たちが自由に利用できるので、それ自体は悪くないのですが、結果として施設が足りなくなるという現状があります。
間野:
成岩の特徴として場所貸しはしない。時間いくらという場所貸しをすると、たとえば全面借りて卓球台1台しか使わないということもあります。空いているスペースでバドミントンはできない。成岩は場所貸しをせず、結果としてうまく使えていますね。
榊原:
そうですね、一番の特徴は一般の公共施設と比べると、個人でフラッと来ていつでも使えること。かちあったら話し合って自分たちでうまく使いましょうということです。その場面こそ我々の目指している教育の局面です。それで成り立たなくてはクラブハウスとはいえないでしょう。

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