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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

子どもの運動・スポーツ指導者の意識等に関する調査

子どもの運動・スポーツ指導者の現状が明らかにキーワードは「複合種目」・「適切な頻度と時間」

子ども・青少年スポーツ指導者の実態と現代の子どものスポーツの課題を明らかにすることを目的に、わが国最大の青少年スポーツ団体である日本スポーツ少年団の指導者約700人を対象としたアンケート調査を実施しました。

調査期間
2011年6月~2011年11月
調査対象
スポーツ少年団指導者全国研究大会および全国各地で開催されるスポーツ少年団認定育成員研修会に参加する指導者
調査方法
質問紙調査
発行
2012年3月

POINT 1

子どもの運動能力向上には複合種目の重要性を認識しながらも、約9割が「単一種目」を指導

年間を通じて様々な種目を取り入れて活動する「複合種目」を指導している指導者は、全体の9.3%にとどまり、単一スポーツの指導者が大多数を占めていた。主な種目としては「サッカー」が15.8%と最も多く、次いで「軟式野球」が15.1%、「バレーボール」13.8%、「剣道」10.9%、があげられた。一方、ほとんどの指導者(95.7%)は子どもの運動能力を高めるには、いろいろな運動遊びを経験することが重要であると認識している。

POINT 2

実施頻度は平均で週2.4回。また、「週4~7回」と回答した指導者も15.0%存在

指導頻度は、「週2回」が36.0%と最も多く、次いで「週1回」が24.1%、「週3回」21.6%と続く。平均実施頻度は2.4回であり、週1~3回の指導を行っている指導者が8割以上を占める結果となった。

POINT 3

幼少年期の子どもには、適切な頻度と時間のスポーツ指導が望まれる

高頻度、長時間指導している種目としては、「軟式野球」「バレーボール」が29.0%と最も多く、次いで「柔道」が9.7%、「剣道」「ソフトボール」6.5%と続く。また、その中で指導されている子どもの年代は、「小学生」が69.6%と7割近くを占め、次いで「中学生」が22.7%、「未就学児」5.9%であった。種目によっては、指導時間や頻度の検討とともに、特に未就学児や小学校低学年の子どもなど、小さな子どもたちに対する指導方法や内容について留意する必要があると言える。

研究担当者コメント

大多数の指導者が単一スポーツを指導しており、種目によっては高頻度・長時間活動している実態が明らかとなった。一方で、ほとんどの指導者は子どもの運動能力を高めるには、いろいろな運動遊びを経験することが重要であると認識していた。スポーツ少年団には年間を通じ、様々な種目を取り入れて活動する「複合種目」があるが、複合種目の指導者は全体の9.3%にとどまっていた。子どもにとって望ましい環境を認識していても、実際には勝敗を優先してしまっている指導者の姿があるのではないだろうか。同一地域の指導者が連携し合って、子ども達が様々な運動遊びや複数のスポーツを経験できるような仕組みづくりが今後の課題である。

笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 研究員 武長 理栄

報告書

全文(PDF:2.22MB)

目次

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本事業は、ボートレースの交付金による日本財団の助成金を受けて実施しました。

テーマ

子どものスポーツ

キーワード
年度

2011年度

発行者

公益財団法人 笹川スポーツ財団

担当研究者
共同研究者
  • 中村 和彦 山梨大学
    教育人間科学部 教授