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スポーツ庁の設置パターン

スポーツ庁の設置パターン

1.省庁横断型

「スポーツ行政の一元化」を目的にスポーツ関連の他省庁の政策を集約した省庁横断型スポーツ庁を設置する場合、内閣府の外局とすることが望ましい。集約する政策は厚生労働省の障害者スポーツ行政、農林水産省の森林空間政策におけるレクリエーションの森の整備、国土交通省の都市公園行政である。これらの政策からスポーツ庁に移管する予算を推計し、現在文部科学省が所管するスポーツ政策予算と合計すると、365億2,605万3,000円となった。これは現存する外局の中では10番目の規模となる。

1.省庁横断型
2.他組織融合型

省庁数の増加抑制の観点や政策の親和性に基づく連携効果を引き出すことを目的に他組織融合型スポーツ庁(文化観光スポーツ庁)を設置する場合、内閣府の外局とすることが望ましい。ただしこの場合、スポーツ振興の観点から、スポーツを手段として観光に活かすといった視点が強くなり過ぎないことが重要である。文化観光スポーツ庁はスポーツ行政の一元化が第一義ではないため、他省庁から集約する政策は厚生労働省の障害者スポーツ政策のみとなる。移管する障害者スポーツ政策の予算を推計し、現在文部科学省が所管するスポーツ政策予算と合計すると、スポーツ政策のみで260億1,390万3,000円、文化・観光政策と合わせると1,400億6,721万7,000円となった。これは現存する外局の中では6番目の規模となる。

2.他組織融合型
3.文部科学省外局型

実現可能性を考慮すれば、文部科学省の外局としてのスポーツ庁設置が提示できる。観光庁の形態を参考にすると、「庁」になることで他省庁への協力依頼が容易となることから、政策は集約しない。国土交通省は観光庁設置の代わりとして外局の「船員労働委員会」を廃止したことから、文部科学省外局型スポーツ庁を設置する際も組織またはポストの廃止が必要となる。本研究では国際統括官の廃止を提案した。予算は文部科学省が所管するもののみを移管し、合計で231億2,335万円となった。これは現存する外局の中では10番目の規模となる。

3.文部科学省外局型
4.地域主権型

現政権が進める道州制を踏まえると、国がもつスポーツの権限や予算を地方自治体(地方政府)に移管する地域主権型のスポーツ振興体制が考えられる。文部科学省提供資料から算出した体力つくり関係予算452億5,110万円を道州や基礎自治体に移管した場合、道州は267億5,984万7,000円(59.1%)、基礎自治体は184億9,132万3,000円(40.9%)と推計された。移管政策をみると、国際競技力向上や公園政策は道州、生涯スポーツ、健康・体力、学校体育、障害者スポーツに関連する政策は基礎自治体へと移管される。

4.地域主権型

担当研究員より

将来にわたって、わが国のスポーツ振興を広く推進していくための組織として設置されるべき

本研究では、設置が検討されているスポーツ庁について4つのパターンを提示したが、スポーツ行政における議論の客観的材料となるよう、望ましいスポーツ庁のあり方を提示することはしていない。わが国は厳しい財政状況にあり、スポーツ庁を設置するには多くの国民から理解を得る必要がある。東京オリンピックを成功させるため、メダルを獲得するための組織ではなく、将来にわたってわが国のスポーツの振興を広く推進していくための組織としてスポーツ庁は設置されるべきである。そもそもスポーツ庁が最適な選択肢なのかも含め、しっかりとした議論を行う必要があるだろう。

笹川スポーツ財団 研究員 藤原直幸

共同研究者より

スポーツ予算の増加、分権改革などの課題を踏まえスポーツ庁の必要性や設置形態を慎重に検討すべき

安倍総理は財政健全化に向けて消費増税を決断したが、歳出削減にも取り組まねばならない。ただ、東京オリンピックの開催決定を受けて、スポーツ予算は今後増加していくであろう。さらに、政府は地域本位の行政サービスを実現するため、分権改革も進めていく必要がある。仮に、道州制が実現されたならば、国の役割が道州や基礎的自治体に移譲されるため、中央省庁は再々編を余儀なくされる。このような中で、スポーツ庁はどのような役割を担うのか。政府はスポーツ庁の必要性や設置形態について慎重に検討すべきである。

PHP総研 主任研究員 宮下量久

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