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スポーツの力で日本を元気に! スポーツによるまちづくり

「学社協働」で子どもを育てる 島根県雲南市 チャレンジデー参加を継続し、合併後の一体感を醸成する

雲南市は平成の大合併後の2006年全国に先駆けて教育支援コーディネーターを全中学校に配置し、注目を集めた。この制度を国が後追いし、2008年に地域コーディネーター制度が生まれた。2010年度からは地域スポーツコーディネーターを配置し、地域と学校のスポーツコミュニティづくりを目指している。

島根県雲南市とは 人口:42,021人(2013年1月末現在) 特長:雲南市は島根県松江市、出雲市に隣接し、県内で唯一海に面していない内陸の市。2004年11月1日、平成の大合併により大東町、加茂町、木次町、三刀屋町、掛合町、吉田村の6町村が新設合併して誕生、総面積は553.4k㎡となり、島根県の総面積の8.3%を占め、その大半が林野である。 島根県雲南市のHPへ
  • 【後半】独自のコーディネーター制度
  • 【前半】チャレンジデーを活用
チャレンジデーを活用

宍道湖一周駅伝15回出場。スポーツの楽しさを知る

速水雄一市長
渡邉:

雲南市は、学校教育、社会教育分野で先進的な取り組みをされていますね。
速水市長は、旧加茂町長から合併後の初代雲南市長に就任し、3期9年目を迎え、通算22年間首長を務められています。また、教育長の土江博昭氏も市長と2人3脚で加茂町時代から現在まで教育長としてご活躍され、文科省の中央教育審議会のスポーツ・青少年分科会委員として現場のさまざまなアイデアを提言しています。平成25年1月21日の中教審答申「今後の青少年の体験活動の推進について」には、雲南市の取り組みが報告されています。
そこで、今日はスポーツによるまちづくりについて、地域の教育力といった視点からもお話を伺いたいと思います。
市長のプロフィールを拝見すると、ゴルフ・ウォーキングが趣味と書かれていますが、市長ご自身は今までどんなスポーツをされてきましたか?

速水:

私は、雲南市(旧加茂町)生まれで、田舎でしたから小学校時代は運動会で1等賞をとることが目標でした。中学校は3年間バスケット部で、高校は新設高校(松江南高校)だったのでバスケット部がなく、仲間とバスケット部を創設しました。ほかにも卓球やテニスなどいろいろやりました。大学(慶應義塾大学)は、馬術部でした。

渡邉:

陸上からバスケット、テニス、卓球、それに馬術と幅広いですね。本当にスポーツがお好きなんですね。

宍道湖1周駅伝
速水:

大学卒業後は帰郷し、銀行に勤める社会人になってからは駅伝ですね。当時毎年、宍道湖1周駅伝が開催され、銀行で陸上部を作って出場しました。銀行の陸上部と地元加茂町の体育協会陸上部の両方から出場し、通算15回くらい宍道湖1周駅伝を走っています。
銀行を辞めて、政治家の仕事に就くと、なかなかスポーツをする時間がないですね。ゴルフも、この2年はまったく行ってません。今は毎朝、ウォーキングをしています。

渡邉:

自治体の首長という仕事はご自分の時間がなく、ほんとうに激務ですね。

速水:

毎朝、4時半に起きてウオ-キングに出るんですが、雨の日はなかなか起きられません。夜遅くまでお酒を飲んでいるというのもあるのですが…(笑)。

渡邉:

市長のスポーツ歴をお聞きすると、子どものころから韋駄天でスポーツ好き、特に球技はいろいろとチャレンジされて、センスがおありなんでしょうね。

速水:

スポーツは楽しいですね。団体競技は対戦チームと仲良くなれ、個人競技でも競争相手と何度も対戦しますから、今日は負けないよと、お互いに意思疎通が図れる。一体感を醸成するのにスポーツに勝るものはないですね。
その意味では、まちづくりも一体感の醸成が不可欠ですから、スポーツ大会を開催することは、まちづくりの大きな手段になります。共に身体を動かし、競い合うことで得られる喜びを共有して一体感が醸成できるわけですから、スポーツは本当に素晴らしいと思います。

渡邉:

市長はご自身の実体験からスポーツの価値をよくご存知で、まちづくりのなかにもスポーツを位置づけ、それが根付いているのだと思います。

合併前から現在まで20年間、チャレンジデー参加

チャレンジデー
渡邉:

雲南市と笹川スポーツ財団のお付き合いは、チャレンジデーでは旧加茂町時代の1993年に日本の自治体としては初めて実施いただき、合併後も東日本大震災のあった2011年を除いて、継続して実施いただいています。
チャレンジデーを実施されたきっかけは、どのような経緯だったのでしょうか。

速水:

旧加茂町にB&G財団のスポーツ施設があり、1991年に町長に就任し、92年12月に笹川スポーツ財団に挨拶に行きました。当時の藤本和延常務からチャレンジデーの話を聞いて、「それは面白いね。ぜひやりましょう」と、その場でお返事したんですよ。なんでも新しいことにチャレンジしたいタイプなのでチャレンジデーを実施して、まちをアピールすることで、地域を活性化しようと決意しましてね。
加茂町に戻って3月議会に予算を計上し、議会の賛成も得て、藤本常務に連絡したら、「え?本当に実施するんですか」と驚かれました。そんなに早く実行できるとは思っていなかったのでしょうね(笑)。

渡邉:

当時は国際チャレンジデーで、まだ日本の自治体は実施していませんでしたから、すぐに対戦相手を探しました。相手はドイツのノルデンハム市でしたね。

速水:

予算と対戦相手が決まり、チャレンジデーは5月の最終水曜日ですから、もう時間がありません。当時、1993年4月に土江博昭氏に教育長に就任してもらったばかりで、彼は教員時代から教育関係者を動員したり、町民の参加を促すことが得意でしたから、皆さんに呼びかけて組織化して臨んだのです。

渡邉:

町民参加率がいきなり71.7%ですから、すごい数字だと思います。
1993年に加茂町が実施したことがきっかけで、翌年から木次町、後年から三刀屋町、吉田村も実施し、2005年から6町村が合併して雲南市として実施されていますが、合併はいろいろな意味でご苦労があったのでしょうが、現在はどのような手応えを感じられていますか。

秋の町民体育大会
速水:

加茂町で初めてチャレンジデーを実施したときは、町民の皆さんの参加意欲が強く、まちを挙げて取り組むことができました。加茂町は面積が30平方キロで人口7,000人と小規模で、保育所、幼稚園、小学校、中学校が一つずつあり、みんな同じ小・中学校の同級生でまとまりがいい。地域性や人のつながりが強く、チャレンジデーの意義も説明しやすく、高い参加率を誇ることができました。
また核になる人が各世代や自治会で旗を振ってくれて、「それじゃあ、やろうや」と一体感で取り組むことができました。
秋の町民体育大会もまちを挙げて実施しましたから、町を挙げてやることに慣れていました。そうした成果を実感している町民が多かったので、チャレンジデーは秋の収穫祭や夏の野球大会など、お祭りやスポーツ大会にも好影響を与えて盛り上げる役割を発揮してくれたと思います。
雲南市は6つの町村が合併し、加茂町の18倍となる553平方キロもの面積になり、チャレンジデーの実施をどうやって理解してもらうか、苦労しましたね。6つの内2つは参加していなかったので、その地域の皆さん方には実際に参加してもらって、見ていただき、楽しさを味わってもらうしかないと続け、3年目くらいから一体感が生まれたと思います。
雲南市のチャレンジデー実施は今年で8回目ですが、6つの地域の一体感をさらに高めるには工夫が必要ですね。各地域にそれぞれ文化があり、オリジナル事業をやっていて、それを統一するのは大変です。市全体の一体感を醸成していくまちづくり手法として、チャレンジデーをもっと活用したいですね。

交流センターを核に地域自主組織が自立的なまちづくり

地域自主組織
渡邉:

まちづくりは、トップダウン方式ではなかなかうまくいかないですね。

速水:

そうですね。雲南市では、29の元公民館の交流センターを拠点に、雲南市ならではのまちづくりを進めています。
元公民館から交流センターに代わり、センターを取り巻く連合自治会を地域自主組織という名称に変更しました。これまで元公民館は館長や主事が中心となって連合自治会の皆さんを引っ張っていくのが普通の姿だったんですが、館長や主事に頼ってばかりでは限界があります。そこで雲南市では連合自治会=地域自主組織の全員で交流センターを管理運営し、地域ごとのまちづくりを進めています。今年で4年目になりますが、地域自主組織で新たな展開ができるよう、予算配分を大幅アップし、地域自主組織単位で地域を活発にしていこうとしています。
チャレンジデーについても認識していただいて、各地域が横に連携して、まちづくりに取り組む手法をとることでチャレンジデーの意義も一層高まりますし、雲南市全体の一体感につながっていくと思っています。

渡邉:

予算を配分し、地域に裁量権を持ってもらい、それぞれの地域が交流センターを拠点にして責任を持って運営していくという自立的なセル方式のまちづくりですね。そこにチャレンジデーも自主的な方法にうまくつなげていくと、今とは違ったかたちになるかもしれない。

交流センター
速水:

地域づくりの話になりますが、かつて、公民館は戦後、小学校単位に一つずつできたんです。小学校単位で役場もありましたが、昭和の大合併で役場がなくなり、公民館が残りました。さらに平成の大合併では役場がなくなり、公民館の代わりに交流センターを置きました。地域住民からすれば、このセンターが身近な存在になりますのでセンターが役場の役割を果たしてくれたらと思っています。例えば印鑑証明や住民票などはオンライン端末を置いて、オペレーションを行えば受け取れます。
今後はこうした公民館単位の地域づくりが全国でも進んでいくのではないでしょうか。行政が大きくなりすぎたので、今度は行政の役割を押し付けるということではなく、地域自らが希求するかたちで、雲南市ではそういう動きや声が出ています。
雲南市がスタートしたときは合併前のまちよりも規模が大きくなったけど、何もしてくれない。しかし、最近では地域自治組織から自分たちで自主的な活動を何もやらせてくれないという意識に変わりました。
地域単位で活性化のために、例えばチャレンジデーをきっかけにいろんなスポーツによる地域振興ができるようになれば、あとは行政が手を放しても大丈夫ですよ。

渡邉:

交流センターが地域コミュニティの拠点になっているのですね。
もう一つ重要な学校教育ですが、雲南市では学校、地域、家庭、行政の三者連携プラス1が進んでいるそうですね。その鍵となっているのが地域コーディネーター制度と伺っています。

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