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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

スキーと駅伝のまち 秋田県鹿角市 前半

スキーと駅伝のまち 秋田県鹿角市 スキーと駅伝のまちで賑わいを創出

2013.02.01
秋田県鹿角市では2月16日から「あきた鹿角国体2013」(第68回国民体育大会冬季大会スキー競技会)が開催される。冬季国体の開催は旧町村時代を含め今回で5回目となる(昭和28年旧大湯町、平成9年、平成19年、平成23年)。積極的な設備投資を行い、恵まれた競技スキー環境と駅伝の伝統を武器に全国レベルの大会を次々と誘致し、交流人口の拡大を図ることで地域活性化につなげようとしている、スキーと駅伝でスポーツによるまちづくりを進める児玉一市長を訪ねた。

秋田県鹿角市のHPへ

冬季国体、駅伝の会場に

冬季国体5回目の開催

渡邉 2月16日から19日までの4日間にわたって、「あきた鹿角国体2013」(第68回国民体育大会冬季大会スキー競技会)が開かれますが、秋田空港をはじめ秋田市内でも大々的に「あきた鹿角国体」をPRしていますね。
会場となる鹿角市の花輪スキー場を見学させていただきましたが、本格的なスキー場施設のほかに、スポーツアミューズメント「アルパス」のトレーニングセンター、屋内体育館、天然芝のサッカー場にある陸上競技場などスポーツ施設の充実ぶりに驚きました。アスリート育成には格好のスポーツエリアですね。

児玉 ありがとうございます。「あきた鹿角国体2013」は「響き合う 人・雪・感動 ゆめ息吹」をスローガンに、花輪スキー場でスキー競技全種目(ジャイアントスラローム、スペシャルジャンプ、コンバインド、クロスカントリー)が行われます。選手関係者と観客を合わせて、約1万人の来訪が予想されています。
鹿角市が誕生してから冬季国体の開催は、平成9年「あきた鹿角国体」、平成19年「秋田わか杉国体」、平成23年「あきた鹿角国体2011」に続いて4回目、旧町村時代を入れると、5回目となります。

渡邉 佐竹敬久秋田県知事に鹿角市での冬季国体開催についてお聞きした際、「冬の国体の開催は他の都道府県や市町村では難しい。もう鹿角市でずっと開催したほうがいいんじゃないか」と話されていました。

児玉 私たちも是非、開催をお願いしたいと話しています。国体開催は県主体ですから、県がOKさえ出してくれれば大歓迎です。3年前、2011年の国体が終わった段階で、すぐに開催を決めてほしいと伝えていました。とにかく、アルペン、クロスカントリー、ジャンプ競技まで、一か所で開催できるのは、この鹿角市の花輪スキー場だけですからね。特にジャンプは1年を通じて飛ぶことができます。ジャンプの全日本女子選手も毎年合宿に来られていますよ。

駅伝のまち鹿角

鹿角市スポーツ振興基本計画

渡邉 鹿角市は、スポーツ振興基本計画の基本目標2に「スポーツによるまちづくりの推進」を掲げ、「スキーのまち鹿角・駅伝のまち鹿角」をめざしてスポーツ振興に取り組まれていますね。
駅伝は50年を越える歴史ある駅伝がいくつもあるんですね。
「十和田八幡平駅伝競走全国大会」は65回、「花輪地区町廻り駅伝競走大会」が66回ですね。ほかにも各地区で駅伝大会が行われていますが、何か地域性や特別な理由があるのでしょうか。

児玉 「十和田八幡平駅伝競争全国大会」を私たちは「十八(じゅっぱち)駅伝」と呼んでいます。十和田湖休屋から八幡平大沼まで十和田八幡平国立公園内の二つの地域を結ぶ全長約73.7kmを、5人の心をひとつに1本の襷で駆け抜けるものです。標高差は818mもありますし、毎年8月7日に開催するため、「日本一過酷な真夏の駅伝」として広く知られています。主催は全国マラソン連盟、鹿角市、小坂町で、全国マラソン連盟の会長はボストンマラソンで優勝された田中茂樹さんです。
この駅伝の発端は、日本マラソンの父と称される故・金栗四三先生が「日本人選手が国際的なマラソンレースで勝利するためには、厳しい真夏の時期にトレーニングを行い、体力をつけることが必要」と提唱されたことが始まりとされています。昭和23年、戦後の混迷期に鹿角地区青年会の有志がスポーツで地域に活気を取り戻そうと、士気高揚と観光PRを目的に始めた駅伝です。
大会を継続するうちにハイレベルな大会に成長し、地域の小中学生も駅伝に親しむようになり、全国レベルで活躍する選手を輩出するまでになりました。それで「駅伝のまち」を標榜するようになったのです。

渡邉 この駅伝大会にはどんなチームが何チームくらい参加していますか。

児玉 昨年の出場チームは37チームでした。毎年30から40チームの間で推移しています。参加チームは、実業団や大学生チームが中心ですね。昨年は地元出身の選抜チームが出場しました。地元の消防職員も3回くらい参加していますね。これがまた盛り上がるんですよ。
実業団チームは全国からトップクラスの選手も参加していますので、かなりレベルが高いですね。箱根駅伝で「山の神」として知られる柏原竜二選手も東洋大学時代の平成23年に出場して、区間最高記録を出しています。

渡邉 箱根駅伝では大活躍しましたからね。柏原選手はやはり登り区間ですか。

児玉 最後の5区の八幡平の登りですから一番過酷な区間です。ほかにも有名な選手には鹿角市花輪高校出身の北京オリンピックのマラソン選手・松宮隆行と祐行の兄弟がいます。花輪高校出身の選手には、1993年の世界陸上選手権女子マラソン金メダリストの浅利純子さん、2001年世界陸上選手権男子マラソン代表の高橋健一さんもいます。

渡邉 浅利純子杯争奪の駅伝も開催していますね。この駅伝はどんな内容ですか?

児玉 「浅利純子杯争奪鹿角駅伝」は平成19年から始めて、これまで6回開催しております。
小・中学生の駅伝です。秋田県内はもちろん、青森県や岩手県の小中学校やクラブから全部で60チームくらい参加しますね。小学生はひとり1.3キロ、中学生は3キロ走ります。コースは街中のメイン道路を使用し、商店街のアーケードを通行止めにして走るんです。コース両側に応援団がずらりと並び、すごい声援ですよ。
毎年、浅利純子さんには開会式にも来ていただいて、スターターをやっていただいたり、子どもたちに声をかけていただいています。

鹿角市のスポーツ施設

花輪スキー場

花輪スキー場(1954年開業)は、アルペン、ジャンプ、クロスカントリーの本格的なスキー競技を同時に開催できる全国でも数少ないスキー場として、多くの大会が開催されている。1997年開催の第52回国民体育大会冬季大会スキー競技会の会場として総合的に施設整備を行い、1995年にスキー場の拠点施設「鹿角トレーニングセンター」が完成。1998年には、隣接地に陸上競技場やテニスコートを備えた「鹿角市総合運動公園」が完成し、鹿角市のスポーツアミューズメント「アルパス ALPAS(Alpine Skiing、Park、Sports)」として親しまれている。2005年から指定管理者が運営している。

鹿角トレーニングセンター

アリーナ・ランニングコース(バスケットボール2面・バレーボール2面・インドアテニス2面・バトミントン4面、170m室内ランニングコースも備えた体育館、ギャラリー席)トレーニング施設、宿泊施設、温泉施設、レストラン機能などが充実。

鹿角市総合運動公園

9コース400mトラックと、サッカー競技用の芝舗装インフィールド場を備えた第3種公認陸上競技場。ウォーミングアップ用の人工芝舗装のアウトフィールドや800mランニングコースを完備/テニスコート(砂入り人工テニスコート8面。夜間照明有り。夜9時までプレー可能。壁打ち練習用コート2面)

スポーツによるまちづくり