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スポーツの力で日本を元気に! スポーツによるまちづくり

  • 【前半】スポーツと観光を強化
  • 【後半】積極的なスポーツ参加
積極的なスポーツ参加

児童生徒の学力、体力・運動能力はトップクラス

渡邉:
秋田県では、過疎化、高齢化は進んでいますが、秋田の子どもたちの学力と体力・運動能力は、常にトップクラスにあるのですが、秋田県の教育には何か特別な秘密があるのでしょうか。
佐竹:
秋田県は少人数学級編成を比較的早く導入しましたが、それだけが要因とは言えませんね。やはり、地域がまとまり、よその子を叱ることができるコミュニティが存在しているからではないでしょうか。
子どもたちが親や目上の人に尊敬の念をもって接し、お年寄りを大切にするといった基本的なところが家庭や地域コミュニティ単位で機能しているのだと思います。また、農家の方がよく話されることですが、生活のリズムが「早寝、早起き、朝ごはん」が当たり前ですね。
 
核家族ではあっても、東京のように電車に遅れるから朝はゆっくり食べていられないというような暮らしぶりではないですね。ゆっくり子どもたちに朝ご飯を食べさせることができる。
秋田県の小中学生の朝ご飯の摂取率は97.1%(全国2位)と非常に高いのです。そうした生活リズムが人間のバイオリズムとマッチしていると、学校での勉強も頭に入る。ですから特別な教え方をしているわけじゃない。子どもたちの生活のリズムと自ら学習する習慣が身についているからだと思います。ちなみに全国学力テストと小中学生の学校外学習率(自宅学習率)は全国トップです。
渡邉:
なるほど。小中学生の体力テストでも秋田は男女共全国2位ということですが、学力、体力ともにやはり風土に帰趨するところが大きいんですね。
当然、スポーツの潜在能力の高い若者もいるでしょうね。秋田県のスポーツ振興基本計画には「スポーツ王国の復活」が掲げられていますが、県の政策として、こうした潜在能力のある若い人たちをどうやってトップアスリートにまで育てていくのでしょうか。
佐竹:
学校ごとに得意な競技種目があります。秋田はラグビーや野球もかつては強かったんですが、競技スポーツの分野は低迷しているのは確かです。いまは郡部の小中学校では児童生徒数が少なくなってチームが作れないケースもあります。そのために地域クラブチームの育成という方法もありますが、ある程度の学校の統合化を進めながら、高校レベルの強化育成から始めなければならないのです。
秋田県外の成功事例に学ぼうと、たとえば高校野球は夏の甲子園が秋田県代表は13連敗していました。強化策として、大きな大会で優勝経験のある監督から育成のノウハウを学ぼうと予算を付けて、いざ、スタートしようとしたら勝っちゃったんですね。やはり、意識が出てくると変わるものなのですね(笑)。

県内出身者だけで全国クラスの競技スポーツ

夏の甲子園
スポーツ科学センター
渡邉:
たしかに昨年夏の甲子園で能代商業高校がベスト16にまで勝ち残ったことは記憶に新しいですね。かつては高校野球は秋田商業や秋田高校も強かったですね。バスケットは能代工業が強豪校ですし、ラグビーの秋田工業とサッカーの秋田商業が高校選手権優勝校ですね。
佐竹:
秋田県民が一番誇りにしていることは、県内の競技スポーツでは他県出身選手はほとんどいないことです。秋田は高校も私立学校が少なく、公立はほとんど地元の生徒ですから、地元高校が全国レベルで勝てたこと、私はこれがスポーツ振興の本来の姿だと思います。当然種目ごとに体協や高体連、中体連があり、県は「スポーツ立県あきた」宣言を行って、競技スポーツに力を注いでいきます。選手も指導者ももう一度、復活したいという気持ちが強くなっていますから徐々に伸びていきますよ。
課題は指導者層の育成ですね。スポーツ・ボランティアも余裕がなく、クラブチームの育成は日本のスポーツ界全体の課題でもありますが、オリンピック選手が指導者層となって、全国に配置するシステムが必要です。大企業や学校現場にはある程度の指導者はいますが、クラブチームには充分でないことが課題です。
渡邉:
秋田県はスポーツ科学センターを設置していますが、その役割と効果はいかがでしょうか。
佐竹:
スポーツ能力の強化と適正なトレーニング法に加えて、健康を損ねないための医学や心理学も含めたスポーツ科学の要素が、今まで精神論を重要視してきた日本には足りなかったと思います。秋田にはスポーツに造詣が深い医師がいらっしゃったので、一定の形は整えたというところです。
渡邉:
日本はロンドン・オリンピックで38のメダルを取りましたが、それは国立スポーツ科学センターとナショナル・トレーニングセンターの効果が大きいと言われています。
秋田県では知事のリーダーシップで、さまざまな分野の連携を進められていますね。県と市町村の連携をはじめ、観光文化スポーツ部、県と県体協など関連する競技団体、スポーツ科学センターがうまく連携を図っていくことでスポーツ王国の道も見えてくるのではないでしょうか。
佐竹:
そうですね。連携は進んでいますし、企業もスポーツ立県を盛り上げるためには常に刺激を与えることが必要だということで、アマチュアやプロの大きな大会を引っ張っています。これがスポーツ観光ビジネスに繋がるのです。秋田は人口減少県ですから、秋田に人を呼び込んでお金を落としてもらうという戦略です。
プロ野球もオールスター戦を誘致しようと動いているんです。秋田の人は野球好きですし、本物の素晴らしさに触れ、子どもたちも夢を持てますよね。昔のようにオリンピック選手を二桁くらい輩出できるようにしたいですね。
今年2月16日から19日開催の「あきた鹿角国体2013」は、冬季国体スキー競技会では3年間で2回目の開催です。会場となる花輪スキー場は、改修でジャンプ台をグレードアップし、アルペンからクロスカントリーまで可能です。他県では開催が難しく断念されるそうですが、秋田は毎年開催も可能ですよ。いっそのこと、冬季国体は秋田開催と決めていただいてはいかがでしょうか。
渡邉:
それはよろしいですね。いま国体のあり方をめぐっては論議が起きていますからね。
佐竹:
冬季国体は1万人近い来県者がありますので、観光文化スポーツ部が交通アクセス、おもてなし、秋田の文化観光を連携させ、集中して効率的に進めています。部長は、JTBで大きなスポーツイベントも手がけた人をヘッドハンティングしました。
モノが溢れる成熟社会は、自分のために時間とお金を使う時代です。自分の能力を発揮する、健康を維持する、見識を高めるための投資です。それがスポーツと文化、旅行を含めた観光の3つです。
例えばスポーツも年代ごとに自分に合ったものを選べる時代になりました。
秋田県は平成29年にねんりんピック(全国健康福祉祭)開催を決定しました。高齢者が中心のスポーツ、文化、健康と福祉の祭典ですが、全国から多くの高齢者が秋田の全国大会にきてプレーし、観光もする。これもスポーツビジネスです。
渡邉:
全国的に60代のスポーツ実施率が非常に高いです。時間もあるし、若い世代よりお金を使うアクティブな壮年が増えていますから、魅力的なスポーツツーリズムのコンテンツをどれだけ提供できるかが課題ですね。

チャレンジデーに18市町村が参加

秋田わか杉国体
あきた鹿角国体2011
チャレンジデー2012
渡邉:
スポーツ振興を図る上で、市町村との連携も不可欠ですが、具体的な方策はありますか。
佐竹:
各市町村もスポーツには強い関心を持っています。2001年に国際スポーツ大会「ワールドゲームズ」が開催され、2007年には2巡目の開催となる「秋田わか杉国体」と「全国障害者スポーツ大会」を開催しましたし、2011年の「あきた鹿角国体2011」(冬季国体スキー競技会)や同年のインターハイ、そして再び、今年の冬季国体スキー競技会「あきた鹿角国体2013」など多くの大会を誘致していますし、各市町村も得意なスポーツに力を注いでいます。

また、秋田県はチャレンジデーの参加自治体がすごく増えているんですよ。3年間で倍になって、2013年は25市町村中、18市町村が参加する予定です。

こうしたベーシックなスポーツイベントを継続しながら、各市町村で大学などのスポーツ合宿を誘致したり、子どもたちの夏休みの自然観察教育などを展開してほしいですね。県内には気軽に使えるスポーツ施設がたくさんありますし、その近くには安く泊まれる公的な温泉宿泊施設やホテルもありますし、統廃合で空いている学校を使って、合宿や体験学習ができるよう整備している地域もあります。
地域コミュニティには特技を持ったベテランもたくさんいますからね。スポーツや観光、地域との交流など、組み合わせ次第で面白いイベントができるんですよ。こうした利点をもっとPRしていきたいですね。
スポーツ合宿市町村
渡邉:
まさにスポーツ・ツーリズムの実践段階に入ったわけですね。
佐竹:
日本の将来を考えると子どもたちの教育面でもスポーツの果たす役割は重要ですね。子どもたちもテレビゲームのスポーツしか知らないのでは不健康になりますよ。いくら野球ゲームやゴルフゲームがうまくなったって、現実に野球やゴルフがうまくなるわけじゃないといつも言っているのです。豊かな自然のなかで本物のスポーツができる環境を提供できるのは秋田だけですよ。
渡邉:
そうですね。たしかに、秋田には子どもたちからお年寄りまで本当の意味で豊かなスポーツライフを実現できる環境に恵まれているのではないでしょうか。
本日は、スポーツ王国の復活をめざす「スポーツ立県あきた」宣言に始まり、スポーツとコミュニティの関係、観光を総合戦略産業と位置付け、スポーツや文化の関連施策と連携させることで秋田を元気にする政策などについてお話いただきました。
2月16日から開催される「あきた鹿角国体2013」に続いて、今後もさまざまなスポーツイベントの誘致を進めていかれるのでしょうが、観光文化スポーツの連携による地域活性化の秋田モデルを築いていただきたいと思います。
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