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障がい者スポーツinfo2015(全体テーマ「連携」)

日本障がい者スポーツ協会は去る3月11日、東京お台場のホテル日航東京で「障がい者スポーツinfo2015」を開催した。

テーマは「連携」。大久保春美(日本障がい者スポーツ協会技術委員長)を座長に据え、地域がどのような組織・団体と連携して障害者スポーツ振興を推進しているのかについて、第1部では先進事例の報告、第2部は講演者を交えてのディスカッションを行った。

また会の冒頭で、東日本大震災の犠牲者に哀悼の意を表して参加者が黙とうした。

【第1部】~地域における事例発表~

山野 明(福岡県障害者スポーツ協会・主任指導員)

「スポーツ指導環境の整備、認定校・地域団体との連携」

福岡県では拠点となるクローバープラザ(春日市)で、水泳教室やハンドバイクなど、さまざまなスポーツ教室を提供している。

このような事業を各地域で展開していくために、日本障がい者スポーツ協会の「地域における障害者スポーツの振興事業」を利用し、筑豊地域の障がい者スポーツ指導員、総合型地域スポーツクラブと連携して各種のスポーツ教室を開いた。

県内に13ある障がい者スポーツ指導員資格取得認定校のうちの数校と連携・協力ができたことも、地域スポーツの振興に役立った。久留米大学では親子体操、国際医療福祉大学では知的障害者を対象とした軽スポーツなどを実施。最終的には学生が自らプログラムを作って指導することもできた。

福岡大学ではスポーツフェスタを開催。北九州市立大学では車いすソフトボールの指導をして大会にも出場した。

今後活動を継続していくために、協会のさらなるコーディネートが必要だと感じた。

丸田 徹(新潟県障害者スポーツ協会・理事)

「障がい者スポーツ未発展地域での普及・啓発、関係団体との連携」

新潟県の障害者スポーツ協会、障害者交流センター、障害者スポーツ指導者協議会が三者一体になって取り組みを進めた。協会には人材、情報、用具があり、交流センターには人材、拠点、指導者協議会には500人の指導者がおり、それぞれの長所をうまく組み合わせることが地域のスポーツ振興につながると考えた。

まずは、拠点作りが必要と考え、地理的にも障害者のスポーツ振興がしづらかった佐渡市から取り組み始めた。平成25年度に事業をスタートさせ、25人の障がい者スポーツ指導員が生まれ、フライングディスク協会を組織化することができた。

当初は佐渡市の方々にどのように障害者スポーツの考えを理解してもらうか、悩んだこともあったが、何度も足を運び、関係者との信頼関係を築き、佐渡市の障害者スポーツを振興していきたいという想いを伝え、その想いを受け入れてもらえたことで事業がうまく推進された。

今後は佐渡市の例をモデルケースとし、県内4地区に拠点を作る予定だ。

大江 健一郎(広島県障害者スポーツ指導者協議会・事務局)

「地域の総合型スポーツクラブを通じてのスポーツ振興≪これからの障がい者スポーツ振興~連携・協働~≫」

文科省の委託事業「健常者と障害者のスポーツレクリエーション活動連携推進事業」の一環として広島県熊野町の筆の郷スポーツクラブと連携を試みた。身体障害者、高齢者を対象に計6回の教室を開催した。

指導者協議会が教室の指導を担当し、クラブの中にある多種目の登録指導者の協力も得た。クラブスタッフが事業を前向きに捉え、自主的に障がい者スポーツ指導員資格を取得するなどの効果もあった。

そのほかにも行政や身体障害者協会の協力も仰いだ。

仲間づくりを大きなテーマに掲げ、茶話会を開いた。みんなでお茶を飲みながら、参加した教室で生まれた疑問点などを出し合い、解決策を模索する場となった。このような取り組みの結果、参加者たちに相互理解が生まれた。

安全管理や地域の交通事情などの課題は残ったが、すでに行政を通じて、路線バスの運行などの課題解決に動いているようである。

また参加者たちの自主性をいかにして伸ばすかも、事業を継続する上で重要なポイントだと感じた。

松崎 英吾(日本ブラインドサッカー協会・事務局長)

「組織ビジョンが連携を進める─世界選手権を事例に─」

協会のビジョンは「ブラインドサッカーを通じて、視覚障がい者と健常者が当たり前に混ざり合う社会を実現すること」。ビジョンの実現には連携は必須で、連携には「少ない資源でコトをなす」というメリットがある。

小さい組織が高い広告効果の期待に応えることは難しい。そこで企業には、ビジョンで共感してもらい、連携している。

説明だけでは伝わらないこともあるので「OFF TIME(オフタイム)」という事業でアイマスクをしたブラインドサッカーの体験を通じ、コミュニケーション、チームビルディング、ダイバーシティ理解などを体感することでブラインドサッカーから学びえる価値を共有して、事業を推進した。

このような活動を展開した結果、2014年11月に東京・渋谷で開催したブラインドサッカー世界選手権では、費用の大半を企業からのスポンサー収入で賄うことができた。

企業支援のメリットはお金だけではない。世界選手権には1000人くらいのボランティアが集まり、その多くが企業の社員だった。協賛企業の社員がエヴァンジェリスト(伝道者)にもなってくれる。

自分たちのビジョンをより少人数で実現するためにも連携は必要だ。

【第2部】~パネルディスカッション~コメンテーター発言要旨

澁谷 茂樹(笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 主任研究員)

連携はすべての分野に共通の課題だ。たとえば批判のやり玉に上がる縦割り行政は、効率的に業務を行うためには悪いことばかりではない。進んだ取り組みをしている人ほど事業がうまくいかない理由を縦割りのせいにしない。

東京都障害者スポーツ協会では、スポーツ行政に障害者スポーツを一元化した際に、東京都障害者スポーツ協会がスポーツ関係者と福祉関係者の間を取り持った。

理解者を増やすという努力も大切だ。特別支援学校や障害者の入所施設で、スポーツ指導者の大半は学校の先生と施設の職員。外部指導者を導入しているのは1割以下に過ぎない。

理解してくれる人を増やし、多くの人に支えてもらうことで、施設や学校でのスポーツ活動が充実するのではないか。

水原 由明(日本障がい者スポーツ協会 スポーツ推進部長)

日本体育協会の傘下にあるスポーツ少年団が、去年から障害児たちの加入促進事業を始めた。スポーツ少年団との連携の可能性が生まれているので、地域で少年団の活動を確認していく必要がある。

総合型地域スポーツクラブは、各地域と協会が連携しながら、いかに障害者たちが総合型クラブに参加していくのかを模索しなければならない。

問題は費用。総合型は自主財源、自主運営がうたわれているので、障害者たちがスポーツへの参加にお金を払うという意識が、ある程度生まれる必要があるのではないだろうか。

井田 朋宏(日本障がい者スポーツ協会 企画情報部長)

2020年の東京オリンピック・パラリンピックが決まって世の中の人がこちらを向いてくれていると実感している。企業のこれまでの社会貢献は、責任・責務という側面が強かったが、今は社会に対して何かしたいという思いを強く感じる。

たとえば保険会社など、各県に支店がある場合は地域に密着した支援をしたいと考えている。日常的にスポーツイベントをしている企業の中には、健常者のスポーツイベントの中で、障害者のスポーツ体験コーナーを作るというアイデアを持っているところもある。

企業のスポーツ施設をバリアフリー化して、障害者スポーツ競技団体の合宿や、スポーツ教室を展開するという案もある。我々がやりたいこと、困っていることをはっきりと伝えることができれば、企業の支援を受けられる可能性が大いにある。

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