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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

小学校体育科「ゲーム」領域における投捕運動の志向を促す教材開発

 2023年度まで公立小学校の主幹教諭を務め、体育科教育学を専門とする鈴木健一氏(山梨大学大学院総合研究部教育学域 准教授)が、小学校体育科ゴール型ゲーム(注)において運動を苦手とする児童の学習レディネスに合う教材を開発し、その効果検証を行いました。具体的には、フラッグフットボールのゲーム構造を活かしつつ、児童が投捕運動に取り組みやすくなるよう工夫した教材「フラッグフットディスク」を考案し、投捕運動に対する志向を促し、意図的・選択的プレイを楽しめる教材としての妥当性を有するか明らかにするため、東京都内の公立小学校4年生3学級において検証授業を実施しました。本報告書では教具の製作方法や教材づくりの考え方、検証授業の前後での児童の変化についても触れています。

注)小学校中学年のゲーム領域におけるゴール型ゲームおよび高学年のボール運動領域におけるボール運動ゴール型を指す。実際の体育の授業ではフラッグフットボールのほか、ハンドボール、サッカー、タグラグビーなどを基にして簡易化されたゲームが行われることが多い。

研究概要

研究名
小学校体育科「ゲーム」領域における投捕運動の志向を促す教材開発

教具の開発

材料
板目紙(A4 版485g/㎡の厚紙)、ゼムクリップ、ビニルテープ、新聞紙
製作過程
 

(1)リム部分の製作

①半分に折った新聞紙を閉じた側から1cm 程度ずつ折り込む。折りぐせが付く程度に確実に端まで折り込み、1本の棒状にする。

②棒状になった新聞紙の一端から、すき間を空けず、かつテープ同士の重なりが小さくなるようにビニルテープをもう一端まで巻き上げる。

③ビニルテープが巻かれた棒状になった新聞紙の一端を中心にしてとぐろを巻くように円状に巻く。最後まで巻いた後、反対の端から再び巻いて滑らかな円形になるようにほぐす。

④両端にゼムクリップを半分ずつ差し込み、ビニルテープで接続箇所を補強する。

(2)円盤部分の製作

①板目紙に円(r=87mm)を描き、はさみで切り取る。

②(1)で製作したリム部分を円盤部分に合わせて大きさを確かめ、必要に応じて円盤の大きさを調整する。

(3)リム部分と円盤部分の接合

①円盤部分をリム部分に乗せ、位置を調節しながら円盤部分とリム部分の接合箇所にビニルテープを貼り合わせる。

②伸長するビニルテープの特徴を活かしながら、ビニルテープの張り具合を調整する。

図表1. 自作ディスクの製作過程

1-1 ビニルテープを巻いたリム部分

1-1 ビニルテープを巻いたリム部分

1-2 円状に巻いたリム部分と円盤部分

1-2 円状に巻いたリム部分と円盤部分

1-3 完成した自作ディスク

1-3 完成した自作ディスク

検証授業

調査対象
東京都内の公立小学校4年生3学級
指導計画
第1時~8時:フラッグフットディスク ※開発した教材を使用
第9・10時:フラッグフットボール ※比較検討用の教材を使用
ゲームのルール・
コート
 

図表2.「フラッグフットディスク」の攻撃方法・コート・ルール

図表2.「フラッグフットディスク」の攻撃方法・コート・ルール

注)鈴木(2025)を一部改編

教材の効果検証

調査方法
質問紙調査
主な調査項目
 

・診断的・統括的授業評価:「楽しむ(情意目標)」「できる(運動目標)」「まなぶ(認識目標)」「まもる(社会的行動目標)」それぞれに5項目の質問を設定。各回答に1点から3点を配点し、各次元の合計得点(15点満点)によって「+」「0」「-」の3段階で評定を示す。

・教材評価調査:フラッグフットディスクおよびフラッグフットボールに関して、投捕動作に対する適性や楽しさなどについて「はい」「いいえ」の2件法で回答し、回答理由も記載。

小学校体育科「ゲーム」領域における投捕運動の志向を促す教材開発

全文(PDF:3.67MB)

小学校体育科「ゲーム」領域における投捕運動の志向を促す教材開 目次
テーマ

子どものスポーツ

キーワード
年度

2024年度

発行者

公益財団法人 笹川スポーツ財団

担当研究者