笹川スポーツ財団では、1992年から隔年で「スポーツライフに関する調査(スポーツライフ・データ)」を実施しています。全国の18歳以上を調査対象に、頻度・時間・運動強度からみたSSF独自の指標である「運動・スポーツ実施レベル」をはじめ、スポーツ観戦率やスポーツボランティア実施率、スポーツクラブ加入率、好きなスポーツ選手の推移など、国内のスポーツライフの現状を明らかにしてきました。
本調査の特徴は、調査対象の年齢や生活環境の偏りを防ぐため、全国300地点より年齢別の人口構成比に近似するようサンプルを抽出している点にあります(割当法)。加えて実際の調査では、調査員が各世帯を訪問し調査票を配布。その後再度訪問し調査票を回収する「訪問留置法による質問紙調査」を、3,000サンプルに達するまで行っております。
最新報告書「スポーツライフ・データ2020」は2021年3月31日に発売いたしました。1992年より、スポーツの「する」「みる」「ささえる」を調査していますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響が、スポーツ活動にも少なからず影響を及ぼした結果となっています。
■週1回以上の運動・スポーツ実施率
1992年の23.7%から漸増を続けていたが、2012年の59.1%をピークに2016年までわずかに減少傾向へと転じ、定常状態となっていた。2018年に再び上昇し、今回の2020年調査では59.5%となり、2018年を1.6ポイント上回るとともに、過去15回の調査において最も高い運動・スポーツ実施率となった。
■アクティブ・スポーツ人口
週2回以上、実施時間1回30分以上、運動強度「ややきつい以上」という3つの条件をクリアしている運動・スポーツ実施者の割合を「アクティブ・スポーツ人口」と定義し、その割合を追跡している。2020 年調査のアクティブ・スポーツ人口の割合は22.1%であり、2018 年に続き最高値を更新した。
■年1回以上の運動・スポーツ実施率
1992年には50.9%と半数をわずかに超える程度であったが、2000年には70.7%に上昇した。その後、2006 年までは60%台から70%台の範囲を行き来する状態が続いたが、2008年以降は70%台での横ばい状態が続いている。今回の2020年調査では73.3%となり、前回調査から0.7ポイント減少したが、年1 回以上の運動・スポーツ実施率の大きな変化はみられない。
■年代別・週1回以上の種目別運動・スポーツ実施率
年代別にみた週1回以上の種目別運動・スポーツ実施率は、18・19 歳と20 歳代では「筋力トレーニング」が最も高く、18・19 歳29.2%、20 歳代23.6%であった。30 歳代と40 歳代では「散歩(ぶらぶら歩き)」の実施率が最も高く、30 歳代 22.1%、40 歳代18.1%であった。50 歳代以降は「ウォーキング」が最も高く、50歳代21.9%、60歳代26.6%、70歳以上34.2%であった。
■前回2018年調査との比較
2018年調査時と比べると、18・19歳の「筋力トレーニング」14.1%から29.2%、「散歩(ぶらぶら歩き)」8.5%から18.1%と大きく実施率が増加した。20歳代の「筋力トレーニング」も11.8%から23.6%と、10ポイント以上の増加となった。新型コロナウイルス感染症の流行により、特定の施設を必要とせず一人で行える種目の実施率が増加したと考えられる。18・19歳や20歳代以外の年代ではこのような実施率の大きな変動はみられず、普段から「散歩(ぶらぶら歩き)」「ウォーキング」「筋力トレーニング」「体操(軽い体操、ラジオ体操など)」といったエクササイズ種目を実施していたためであると推察される。
資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2020
回答者全体において直接スポーツ観戦率が高かった上位10種目を取り出し、推計観戦人口、観戦回数、推計動員数を算出した。
■種目別直接スポーツ観戦率・推計観戦人口
1位の「プロ野球(NPB)」の観戦率は9.6%、推計観戦人口は1,015 万人となる。2位から5位は「Jリーグ(J1、J2、J3)」3.3%、「高校野球」2.8%、「マラソン・駅伝」1.6%、「サッカー(高校、大学、JFLなど)」1.4%であった。6位以降には「バスケットボール(高校、大学、WJBLなど)」1.0%や「プロバスケットボール(Bリーグ)」1.0%、「バレーボール(高校、大学、Vリーグ)」0.8%などが入った。2018年と比較すると、いずれの種目も観戦率が低下している。
■種目別直接スポーツ観戦率・推計観戦人口
各種目の観戦者における観戦回数の平均値を算出した後に推計観戦人口を乗じ、延べ観戦者数である推計動員数を算出した。観戦回数が最も多い「サッカー(高校、大学、JFLなど)」6.51 回を筆頭に、次いで「バスケットボール(高校、大学、WJBLなど)」5.83回、「高校野球」2.94回、「Jリーグ(J1、J2、J3)」2.85回と続く。推計動員数は「プロ野球(NPB)」2,517 万人、「Jリーグ(J1、J2、J3)」995 万人、「サッカー(高校、大学、JFLなど)」963 万人を算定した。
注1)2020年の推計観戦人口:18歳以上人口(20歳以上は2019年1月1日時点の住民基本台帳人口、18・19歳は同時点の住民基本台帳人口のうち、15~19歳の人口に2015年の国勢調査から得られた18歳および19歳の人口割合を乗じて得られた推計値を利用した)の105,750,654人に観戦率を乗じて算出。
注2)2018年の推計観戦人口:18歳以上人口(20歳以上は2017年1月1日時点の住民基本台帳人口、18・19歳は同時点の住民基本台帳人口のうち、15~19歳の人口に2015年の国勢調査から得られた18歳および19歳の人口割合を乗じて得られた推計値を利用した)の106,056,838人に観戦率を乗じて算出。
注3)「ラグビー(高校、大学、トップリーグなど)」の2018年は「ラグビー」の値。
資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2020
2020年調査における、過去1年間にスポーツボランティアを行った者の割合は5.3%で、スポーツボランティア実施状況の調査を始めた1994年以降、最低であった。新型コロナウイルス感染症流行によるスポーツボランティアの活動機会の減少が、スポーツボランティア実施率の減少をもたらしたと予想される。