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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

青少年のスポーツライフ・データ2012

「青少年のスポーツライフ・データ2012」では、全国10代(10~19歳)の男女3,000人を対象に実施しました。最新の結果の中からポイントをご紹介します。

調査結果

1. 子どもの運動・スポーツ実施とスポーツ関連支出および世帯収入

子どもの運動・スポーツ実施頻度および高水準スポーツ実施頻度※と保護者の子どもに対するスポーツ関連支出および世帯収入の関係をみると、子どもの運動・スポーツ実施頻度と世帯収入との間には有意な相関関係は認められませんが、スポーツ関連支出との間では特に10代で強い相関性が確認できました(表1)。さらに、12歳と13歳を除いて、スポーツ関連支出と高水準スポーツ実施頻度は運動・スポーツ実施より強い相関性を示しました。この結果から、「120分」以上の実施時間と「ややきつい」以上の運動強度といった、いわゆる本格的なスポーツ活動に参加するためには、それなりに豊かな社会・経済的背景が必須である現状が明らかになりました。

※実施時間「120分」以上、運動強度「ややきつい」以上の条件を満たした運動・スポーツ実施頻度

【表1】スポーツ関連支出および世帯収入と子どもの運動・スポーツ実施頻度および高水準ポーツ実施頻度の関係

年齢 4歳
(n=44)
5歳
(n=101)
6歳
(n=130)
7歳
(n=119)
8歳
(n=130)
9歳
(n=201)
10歳
(n=60)
11歳
(n=122)
対スポーツ
関連支出
運動・スポーツ
実施頻度
-0.1896 -0.1182 -0.0179 -0.0591 -0.1506 0.05 0.0691 0.3083**
高水準スポーツ
実施頻度
-0.0292 -0.0124 -0.0071 0.0467 0.2568** 0.1985 0.4169**
対世帯収入 運動・スポーツ
実施頻度
-0.0099 -0.0608 0.0003 -0.1459 -0.1475 0.0502 -0.1109 0.0568
高水準スポーツ
実施頻度
0.1442 0.0934 -0.0047 0.0909 0.0372 -0.1169 -0.0048
年齢 12歳
(n=70)
13歳
(n=109)
14歳
(n=118)
15歳
(n=105)
16歳
(n=128)
17歳
(n=128)
18歳
(n=104)
19歳
(n=105)
対スポーツ
関連支出
運動・スポーツ
実施頻度
0.4873** 0.1448 0.1242 0.2381* 0.0513** 0.3279** 0.3759** 0.2432*
高水準スポーツ
実施頻度
0.2483 0.0258 0.3112** 0.3511** 0.5936** 0.4133** 0.5136** 0.4458**
対世帯収入 運動・スポーツ
実施頻度
-0.0077 -0.0187 0.1457 -0.0038 0.1498 0.0617 0.0044 0.0531
高水準スポーツ
実施頻度
0.0224 -0.129 -0.0497 0.0519 0.0988 0.174 0.0981 0.0548

資料:笹川スポーツ財団「10代のスポーツライフに関する調査」2012

2. 運動・スポーツ実施の二極化続く

2009年の調査と比較して、「週7回以上」運動・スポーツを実施する者の割合も、まったく行わない「非実施者」の割合もほとんど変化がなく、二極化傾向が続いていることがわかりました(図1)。

図1

【図1】運動・スポーツ実施頻度の年次比較(頻度別)

資料:笹川スポーツ財団「10代のスポーツライフに関する調査」2012

※2009年、2011年のデータは上位5種目で分析。

3. 「あこがれているスポーツ選手」 女子のロールモデルとなる選手は少ない

現在実施しているスポーツ種目であこがれている選手をたずねたところ、女子の1位は「身近なスポーツ選手」でした(表2)。男子は「好きなスポーツ選手」と同じ選手が「あこがれているスポーツ選手」にあげられているのに対し、女子は「好きなスポーツ選手」の上位にあげられた「浅田真央」「澤穂希」が「あこがれているスポーツ選手」には入っていません(表3)。また、「あこがれているスポーツ選手」として名前があがったのは、男子127人に対して女子は57人であることからも、女子は「好きなスポーツ選手」と「あこがれているスポーツ選手」には乖離があり、ロールモデルとなりうるスポーツ選手が少ないことが示唆されました。

【表2】あこがれているスポーツ選手(全体・性別)

(%)

順位 全体(n=338) 順位 男子(n=271) 順位 女子(n=117)
1 身近なスポーツ選手 6.2 1 リオネル・メッシ(サッカー) 7.4 1 身近なスポーツ選手 12.0
2 リオネル・メッシ(サッカー) 5.2 2 イチロー(野球) 5.5 2 木村 沙織(バレーボール) 7.7
3 長友 佑都(サッカー) 4.1 長友 佑都(サッカー) 5.5 3 北島 康介(水泳) 6.8
4 イチロー(野球) 3.9 4 坂本 勇人(野球) 4.1 4 竹下 佳江(バレーボール) 6.8
5 北島 康介(水泳) 3.6 5 身近なスポーツ選手 3.7 5 上野 由枝子(ソフトボール) 5.1
6 坂本 勇人(野球) 2.8 6 ウサイン・ボルト(陸上選手) 2.2 6 福島 千里(陸上選手) 4.3
7 木村 沙織(バレーボール) 2.6 川島 永嗣(サッカー) 2.2 7 大神 雄子(バスケットボール) 3.4
8 ウサイン・ボルト(陸上選手) 2.1 北島 康介(水泳) 2.2 8 佐野 優子(バレーボール) 3.4
竹下 佳江(バレーボール) 2.1 長谷部 誠(サッカー) 2.2 9 五十嵐 圭(バスケットボール) 2.6
10 長谷部 誠(サッカー) 1.8 10 クリスティアーノ・ロナウド(サッカー) 1.8 10 石川 佳純(卓球) 2.6
田臥 勇人(バスケットボール) 1.8
ダルビッシュ 有(野球) 1.8

資料:笹川スポーツ財団「10代のスポーツライフに関する調査」2012

【表2】好きなスポーツ選手(全体・性別)

(%)

順位 全体(n=735) 順位 男子(n=429) 順位 女子(n=306)
1 イチロー(野球) 8.6 1 イチロー(野球) 12.1 1 浅田 真央(フィギュアスケート) 8.8
2 長友 佑都(サッカー) 4.9 2 長友 佑都(サッカー) 7.5 2 内田 篤人(サッカー) 7.5
3 ウサイン・ボルト(陸上選手) 4.5 3 ウサイン・ボルト(陸上選手) 5.8 澤 穂希(サッカー) 7.5
4 坂本 勇人(野球) 3.9 4 リオネル・メッシ(サッカー) 5.4 4 坂本 勇人(野球) 3.9
5 浅田 真央(フィギュアスケート) 3.7 5 坂本 勇人(野球) 4.0 5 イチロー(野球) 3.6
6 澤 穂希(サッカー) 3.5 6 北島 康介(水泳) 2.3 木村 沙織(バレーボール) 3.6
7 内田 篤人(サッカー) 3.4 7 川島 永嗣(サッカー) 1.9 7 北島 康介(水泳) 3.3
8 リオネル・メッシ(サッカー) 3.1 本田 圭佑(サッカー) 1.9 8 ウサイン・ボルト(陸上選手) 2.6
9 北島 康介(水泳) 2.7 9 香川 真司(サッカー) 1.6 竹下 佳江(バレーボール) 2.6
10 川島 永嗣(サッカー) 1.8 ダルビッシュ 有(野球) 1.6 10 川澄 奈穂美(サッカー) 2.3
長谷部 誠(サッカー) 1.8 長谷部 誠(サッカー) 1.6

資料:笹川スポーツ財団「10代のスポーツライフに関する調査」2012

4. ゲームの実施頻度と運動・スポーツ実施頻度

表2にゲームの実施頻度を性別、運動・スポーツ実施頻度群別に示しました。男子をみると、ゲームの実施頻度が「週4回以上」と「週2~3回程度」を合計した割合は、非実施群の66.3%に対して中頻度群69.2%、高頻度群69.0%とほぼ同様の値でした。また、ゲームを「まったくしない」では、非実施群20.7%の割合が最も高く、運動・スポーツ実施頻度が高くなるにつれてその割合は減少します。
女子をみても、「週4回以上」と「週2~3回程度」を合計した割合は4群ともにほぼ同様の値でした。また、「まったくしない」では非実施群の35.1%が最も高い割合を示しました。つまり、ゲームを定期的にしているかどうかは運動・スポーツ実施の頻度と関連性はなく、逆に運動・スポーツの実施頻度が低い方がゲームの実施頻度も低いことが明らかとなりました。

【表1】運動・スポーツ実施頻度群

実施頻度群 基準
非実施群 非実施群(0回/年)
低頻度群 年1回以上週3回未満(1~155回/年)
中頻度群 週3回以上週7回未満(156~363回/年)
高頻度群 週7回以上(364回以上/年)

【表2】ゲームの実施頻度(性別×頻度群別)

(%)

男子 女子
非実施群
(n=92)
低頻度群
(n=203)
中頻度群
(n=308)
高頻度群
(n=371)
非実施群
(n=188)
低頻度群
(n=244)
中頻度群
(n=260)
高頻度群
(n=276)
週に4回以上 53.3 40.9 51.0 47.4 28.7 24.2 24.6 21.0
週に2~3回程度 13.0 17.2 18.2 21.6 9.0 11.5 14.2 17.8
週に1回程度 4.3 7.9 10.4 10.5 4.8 12.3 7.3 12.7
2週に1回程度 3.3 6.4 5.5 4.6 5.3 9.0 5.8 6.9
1ヵ月に1回程度 1.1 4.9 3.9 5.4 8.0 6.1 7.7 9.4
年に数回程度 4.3 8.9 3.2 4.0 9.0 16.4 15.0 11.2
まったくしない 20.7 13.8 7.8 6.5 35.1 20.5 25.4 21.0

資料:笹川スポーツ財団「10代のスポーツライフに関する調査」2012

5. マンガを読む頻度と運動・スポーツ実施頻度

表3にマンガを読む頻度を性別、運動・スポーツ実施頻度群別に示しました。男子をみると、マンガを読む頻度が「週4回以上」と「週2~3回程度」を合計した割合は、高頻度群が53.9%と最も高い値となります。また、マンガを「まったく読まない」の割合は、高頻度群12.7%に対して非実施群23.9%でした。
女子をみると、「週4回以上」と「週2~3回程度」を合計した割合は4群ともにほぼ同様の値でした。一方で、「まったく読まない」の割合は、非実施群の23.7%が最も高い結果となりました。つまり、ゲームと同様、マンガを定期的に読んでいるかどうかは運動・スポーツ実施の頻度と関連性はなく、逆に運動・スポーツの実施頻度が低い方がマンガを読む頻度も低いことが明らかとなりました。またこの傾向は、ゲーム・マンガともに女子よりも男子で顕著でした。

【表3】マンガを読む頻度(性別×頻度群別)

(%)

男子 女子
非実施群
(n=92)
低頻度群
(n=204)
中頻度群
(n=308)
高頻度群
(n=371)
非実施群
(n=190)
低頻度群
(n=244)
中頻度群
(n=260)
高頻度群
(n=276)
週に4回以上 25.0 20.1 26.6 30.2 20.5 17.2 18.8 15.6
週に2~3回程度 17.4 14.2 22.7 23.7 10.5 15.2 12.3 16.3
週に1回程度 15.2 16.7 14.6 12.7 13.2 8.6 10.0 14.1
2週に1回程度 1.1 8.3 6.8 6.5 4.7 10.7 8.5 8.0
1ヵ月に1回程度 7.6 12.3 9.4 6.5 14.2 13.5 10.4 17.0
年に数回程度 9.8 9.8 6.2 7.8 13.2 18.9 18.8 12.0
まったく読まない 23.9 18.6 13.6 12.7 23.7 16.0 21.2 17.0

資料:笹川スポーツ財団「10代のスポーツライフに関する調査」2012


『青少年のスポーツライフ・データ2012』

仕様
A4判/200ページ
価格
2,000円+消費税
発行
2012年12月31日
データの使用申請

最新の調査をはじめ、過去のスポーツライフ・データのローデータ(クロス集計結果を含む)を提供しています。

活用例

  1. 政策立案:所属自治体と全国の比較や調査設計に活用(年齢や性別、地域ごとの特徴を把握)
  2. 研究:研究の導入部分の資料や仮説を立てる際に活用(現状の把握、問題提起、仮説、序論)
  3. ビジネス:商品企画や営業の場面で活用(市場調査、データの裏付け、潜在的なニーズの発見)
テーマ

スポーツライフ・データ

キーワード
年度

2012年度